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第7話 料理との談話

 5月4日 霧川は家でオンラインゲームをしていると電話が鳴り響き、スマホの画面を見ずに電話に出る。

「もしもし?」

《あっ!霧川さん!おはようございます!覚えてますか?美海です!》

 思わず指を動かすのを止めて言う。

「ああ……久しぶりだな。大会優勝おめでとう」

《はい!ありがとうございます!おかげさまでようやく天神学園への入学が決まりました!》

「天神学園へ?」

《はい!なのでゴールデンウィーク明けからよろしくお願いします!》

「何で天神学園なんだ?お前なら料理学校とかから推薦も来るだろ?」

《将来を保証されますし、霧川さんがどんな学校に通っているのか知りたいのです!》

「普通……とは少し違うとしか言えんな。今から会うか?」

《お会いしてくださるのですか!?》

「ああ。いろいろと聞きたいことがある。何で俺に敬語なのかとか」

《じゃあどこでお会い……いたしますか?》

 渋谷駅へ向かい美海を待つことにした。しばらく待っていると小学3年生くらいの茶髪の女の子が話しかけてきた。

「お久しぶりです!」

「会うのは久しぶりだよな……」

「それではどこかファミリーレストランとかに入ってお話ししましょう!」

「待て……やっぱり素じゃないな」

「そ、そんなことはありませんよ……」

「俺は前のお前が気に入ってたぞ?」

「よかったマジで怠かったんだよね」

 切り替え早いな「何で敬語を使ってきたんだ?」

「いや、変わろうかと思ってさ。周りが私に話しかけないのは性格に問題があるのかと」

「そんな小さいことを気にしていたのか?」

 すると美海は鬼の形相で霧川の胸ぐらを掴み睨みつけて言う。

「おい。誰が小さいだ?」

「言ってねぇよ」

 しばらく沈黙が続くと美海は「早く行くぞ」と言い霧川の手を引っ張って行く。その道中。内川がブツブツと言いながら街中を歩いていた。

「リア充リア充リア充……何で渋谷はリア充ばっかなんだ。品川行けよたく……ん?」

 霧川を見かけるとまるで衝撃的瞬間を見たかのような顔をした。

「あ、アイツ……ロリコンだったのか!?」


 熱井達も野球の試合を終えた後だった。

「もう少しで地区予選だ!みんな張り切って行こうか!甲子園のために!」

「ああ!もちろんだ!」

 熱井達も同じく霧川を目撃すると全員驚いた。

「アレは……ロリの臭いがするぞ!これは噂を広めねばならない!」


ファミリーレストランにて 霧川はコーヒーとケーキを頼み。美海はロイヤルパラダイスパフェという普通のパフェとは違い2倍の大きさのパフェを食べていた。


「美味いなぁ!タバコ持ってない?」

「変わるんじゃなかったのか?」

「あっヤベ禁煙中だった」

 コイツの名前は天之川美海 天之川の社長の一人娘だ。父親は社長 153㎝の小柄。母親は141㎝。その間に生まれたのが129㎝の娘だ身長がコンプレックスで不良になればデカく見えると思い不良になった。いや、元不良と言った方が正しいな。2年前はもっと尖ってた。初対面の時は「何メンチ切ってんだ?」と言われたし。


「あれから2年か。早いな」

 と話を切り替える美海は言う。

「懐かしいよな。私とアンタが出会った日」

「だな。俺は大手にするためにアドバイスとプレゼンとかやって忙しかったし、美海の不祥事をなんとかするのに手こずった」

「感謝してるよ」

 2年前かぁ……元々は父親に天之川の立場をなんとかしろって任された案件だったが……俺の才能を見越して俺に託したのだろう。あの人は人の才能を瞬時に見抜くことができるからなぁ。


