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始まり

この小説の江戸時代は『少しズレた世界の江戸時代』・・・のつもりです。


江戸時代の仕組みなどは、時代劇や時代小説をもとに作者がねつ造している部分が多いと思います。

所々“おかしいだろ、これ”と思う部分があるかもしれませんが、気にしないでやってください。

時は江戸、花のお江戸の一角のとある地区ではさまざまな愉快な出来事が繰り広げられていたそうな。その中心となりこの話の主人公でもあるのが、同心康之助(こうのすけ)である。

さて、物語の始まり始まり・・・・。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――


康之助がぶらぶらと辺りを見回しながら歩いてくる、ただの散歩のようにも見えるがこれが立派な同心の業務だ。そこでぶらっと一軒の団子屋に立ち寄った。

そのまま、この団子屋を切り盛りしているお(りょう)に声をかける。


「おう、お涼いつものくれぃ」


そう言った康之助のもとに運ばれてきたのはお茶とみたらし団子の乗った皿。

ただの散歩だったかもしれない・・・。


「何言ってるんでぃ。これも立派な業務でさぁ」


はいはい。


「親分さん?いったい誰とお話に?」

「気にすんな、ひとりごとでぇ」


そして康之助はズズっ、とお茶をすする。


「ところでお涼、最近(ちまた)で噂のよく当たるって言う辻占の話を知ってるかい?」


康之助の言葉に、お涼は一瞬硬直した後口を開いた。


「さ、さあ。わたしも噂しか・・・。」

「そうかい?たまに俺も驚くようなことを知ってるからてっきり知ってると思ったんだがなぁ・・・」(それよりさっきお涼が固まったとき後ろに『ギクッ』って文字が見えた気が・・・)


それは気のせいだ忘れろ。


「勝手に人の心ン中読むな!」


うるさい。これ書いてんのは俺だ。お前ぇさんを主人公の座から降ろしてもいいんだぜ。


「なっ、人の弱みに付け込みやがって・・・んなことばっかしてると嫌われるぜぃ」


ほっとけ。それよりホレ、お涼が不審がってるゾ


「ったく・・・。ああ、お涼気にしねいでくれぃ」

「…ええ分かりました」


康之助は団子を食べ終ると、同心らしくすっと立ち上がる。


「さてと・・・きちっと仕事をしてくるか」

「ではまた明日」

「おう、なんか情報手に入れたらちょっくら教えてくれよ」

「え、ええ」


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


そしてその夜・・・。


「おし、今夜も異常はねえな。」


康之助が市中の見回りをしていたときのこと。

康之助の持っているちょうちんの明かりの中に、人影が映る。


「うおっ?」


康之助は腰元にさした刀に手をのばしながら


「お前さん、こんな夜中に何してるんだい?」


そう人影に問いかけた。

すると人影は、ゆっくりと康之助に歩み寄ってくる。

康之助が刀の柄を握りながら人影の顔を照らしと、そこにいたのは・・・


「おっ、お前・・・!?」

「どうも、親分さん。こんな夜中までご苦労様です。」


いつも見慣れた団子屋のお涼の姿であった。


「あら親分さん、どうなさったの?妖怪でもみたような顔をしt「そんな顔もするわ!!何してんでぃ、こんなところでこんな時間にッ!?」


驚き戸惑っている康之助に対して、お涼は平然として、


「何って・・・裏稼業ですかねぇ?」

と答える。


「う、裏稼業!?お前さんなんか危ないことでもしてんのかい?」

「いえいえ。そんな、とんでもない。」


少し険しい顔で、厳しく問うてきた康之助にお涼はころころと笑いながら返事を返す。


「私がやっているのは只のしがない辻占です。それでも最近はよく当たるって、評判なんですよ。」

「! それじゃあ最近巷で噂の辻占はおめぇさんだったのか。」


半ば呆然としている康之助にお涼は笑って頷いた。


「正体がばれると団子屋にまでこっちのお客さんが来て団子屋の方を出来なくなってしまうから、あまり人に知られたくなかったの。けど、斬られそうになっちゃねぇ」


そういってまた笑うお涼に康之助はぶちぶちと文句を言う。


「そんならそれでなにもあんな風に出てくるこたぁ無ぇだろう」


唐突に、布を裂くような甲高い悲鳴が聞こえた。


「!!」


その悲鳴を聞きつけた康之助が条件反射のごとく走り出す。

お涼も商売道具を持ったまま康之助の後を追って走り出した。


「何事でぇ・・・っ!」

「これは・・・」


二人が駆けつけた先で見たものは、地面に倒れ伏している女とその女の両脇に立ってこちらを見ている一組の男女。そして、目を見開いたまま固まっているこれまた女。

様子を見るに先ほどの悲鳴は固まっている女のものらしい。


「あ・・・親分さん・・・」

「あん?」

「!おめぇら、よく見たら潤介とお美代じゃねぇか。こんな時分になにしてんでぇ」

「んなことよりこっちだろ。親分さんよぉ」


そういって潤介が倒れている女のほうに顎をしゃくる。

その言葉にあわてて手を伸ばしてみれば、ねっとりと生暖かい何かが手についた。


「人斬りか・・・!まだ斬られて間もねぇっ、お涼っ医者を呼べ!」

「分かりました!」


康之助の言葉を受け、お涼が近くの医者の家へと走り出す。


「しっかりしろ、すぐに医者が来る!」


応急処置の簡単な止血をしていると、すぐにお涼が医者を連れて戻ってきた。

女はそのまま医者の家へと運ばれていく。



険しい顔をしてそれを見送る康之助は気が付いていなかった。

康之助たちが人斬りの現場に駆け付けた直後。少し離れた横道からこちらをうかがう様に見ていた人物がいた事に。そして、その人物が音もなく闇の中に消えた事に。

・・・そして、この事件が、多くの人々を巻き込む出来事の、ほんのきっかけに過ぎない事に。

つたない文章ですがこれからも宜しくお願いします。


ありがとうございました。

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