夏
始まる前は途方もなく長く感じるけど、
気が付けば、あっという間に去ってしまう。
どんなに楽しくても
どんなに恋しくても
どんなにさみしくても
どんなに引き留めても
夏はもう僕の前から去るという。
遥かな夏。
尊き夏。
時の狭間のワンダーランド、
ほんのひと時の夢。
長いような、短いような、この時の間で、
僕は何を得て、
何を失っていくのだろか。
夏は言う。
少年よ、もうすぐ別れの時だ。
どうして君はもう行ってしまうんだい?
それはそういう定めなのだ。
もう少しだけでいいから、長く居てよ
もう少しだけも、駄目なのだ。
じゃあ、ほんの一日、いや、ほんの数時間でもいい、
長くいてよ
もう一秒たりとも、長くは居れぬのだ。
なんでだよ
時の流れには逆らえぬ。
そうなのか・・・
僕は項垂れる。
夏は微笑んで僕の頭を撫でた。
そう寂しがらなくてもよい。
また時が来ればやってくるのだから。
本当に?
ああ。私が来なかった年が今までであったかい?
そんなことないよ
なら、来年も必ず、君を訪れるだろう。
絶対だよ
ああ、絶対だ。
だから、来年も私のことを待っていてくれ。
うん、わかったよ
僕は精一杯、笑った。
遥かな夏。
尊き夏。
零れ落ちる雫。
蝉は死ぬ。
夢は閉じられる。
悠久の時間は彼方へと過ぎていく
夏は願う。
また君と会う、その時まで
どうか君の、過ごす時間が、
素晴らしいものでありますように。
と。
夏は去っていった。
その大きな翼をはためかせて、
空の先へ
遠く、
遠く、
遥かな夏。
尊き夏。
夏は僕を置いてきぼりにした。
僕に大きな置き土産を残して・・・
僕は、夏の去った空をただひたすら眺めていた。
僕は思う。
例え今は寂しくても、1年後には必ず会えるのだから。
それなら、その時を楽しみに待っていよう。
そして、
今度会うときは、もっと笑顔でいよう
と。
その時、僕の頬を新しい風が撫ぜた。
そうだ、
もうすぐ、秋がやってくる。
初めまして。大渓達也と申します。
この作品は、僕の「夏」に対する思いを書いてみました。
とても楽しい、わくわくするような夏だけど、その夏もあっという間に過ぎ去ってしまう、その寂しさを表現してみた感じです。
(ちなみに詩の中の「夏」は、僕の好きな竜をイメージして書いていたりします(笑))
初めての文章で、非常に拙い文章で申し訳ありませんでした。そして、読んでいただいた皆様、本当にありがとうございます><ノシ
もしよろしければ、感想を頂けると幸いです。