 2年前のことを思い出す霧川は父親の書斎にて話をしていた。

「株式会社 天之川。なんで俺がここのコンサルタントを担当しなきゃならないのですか?父さんの仕事でしょ?部下にやらせれば……」

 窓を眺めながら言う。父、霧川才は言う。

「お前は……自分の才能を無駄にし過ぎだ。ゲームはもちろん。試合、喧嘩、テスト、人生。全てをゲーム感覚で勝ち続けている。どうすべきかわかるはずだろ?」

「……つまりインターンシップに行けと?中学2年生なのに」

「社会の常識を知っているお前なら1ヶ月でアイデアが生まれ、半年で成果をだせるだろう。違うか?」

「……それで天之川は何の会社ですか?」

「主にゲーム機の開発だ。予算は1000万円の支援。話は既に通してある。この1000万円をどうするかはお前次第でもある」

「もし失敗したら?」

「輝や冷多と同じでこの家から出て行ってもらう。私が欲しいのは家を継ぐに値する子だ」

 まただよ。それで見つからなかったら養子を探すとか言い出すからなこの人は……。まぁ逆らえないんだよなぁ。世界五大企業の帝王は…。

 2年前はドミノ自動車、グレープの大企業は二つだけであった。しかし父親の才の経営する株式会社 ゼウスはこの二大企業とは比べ物にならない。ゼウスの総資産額は1兆ドル、日本円にして100兆円にもなり、二大企業合わせても5000億円もいかない。つまりは天と地の差であった。何の会社かはまた別の機会で。

「おい聞いているのか?」

「1ヶ月……1ヶ月で成果を出します。その方が燃える」

「……まぁいい口で言うのは簡単だ。結果を出してこい」

「はい」


 その後は株式会社 天之川へ向かったがそこはただの家であった。

「本当に家じゃないな……従業員は2人って……嫌な予感しかしない」

 インタンホンを鳴らそうとすると制服を着た当時中学2年の美海が金髪の状態で現れた。「チビギャル?」と思い見ていると。

「ああ?何メンチ切ってんだ?」

 違った…ただのチビ不良だった「すみません。こちらは株式会社 天之川でよろしかったですか?」

「…チッ。知らねえよ。交番に行け」

 そう言い立ち去る美海。そのままインタンホンを鳴らすと天之川恵が応答して中へ入りそのまま倉庫へ向かうとVRゴーグルを付けた天之川総司がいた。互いに自己紹介を済ませて話し合う。

「今はVRゴーグルでも作っているのですか?」

「ああ。童貞顧客に超リアルな女の子とできるゴーグルを作ろうと思ったんだ」

「それ中国が開発しましたよ」こんなくだらない物を作ろうとしたのかコイツは……。

「うーん。いけると思ったんだがねぇ」

「そちらに関する資料を拝見させていただきましたが、高性能のゲーム機を開発中とのことですが……」

「そうなんだよ!これです!」

 と出したのが超大型ゲーム機で電話ボックスほどの大きさのゲーム機だった。

「……何……これゲーム機?これ家庭用なの?」

「ああもちろんだよ!他のゲーム機と違うのは中に入って五感全てをリアルに体験できる所だ!!」

「五感全て?」

「今入れてあるのは喧嘩マニアなんだけどやってみる?」

「……試すか」

 中へ入りゲームを起動すると霧川は言う。

「コントローラーとかはいないのか?」

「ああ!ちなみに床は歩くと動くから自由に行動してくれ!」

 言われた通りに動くと床が自動で動いた。

 これは性能が高いな。別に頭に装置を埋めたわけでもないのに……これゲーム界の歴史変えれるんじゃ。

〈第一喧嘩始め〉

 すると目の前のモニターにヤンキーが現れ顔を殴られると痛かった。

「いった!マジで痛いじゃねぇか!」

「ぶっ殺してやんよ!コラァ!!」

「ちょっと待て!これモニターを殴ればいいのか!?何のルールもねぇぞ!?」


5分後 霧川は顔に痣が現れており、キレて言う。

「こんな怪我するゲーム機誰もやらねぇよ!!」

「いやでもアダルトゲームとしてなら」

「才能の無駄使いだ!!」スゴイゲーム機なのに……これを改良させる必要が……これの製作費っていくらだ?

 製作費を聞いてみると5000万円とのことで予算オーバーであった。

「予算オーバーだ……これを家庭用ゲーム機にするとアレだな……いろいろ問題になる……販売先を変更しよう」

「販売先の変更?」

「ええ。ゲーム業界を変えるための……」

 eスポーツで活躍してから俺にはスポンサーが多くついており、その内の一社はアメリカにある。アメリカへ話を通して総司と話をする。

「アメリカへ話を付けました。公の場で私が説明いたします」

「ええ!?アメリカへ!?」

「ええ」

「でもどうしてアメリカへ!?」

「軍民会社とアメリカ軍をターゲットに買い取らせます。その売り上げを使って新しいゲーム機を作るのです」

「またゲームを作るのかい!?そんな無茶な!わたしにも!」

「限界があると言うのですか?それはゼウス社を失望させる失言となりかねます。どの会社も上を目指すそれが今の日本社会。だから若手の力をも借りたいのですよ……才能溢れる若者が……」

