第33話 遊戯室①
食事の間、
娼婦と老いた豚がやけに明るく振舞っていた。
未亡人は食欲がないのか、
ビーフシチューをわずかに口にしただけで
すぐにスプーンを置いていた。
死神と堕天使は無言で料理を口に運んでいた。
食事が終わると
菅野と松平は遊戯室へ向かった。
六条も1人になるのは不安だからと
2人の後に続いた。
一方、
西岡は
「飯を食ったら眠くなってきた」
と言って部屋に戻っていった。
その神経の図太さに僕は感嘆を通り越して
呆れ返った。
「鈴木さんはこの後どうしますか?」
塚本は器用に車椅子を操作しながら
テーブルの上を拭いていた。
部屋に戻ることも考えたが、
あの部屋に戻る気にはなれなかった。
「僕も遊戯室に行ってみるよ」
僕は散らばった皿を集めながら答えた。
「それなら。
ここは私が片付けますから
鈴木さんは先に遊戯室へ行って下さい。
私も後で顔を出しますから」
「いや・・でも」
「片付けくらいは一人でやれますから。
気を使われることが多いのですが、
逆にそれが心苦しい時もあって・・。
それに。
『男子厨房に入らず』
ですよ」
そう言って塚本は「ふふっ」と笑った。
少女のその笑顔に僕はドキッとして、
慌てて頭を振った。
結局、
僕は堕天使の言葉に甘えて食堂を出た。