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第19話 決意

中盤から暴力描写があります。

雪緒と恋十郎は、夜の修練場入り口にいた。

風が草木を撫でると、闇の森は意志を持ったように蠢く。

それは、まるで大きな生き物の中にいるような錯覚を起こす。

そんなざわめく森の腹の中で、恋十郎はひたすらに困惑していた。

それはもう、不思議で不思議でどうしようもなかった。

あの白面の亡霊は、不自然なほどあまりにも強過ぎるのだ。


「ありゃぁ、一体なんなんだ?」

「そんなの知らないって。」

「とにかくべらぼうに早ぇ。目で追えねぇっての。雪は見えてんのか?」

「見えてるわけないでしょ。見えてたらこうなってない。」

「いやぁな、気が付いたらもう目の前よ。まともに刀も振れねぇような懐にまで入られちまってよぉ。……ああ、なるほど。それであの短ぇ忍刀か。」

「あのさ、恋。」

「あ?なんだ?」

「納得してないで、さっさと避けてくれる?重いんだけど。」


そこは修練場入り口の坂だ。

昨晩と同様に、雪緒はそこまで亡霊に吹っ飛ばされてしまった。

今回はまだマシな方で、蹴りを入れられたことだけは分かった。

そして、それは恋十郎も同様であった。

雪緒が吹き飛ばされた後、続け様に恋十郎も吹き飛ばされてしまった。

そうして、雪緒の上に恋十郎が乗っかる形で、入り口の坂下で止まる。

結局、二人ともコテンパンにやられてしまったのだ。


「ハァー。そんで、あちらさん。今日はもう勝ったってことか?いなくなっちまったみてぇだぜ。もう気配がしねぇ。」

「だから避けろっての!」

「おぎゃっ!?」


雪緒は、上に乗っかる恋十郎を無理矢理避ける。

恋十郎は頭から転がって、地面に大の字になった。

すると、雪緒は立ち上がって再び修練場へと走っていった。


「くそぉ!今度こそ!」

「ああ、オイ。雪!」


雪緒は、坂の途中に落ちていた刀を拾い上げる。

そして、坂を登って再び修練場へと戻った。

だが、白面の亡霊はもういなかった。

雪緒が周囲を見回していると、背後から恋が追いついてくる。


「今日はもう仕舞いってことじゃねぇかな。」

「なんでよ!」

「知らん。けど、なんかルールがあんだろ。アイツ、殺す気満々な割に、不意打ちはしてこなかったしな。」

「急に現れて斬り付けてきたんだよ?そんな正々堂々ってわけじゃなかったでしょうが。」

「そりゃ、刀抜いた後だろ?アイツ、闇の中じゃマジで見えねぇんだ。ただ殺すつもりなら、闇の中からいきなり斬ればいい。なのに、最初わざわざ刀を抜くところを見せた。しかも、修練場から追い出した後は追ってもこねぇ。つまりは、そういうルールってことなんじゃねぇかな。」

「ルールって、そんな相手かなぁ。話通じないタイプの気がするんだけど。」

「じゃあ雪は、なんで今日ここに来たんだ?夜に来たらいるんじゃないかって、そう思ったんだろ?」

「それは……、たしかに。思ったかも。なんでだろ。」

「無意識にルールを感じ取ったんだろ。まぁ何にせよ、明日だな。たぶん、アイツ、今日はもう出てこねぇぞ。」



──────山中の屋敷。


次の日。

朝早くに起きた雪緒は、蒼と二人で汗を流した。

その後、ようやく恋十郎も目を覚ます。

寝癖のままで若干ボーッとしているが、やる気は十分のようだ。

そして、忙しなく朝飯を掻き込む雪緒と恋十郎。

二人は米をまるで飲むように、喉の奥へと押し込んでいく。


「雪、ありゃたぶん、忍者か何かだぜ?たぶん、忍術とか使ってんじゃねぇかな。じゃなきゃ、あの速さは説明がつかねぇ。」

「忍者って。そんなわけないじゃん。知ってる?そもそも黒装束の忍者って、創作らしいよ?……って、最近見た気がするけど。そういえば、やっぱあれ、あの人……、なのかな?」

