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教室に再び足音が近づく。

レティシアは胸の奥で小さく息を呑み、手を机の上で軽く握り直す。


扉が開き、王太子が先に入る。

その後ろから、アークレインがゆったりと歩みを進める。

視線は静かにレティシアを捉えていて、わずかに距離を詰めようとしている。

彼の存在感に、胸の奥の焦れがじわりと再燃する。


(……っ……また……近づいて……っ……!)


レティシアは視線を逸らさず、思い切って体をわずかに前に傾ける。

その瞬間、机の端に置いていた手を軽く伸ばし、アークレインの方に自然に向ける。

呼吸が少し早くなり、胸の奥で熱が弾ける。


アークレインは微かに眉を上げ、足を止めた。

その視線の奥に、彼女の心の焦れを探るような光が宿る。


レティシアは理性で落ち着こうとしながらも、唇を軽く噛んで自分の動作を意識させる。

(……っ……もう……抑えられない……っ……!)


アークレインは一歩距離を詰め、レティシアの微かに前傾した体勢に気づく。

その瞬間、眉がわずかに動き、目の奥に軽い驚きと興味が宿った。


「……」

声には出さない。ただ、視線だけで彼女の意図を探るように、じっと観察する。

それだけで、胸の奥の熱が跳ねるレティシア。


(……っ……見て……っ……!)


レティシアは意識的に体を少し傾け、指先を机越しにアークレインの方向へ向ける。

心臓の鼓動が耳まで響くほどに速くなる。

理性ではまだ冷静を装おうとするが、無意識の焦れが体を支配していた。


アークレインはその小さな動作を見逃さず、軽く口角を上げる。

さらに一歩、アークレインは距離を縮める。

その間合いはわずかだが、空気の温度が変わるような感覚。

レティシアは机の上に手を置き直し、少し背伸びするように視線を合わせる。


(……もう……我慢できない……っ……!)


レティシアは思い切って体を前に滑らせ、机の端を軽く支点にして指先をさらに伸ばす。

指先がアークレインの手の届くか届かないかの距離にかかる。

その瞬間、呼吸が乱れ、胸の熱がじわりと全身に広がる。


「……アークレイン様……」

声は小さい、けれど明確に彼に届く音量。

その声に、アークレインは一瞬止まり、目を見開く。


「……っ」

短い息。視線の奥に、驚きと、そして微かな笑みが混ざる。

その表情だけで、レティシアの胸は跳ね上がり、手の先から伝わる熱にさらに焦れが増す。


レティシアの指先がわずかに届きそうな距離にあるのを、アークレインはじっと見つめる。

胸の奥で彼女の焦れと期待が跳ねているのを、視線の端で感じ取り、ゆっくりと手を伸ばす。


その手がレティシアの指先に触れ、そっと絡まる。

柔らかな温度、微かな震え。

触れた瞬間、教室の空気が一層静かになったように感じられる。


「……」

声には出さず、ただ視線を合わせるアークレイン。

眉の動きも口元の微かな緩みも、すべてがレティシアに向けられた意識の表れだ。


レティシアは小さく息を呑み、指先に伝わる彼の温もりに心臓が跳ね上がる。

(……っ……手……つないだ……っ……!)


彼の視線に、自分の焦れや期待がすべて映されているかのようで、理性で落ち着こうとしても、胸の熱は収まらない。

小さな手の動きひとつで、心が揺さぶられ、体も心も彼に自然に向かってしまう。


アークレインはレティシアの指先をしっかりと握り、そのままゆっくりと立ち上がる。

教室の静寂の中、二人の間の微かな熱と焦れが、指先の触れ合いを通じてさらに高まる。


「……行くぞ」

低く、落ち着いた声。だが、そこには確かな意志が込められている。


レティシアは息を呑み、少し驚きながらも体を動かす。

手を握られた感覚が、胸の奥にじわりと熱を走らせる。


アークレインはためらわず、机の周りを回り込み、教室の出口へとレティシアを導く。

その歩みは自然で、まるで二人だけの世界に迷い込むような感覚だった。


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