表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/19

15

廊下の角を曲がり、教室の喧騒から離れた静かな空間に足を踏み入れる。

日の光が差し込む小さな中庭――二人きりだ。


アークレインはレティシアの手を握ったまま立ち止まり、視線をじっと彼女の目に向ける。

その瞳はいつも通り冷静で鋭いが、今はほんの少し挑むような光を帯びていた。


「……なあ、レティシア」

低く、落ち着いた声で呼びかける。

手の温もりを感じながら、彼は指先を少し強めに絡める。


「……俺のこと、もう……好きだろ」

言葉は簡潔だ。だがその背後には、彼なりの確信と、静かな焦れが混ざる。


レティシアは一瞬、息を呑む。

胸の奥で熱が一気に跳ね上がり、指先から伝わる彼の力強さに心が震える。

理性ではまだ抵抗しようとするが、心は無意識に答えを求めていた。


「……っ……」

レティシアは小さく息を吐き、指先に力を込めて彼の手に応える。

理性で冷静を装おうとしても、無意識に体が彼の方へ寄ってしまう。


アークレインはわずかに口角を上げ、低く笑う。

「……まだ抑えられてる顔だな。でも、見てて面白い」

挑むような言葉。けれど強引さはなく、彼の冷静な観察眼に、レティシアは焦れを感じる。


胸の奥のざわめきが、じわじわと全身に広がる。

理性で抑えようとしても、心の奥ではもう、彼に引き寄せられる自分を隠せない。


言葉にはしないけれど、互いの距離と手のぬくもりで、答えはすでに交わされている。



二人の周囲には誰もいない。

手と視線、微かな呼吸の間に、甘くて焦れた時間がゆっくりと流れる。

レティシアの心は完全に動き、アークレインに引き寄せられていた。


アークレインの手がレティシアの手を優しく包み込むと、胸の奥で小さな焦れが跳ねる。

視線を交わすだけで、言葉以上に伝わる心の温度。


「……レティシア」

低く呼ばれる名前に、レティシアの胸は一層高鳴る。

「……はい……」

答える声はかすかに震え、頬は熱を帯びる。


アークレインは指先で彼女の手をそっと動かし、距離をさらに詰める。

「……もう、理性だけで抑えようとするな」

言葉は甘く、しかし確信を含んでいる。

レティシアはその声に小さく息を呑む。


彼の視線が、微かに挑むように揺れる。

「……っ……」

心の奥で熱が弾け、思わず唇を軽く噛む。

焦れと甘さが混ざり合い、体が自然に彼の方へ傾く。


「……アークレイン様……っ……」

声が小さくも切迫している。

視線を合わせると、彼はわずかに笑みを浮かべ、距離を一歩詰める。


「……俺のこと、もう……意識してるんだろ?」

手のぬくもりと視線だけで、問いかけるような強さと優しさ。

レティシアは小さく頷き、手をさらに強く握り返す。


その瞬間、二人だけの世界になる。

手と視線、微かな呼吸のリズム――

すべてが絡み合い、甘さと焦れが満ちた時間が静かに流れる。


レティシアは胸の奥で決心する。

(……もう……隠さない……私の心は……アークレイン様だけ……っ……)


アークレインはゆっくりと顔を近づけ、目を閉じるように促す。

「……目を閉じろ」

言葉には柔らかさと確信が混じる。


レティシアは小さく息をつき、瞼を閉じる。

そして、アークレインの唇が静かに自分の唇に触れる。


柔らかく、しかし確かな熱。

胸の奥から全身にじわりと広がる甘い衝撃。

心が一気に彼に引き寄せられ、理性ではもう止められない。


「……っ……」

小さな声が漏れ、体は自然に彼に寄せる。

アークレインも応えるように、手を少し強く握り、距離を保ちながら唇を重ねる。


二人だけの世界。

手と唇、呼吸と視線――

甘く焦れた初めてのキスが、二人の関係を確かなものにする。


離れたあとも、互いの呼吸がわずかに重なり合い、視線だけで心の奥まで通じ合う。

レティシアの頬は赤く、胸はまだ早鐘のまま。

アークレインは微かに微笑み、手を離さずに優しく彼女を見る。


「……これからも……俺のこと、意識してくれ」

低く囁くその声に、レティシアは小さく頷く。

胸の奥の焦れと甘さが、さらに深く満ちていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