「あの人?まぁ忍者が創作ってのは、おいらも聞いたことあるけどよ。でもあれ見ちゃったら、やっぱ実在してんじゃねぇかって思うだろ。」

「恋、ご飯食べたら、練習付き合いなさいよ。とりあえず道場で!」

「へへ!雪、やる気だな。いいぜ、付き合ってやんよ。……ああでも、雪じゃおいらの練習にはあんまなんねぇよなぁ。雪弱ぇし。」

「ああん!?いつまでも私が弱いと思ったら、大間違いだからね!アンタ、余裕こいてると頭かち割るから!」

「おお、怖ぇ怖ぇ。まぁいいか。……オイ、みっこも来るか?」

「ふぇえ……、私は……。」


恋十郎に誘われ、みっこはオドオドしてしまう。

残念ながら、現状のみっこは全く戦力になっていなかった。

その時、雪姫が助け舟を出した。


「ああ、すみません。おみっちゃんは私のお手伝いをしてくださいませんか?」

「ふぇ、は、はい!」

「ふぅん、まぁいいか。雪、今日は刃引きでやんぞ。」

「え……。」


恋十郎のいう『刃引き』とは、刃を潰した真剣のことである。

竹刀や袋竹刀が使われる前は、練習では木刀か刃引きで行われていた。

だが、当然木刀と同様に事故も多い。

刃を潰してあるとはいえ、金属の棒であることに変わりはないのだ。


そんなやる気十分の二人に、何も知らない蒼が問いかける。


「二人とも急に仲良くなりましたね。何かあったのですか?」

「ああ、実はなぁ……、むぐっ!」


不用意に言いかけた恋十郎の口を、雪緒が手で塞いだ。

そして小声で耳打ちする。


「ア、アンタ!余計なこと言うんじゃないの!止められたらどうすんのよ!アイツは私が倒すんだからね!」

「むぅ。なら、今日はおいら先にやらせてくれよ。そしたら黙っててやんよ。」

「ぐぅ……、いいけど……。」


そこに、童雀もニコニコしながら寄って来た。


「なんや、楽しそうやな。ボクも混ぜたってよ!」

「いやぁ……、童雀様はやめた方が……。」

「なんで!ボクをのけものにするん!?」

「では、木刀を持って、道場の方へ……。」

「え、そういうあれかい。あかん!持病のしゃっくりが!おうふっ!……すまんなぁ。ボクがこんな身体でなければ……。」

「いえ、全く期待してませんので……。」


気力十分な面々の中には、体調の悪そうな者もいた。

それは智だった。

彼女は、ここへ来てからも部屋に篭って何やら作業をしていた。

そんな智の様子に、環は心配そうにそっと声をかける。


「はぁ……。」

「大丈夫ですか?だいぶお疲れのようですね。」

「まぁ、なんだか本当に合宿みたいですからねぇ……。引率の先生のような気分です。お酒を飲んでさっさと寝たいところですが、この身体ではそうもいきませんし。どの道先々の準備もありますから、悠長に寝てられないのですが。」

「先は長いですし、少しは休まれた方が……。」

「休めるといいんですけど、ね……。しばらくは無理かも……。」



──────山中の屋敷・道場。


道場には、雪緒と恋十郎だけがいた。

恋十郎は刃引きの刀を手に取り、握りを確かめる。

雪緒も手にとっているが、やはりまだ手に馴染むほどではない。

ただ、昨晩に死闘を繰り広げたおかげで、抵抗感は前ほどなくなっていた。


「一番厄介なのが速さだ。たぶん、何か仕掛けがあんだろうな。」

「それなら、たぶん、あれじゃないかな。影。月明かりでまばらでしょ。あれのせいで、そもそも見辛いんだよね。黒装束だから、影に入っちゃうと身体なんてまるで見えないし。」

