初めてのクレープ屋!
ーーat 宮本商店街
「わ、私はこんな庶民がくるところには行きたくない! しかも、門限というものが……」
「はいはい、分かってるってお嬢様! でも、クレープとか食いてーんだろ!」
姫子は口では嫌と言いながらも、里彦に着いて行った。
「着いたぞ! ここが俺の行きつけのクレープ屋だぁぁぁぁぁ! 」
「うわぁ! ………あっ! 私はクレープなんか……まあ、今日はいいだろう…」
「素直じゃねーな、ほら、どっちがいい? 」
姫子がクレープ屋に感激している間に、里彦はチョコクレープとバニラクレープを買っていた。
「じゃ、じゃあ、チョコで……いいわよ」
「はいよ、どうだ? 上手いだろ! 」
「お、美味しい……わよ……」
ボソッと姫子は初めてクレープを食べたことの嬉しさを隠しながら、言った。
「ん? なんて? もう一回言ってみ! 」
里彦の方も嬉しかった。自分の好きなものが姫子も好きだったから。
「お、美味しいわよ!! 」
今度は商店街全体に聞こえるくらいの声で言い放った。
「そうか、そうか、お前も可愛いとこあるだな」
里彦がそう言うと、姫子の顔はポッと赤くなった。
ーー只今、五時になりました。良い子は帰りましょうーー
「やべえ! もう五時か、姫子の家までダッシュだ! 」
「ああ、分かった」
そう言うと、里彦は姫子の手をとって走って行った。