間違い
男がいる。
彼は自分の不幸が彼自身のせいではなく
他人のせいだと思い込んでいる。
近々、政治家の演説が行われる。
男は、その政治家こそが不幸の根源だと思っていた。
自転車でパトロールをする警官がいる。
腰にぶら下がった拳銃を狙う男が彼を襲う。
演説の日、政治家は知らない。
拳銃の照準が自分に向けられていることを。
引き金を引こうとした男にSPが覆いかぶさった。
銃声が鳴り響く。男は死んだ。自分を撃ってしまったのだ。
病室に横たる警官。彼に寄り添い泣く妻。
それを見ている死んだ男。彼は悟った。間違いを犯したのだと。