「だったら、あそこから誘き出すとか?」

「出てこないでしょ。修練場から出た時点で追ってこないんだし。」

「だよなぁ。」

「あとあの忍刀だね。速さもあるけど、あそこまで近い間合いだと、どうしても刀は後手に回っちゃう。」

「まぁそもそも間合いに入られてる時点で詰んでんだけどな。……まぁいいか。考えても仕方がねぇ。とにかく早く動いて早く斬るだけだ。」

「ええ……、今までの会話何だったのよ……。脳筋過ぎ。もうちょっと……。」

「雪は頭で考え過ぎなんだよ。刀なんて反射で動く方が多いんだ。ひたすら反復させて、自動的に迎撃できるぐらいにせんとな。」

「まぁ、そうだけど。」



──────山中の修練場。


再び夜。

先にやると言い出した恋十郎は、ひとりで修練場の中央まで進み出た。

相変わらず桃色の着流しだけで、履いていた草履も脱ぎ捨ててしまった。

今回は木刀も持たず、最初から真剣のみ。

これが恋十郎の本気モードだった。


「次、私なんだからね!」

「分ぁーってるって。」


雪緒は、修練場入り口でこっそり覗く。

彼女も帯刀しているが、昨晩と同様に旅装だ。

草鞋に脚絆、手甲。裁着袴(たっつけばかま)に背割り羽織。

これは、旅先での戦いを想定しているため。

雪緒は、すでに蝦夷地の旅を見据えていたのだ。


「さぁて、いいぜ、出てきな!白い顔!」


恋十郎のその言葉を聞いたかは分からないが、目の前に人影が現れる。

それは暗闇の中に、ふっと湧いて出るように出現した。

濃い闇の中に、白い面だけが浮かび上がっている。

不気味な光景だった。


「アンタ、結局何なんだ?十六夜ってやつか?忍者?それとも天狗?亡霊でもいいけどよ。おいら、アンタの正体知りてぇなぁ。おいらがアンタを打ち負かしたら、その面の下、拝ましてくれよ。まぁダメだっつっても覗くけどな!」


