二人の意外なる接点⁈
「ふー、学校終わったー! 今日も疲れたぜい! 」
誰もいない教室で、 大きく体を反らしながら里彦は言った。
「これから、一緒に行動することが多くなるかもしれないな、よ……よろしく」
姫子は恥ずかしかった。学校で、こんなに喋ったことはなかった。それも、クラスの中心である里彦と喋るなんてあるわけがなかった。姫子はいわゆる優等生で、スタイル抜群でありクール系女子の代名詞でもあった。逆に、そういうオーラが彼女から人を遠ざけたかもしれない。
「そうだな、これからは登校と下校は一緒だもんな」
「誰かにバレると、大変なことになるからな」
「ってか、お前ってそういうキャラだったんだな! 」
里彦はそういいながら、姫子に近づいた。
「……っ⁉ 何だ!きゅ…急に近寄るな!」
「んー、何か動揺してると言うか、何かなーイメージと違うなー」
それもそうだ。姫子は里彦にあとがれていた。自分が持っていないものを持っている。そんな憧れの人としゃべるのは動揺してしまうものだ。
「ま、まあ、速く帰るぞ」
「しゃーねーな、わかったよ」
里彦は渋々自分のカバンをとり、二人は教室をあとにした。
「言ってはおくが、私の家には門限というものがある」
階段を下りながら姫子は里彦に話を持ちかけた。
「へー、そうなんだ。で、何時なんだよ? 」
「五時だ」
「へ〜、そうか………っ⁉ はっ⁈ もう四時半だぜ⁈ 寄り道出来ねーじゃねーか! 」
一瞬納得した里彦であったが、よく考えるとあと三十分しかないことに気づき、驚いた。
「そうだ、門限は五時だ、そもそも寄り道なんか必要ではない」
「おいおい! 今日は俺のスイーツ日何だぜ! 月一の楽しみが……」
「今なんて言った⁈ 」
姫子は里彦に詰め寄り、顔を近づけ聞いた。
「ス、スイーツって言いましたけど……お前もしかして! 」
「ち、違う! 私はスイーツなんか……食べたく………」
少しもじもじしながら、姫子は答えた。
「本気は食べたくてしょうがないんだろ! 隠すことねぇって! 俺について来い! 」
そう言った里彦は姫子の腕をガシッと掴み、階段をかけて行く。
「……お、おい! 」
そんなことを言いながら、腕を掴まれて少し嬉しかった姫子であった。