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第21話 嘘吐き

応接室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


「・・そういえば若いの。

 お前さん1人で建物内を散歩してたな。

 あの時、殺す機会はあったな?」

松平が疑いの眼差しを西岡に向けた。

皆の視線が西岡に集まった。

「俺は1階を見回ってただけだぜ。

 2階には上がってない」

西岡はさして焦るでもなく淡々と反論した。

「そんな言い訳を誰が信じるんだい?

 ひっひっひ」

平原は意地悪な笑みを浮かべた。

「たしかに。

 婆さんの言う通り証明はできないけどな」

そして西岡は「くっくっく」と笑った。

そんな西岡の態度が気に入らないのか

平原がキッと西岡を睨み付けた。

「そう言えば。

 さっき厨房を確認したが、

 包丁は全部揃ってたぜ」

西岡が思い出したように言葉を続けると、

全員が息を呑む音が聞こえた。

皆同じことを考えているようだった。

ならば剛田の殺害に使われた包丁は

どこから来たのかと。


「ま、待って下さい。

 疑い出したらキリがないですよ。

 僕だって容疑者の一人です。

 この中で一番最後に到着したのは僕です。

 僕が応接室に来る前に

 2階に行って郷田さんを殺したと

 疑われても、

 それを否定するだけの材料はありません」

「・・そうですね。

 誰が殺したのかという議論はやめて、

 ゲームについて話し合いませんか?」

僕の発言を車椅子の塚本が後押しした。

少女の方をチラリと見ると、

彼女は恥ずかしそうに俯いた。

一方、平原は不満げな表情を浮かべると

腕を組んでソファーに身を預けた。


「・・そ、それなら。

 このゲームにおける

 【探偵】の方に話の進行をしてもらうのは

 どうでしょうか?」

六条が遠慮がちに提案した。

「そうね。

 じゃあ【探偵】の人にお任せしましょ」

菅野が六条の提案を支持した。

そして沈黙が流れた。

しばらく待っても

【探偵】が名乗り出てくることはなかった。


「あらら。

 おかしいわね。

 じゃあ【市民】の人は?」

菅野がそう言いながら自ら手を挙げた。

続いて部屋にいる全員の手が挙がった。

お互いがお互いの様子を窺っていた。


残念ながら。

人は嘘を吐く生き物だ。

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