恋十郎は刀を抜く。

それに呼応するかのように、白面の亡霊も忍刀を抜いた。

両者、間合いをはかりながら、しばし円を描くように横に歩く。

そして、亡霊が闇に飲まれた瞬間、恋十郎は後方へ思いっきり退避する。

先ほどまで恋十郎がいたところには、亡霊が出現していた。


「どうなってんだよ。相変わらず訳分かんねぇ早さだな。……けど。」


再び目の前に亡霊が出現し、忍刀が恋十郎の頬を掠める。

恋十郎は刀を横に薙いで牽制し、距離を取る。


「ちょっと分かってきたぜ?さすがに、おいら相手に何度も手の内見せるべきじゃなかったなぁ。」

「何か分かったの!?」


雪緒が遠間から見ててもよく分からない。

しかし、恋十郎は優位に立っているようには見えなかった。

相変わらず、恋十郎はギリギリで打ち負けている。


「え、ちょっと、変わってないじゃない!」

「まぁ、ぐっ!待て、っと!お!このっ!……ああ!」


恋十郎は何かを仕掛けようとしていたが、早さに翻弄されてしまっていた。

ただそれでももがき、ようやくその試みは成功する。

それは、恋十郎が刀を右から左へ薙いだ時だ。

亡霊は後ろや下には避けずに、更に早い速度で恋十郎の背後へ回り込む。

亡霊は、そのまま恋十郎の右側後方から斬り込むつもりだったのだ。

だが、そこには恋十郎の右手が待っていた。

恋十郎は、途中で刀から右手を離し、逆回転するように右手を回していたのだ。

恋十郎の右手が、亡霊の衣を鷲掴みにした。


「やっと捕まえたぜっ!!」


身体の小さな相手である以上、捕まえてしまえば力でねじ伏せてしまえる。

グッと引き寄せられる亡霊。

恋十郎は、そのまま亡霊を地面に叩きつける。

……だが、その試みは失敗する。

亡霊は、恋十郎の右手に絡みつくように身体を預けたのだ。

そのせいで、恋十郎は重くなった自身の右手に引っ張られ、バランスを崩した。


「んなぁ!?」


恋十郎は素っ頓狂な声を上げた。

恋十郎はその勢いのまま投げ飛ばされてしまったのだ。

だが、それでも諦めなかった。

恋十郎は刀の柄頭で、亡霊の額を殴りつけた。

一瞬亡霊がたじろぐ。

追撃をおそれた恋十郎は、すぐさま体勢を直し構える。

亡霊も少し距離をとって、構え直した。


だが、次の瞬間。

亡霊の白面が縦に裂け、カランと音を立てて落ちた。

亡霊は慌てて顔を隠し、闇の中に隠れた。


「は?……はぁ!?」


恋十郎は再び素っ頓狂な声を上げ、そのまま固まってしまう。

そして、両者は再び刃を交えることなく、戦闘は終了した。

白面の亡霊は顔を隠したまま、どこかへと消えてしまったのだ。

恋十郎はその場に膝をついた。

雪緒は急いで恋十郎の元へ駆けつけてくる。


「え?あれ?帰っちゃった?……え、ちょっと、どういうこと?」

「どういうって……。面が壊れたから逃げたんだろ。」

「え、面?ちょ、ちょっと待ってよ、私戦ってないんだけど!」

「ああ……。」

「いや、え?蒼様明日出発だから、今日戦いたかったのに!ええ!?ちょっとこんな終わり方なの!?……で、顔は見たの?」

「ああ……。」


騒がしい雪緒とは対照的に、恋十郎は静かだった。


「で、どんな顔だった?」

「どんなって……。」


それから恋十郎は少し考える。


「おいら、やっぱ顔は見てねぇや。」

「は?さっき見たって……。」

「見たとは言ってねぇ。」

「ちょ!」

「まぁ、どっちにしろ、今日はもう終わりだ。帰ろうぜ。」

「なんでよ!私戦ってないって!……明日は私が戦うからね!いい!?」

「いいよ、ってか、おいらはもういいや。」

「は?」

「面割ったし、もう十分だろ。帰ろうぜ……。」

「ちょ、ちょっと待ってよ!」


それから二人は、屋敷まで戻る。

なぜかその後は、恋十郎のテンションは低いままだった。

結局、雪緒は、蒼の出立までに亡霊を倒すことはできなかったのだ。



──────山中の屋敷。


朝になり、雪緒は一人で修練を済ませた。

その後、皆で朝食をとった。


雪緒の心は沈んでいた。

とうとうその日が来てしまったのだ。

蒼と也場は、朝食後すぐに旅装を済ませていた。

前もって準備をしてあったのだろう。

あと半刻もせずに、彼らはここを離れてしまう。

雪緒はその背中を見て、ひどく寂しくなった。

勿論、彼女とは決して特別な間柄というわけでもない。

雪緒が抱いていたのは、芸能人に対する一方的な憧れだ。

それでも、実際に接して素敵な人だと知ることができた。

その憧れはより強くなってしまった。

ただ、それは恋心とも違う。

雪緒にも、それが何なのか説明できなかった。


「蒼様、気を付けて行って下さいね……。」

「うん、ああ。ありがとう。雪緒ちゃんも気を付けてね。」

「はい。」


雪緒の小さな声に、蒼は優しく応えた。

これが今生の別れとはならないだろうが、まず数ヶ月は会えない。

どちらも険しい道のりなのだ。

皆が見守る中、蒼も也場も立ち上がった。


「それでは行ってくる。雪緒、みっこも達者でな。」

「行ってきますね。皆さんお達者で。」

「ええ、宜しくお願いしますね。也場殿、十霞殿。どうかご無事で。」


二人が出て行こうとした時、蒼がふと足を止めて振り返った。


「恋。雪緒ちゃんを頼みましたよ。」

「ああ、気が向いたら助けてやんよ。」

「……恋。」

「分かってるって。冗談だよ。ほら行けって。」

「では頼みましたからね。」


皆、二人の背を見送った。

ただ雪緒は少しだけニコニコとしていた。

恋はその様子に怪訝そうな顔した。


「なんだぃ、さっきまでしょげてたのに。」

「頼むってさ。私ってもしかして、蒼様の特別な人だったり……。」

「ハッ!……まぁ、そうかもな。蒼のやつ、現代(あっち)でさ、妹亡くしてんだってよ。そのせいじゃねぇかな。オマエにダブらせてんだろ。」

「妹……。そうなんだ……。って、恋人じゃなく?」

「何を言ってんだオマエは?」



──────山中の修練場。


再び夜。

そこには雪緒の姿が。

入り口付近には恋十郎。

そして、また再び目の前に亡霊が現れる。

だが、今回は白面ではなく、黒い面に変わっていた。


「蒼様はもう行ってしまったけど。私はもう前進すると決めた。アンタにだって、勝ってみせる。勝たなくちゃいけないんだ!」


……そして、数刻後。


「なんなのアイツ、あんなの勝てるわけないじゃん!!」


雪緒はやはり負けていた。

今回も修練場入り口に転がされてしまった。

黒面に変わっていたせいで、どうしても反応が遅れてしまうのだ。

なにせ、目の前にふと現れたことにそもそも気が付けない。

気付くのは、忍刀が目前に迫ってきてからなのだ。

転がっている雪緒に、恋十郎がそっと近付く。


「すまねぇな、雪。おいらが白いの割っちまったせいで……。でも、おかげでアイツのネタは完全に割れたぜ。聞きたいか?」

「聞きた……、いやいい。自分で……。」


雪緒は少し考える。


「やっぱ、教えて……。たぶん、私にはまだ無理だ。」

「いいぜ。あれな、白面はそもそも目眩しなんだよ。」

「は?どういう意味?」

「アイツは、白と黒の面を最初から使い分けてたんさ。黒面に黒装束なら、暗闇じゃ何も見えないだろ。そこに白い顔が急に出てきてみろ。急に移動してきたように錯覚するはずだ。あれはそういう視覚トリックを使ってんのさ。」

「なるほど。……ん?でも、今日は黒面だけだったよ?」

「そう、つまり今回から白面は無いから、そのトリックが使えないんだろうな。ただずっと闇の中にいるだけで。」

「いや、"だけ"って、全然見えないんだけど?」

「だから、すまねぇって言ってんじゃん。白面はトリックだが、同時に場所を知らせる意味もあったんだろう。無くなったら、難易度上がっちまったな。」

「それ、アンタのせいじゃん!!」

「まぁそう起こるなって。でもオマエ、気付いてるか?少しずつ、アイツの速度に身体がついて行ってることに。」

「そう……、かな?自分じゃ分からないけど。」

「まぁ、あれはそういう"あれ"なんだろうな。蝦夷地行くまでは、まだもう少し時間あるからよ。ちょっと頑張れや。」

「あれってなによ、あれって。あ、もしかしてアンタが見た素顔って、黒面だったってこと?」

「は?ああ、そう……、かな。そうだったかもしれん。まぁいいじゃねぇか、さっさと帰って寝ようぜ。」

「ちょっとぉ!?」


その日もまた、夜は更けていった。



──────江戸の城下町。


そして、それから三日が過ぎる。

蒼と也場は、無事に江戸へと到着していた。


「さて、準備を始めましょうか。」

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