「……では次のゲーム機を考えるよ」

「次は家庭用ゲーム機でコンパクト故に高性能なゲーム機を作りましょう。ゲーム会社の協力でソフトも作れば何とかなるはず」

 その後順調にことが進み2週間も経たない内に7500万円と父からの予算。合わせて8500万円でゲーム製作をしていたのだが……ここである問題が起きた。美海が問題を起こしSNSで炎上した。アイツがやらかしたのはある男性を半殺しにして通りすがりの通行人がSNSへ流したのだ。1人悩む霧川は独り言を言う。

「ダメだ…天之川美海の不祥事でゲーム機の開発に携わってくれる人がいない。クソ」

 すると恵が笑顔で言う。

「ごめんなさいね。ウチの娘が……あの子は昔からあーで私たちは仕事で庇ってあげられずに育てちゃったからあーいう性格になったのよ」

「……本人は今回の件なんて言ってますか?」

「女を襲っていたからって言っているんだけど……その女性が見つからなかったから警察は嘘をついているって言っています」

「……あなた方は信じていないのですか?」

「今まであの子は正直に話したことがないので……学校ではいつも孤立してるって担当の先生から聞いていますし」

「……あれ今留置所ですよね?話してきます」

 留置所へ行き話をすることにした。太々しく椅子に座っている美海は言う。

「なんか用?」

「女を襲ったって言ったよな?女と男の特徴を言ってくれ」

「知らないわよ。つーかなんでアンタが私にそんなことを話さなくちゃならないの?アンタ別に弁護士でもないでしょ?」

「……やられたら勝つまで抗う。それが俺だからな。俺の望み通りの結果になるまで」

「は?」

「お前はやられっぱなしでいいのか?」

 美海は黙り込み話を聞くことにした。

「お前がグレた理由なんてだいたいわかる。だが人は何かしらの才能を持って生まれる。お前もそうだ。どうだ?そこから出てお前をそこに入れる元凶になった男を潰さないか?ソイツの人生を…」

「……アンタがどうするつもりかは知らないけど……相手は政治家って言ってたけど?」

「ただの政治家なら敵じゃないな。向こうが権力を使うならこっちもそうするつもりだ」さてエロジジイに連絡入れるか。


その後はカクカクシカジカでなんとかなり、上手く売上向上に繋がって大手の仲間入りを果たしたのであった。霧川勝利。


現在


「最後説明雑!」

 美海がツッコむと霧川は言う。

「だって政治とか経済とかあんまりわかってねぇもん」

「どうやって大手にしたんだ?……でもアンタには本当に感謝してる。ありがとう。そういえばどうしてあの時助けてくれたんだ?本当に会社のためか?」

「……お前が1人だったからだ。俺の家庭も家庭だから1人の時間が多かった。俺の場合はゲームでそれを誤魔化していただけ……美海の場合は誰かに見て欲しくてやんちゃしていたんだろ?だから俺が見てやった」

 その言葉に美海は笑顔になり言う。

「これからは同じ学校だな。そういえば友達はいるのか?」

「ああいるよ。よく一緒にいるのが漫画家の恋宮梨絵って子なんだけども」

「ほう……女か?」

 と機嫌悪そうにストローを噛んでいた。

「それ噛む物じゃないぞ」

「うっさい。それより今からカラオケ行こう。今日は暇だし」

「ああ。いいぞ」また学校内の友達が増えるな。

 美海と少し遊び互いの帰路を歩くことにしたが、霧川は一件だけ連絡をした。

「……親父。ごめん。いろいろバタバタしてた物でしたので」

《もう1ヶ月だぞ?家でも忙しいからなかなか会えないのだから優先順位を考えろ》

「はい。久々に美海とあったよ……前とは違っていました。もう不祥事を起こすこともないでしょう」

《そうか。ならば放置しても問題ないな。そういえばゴールデンウィークに彼女に会うことはできたか?》

「あっ忘れてた」

《何を考えている!?全く…才能を無駄に使うのも大概にしろよ!……お前はそれでも我が社の跡取り息子か!?》

「難しく考えすぎですよ。それにあの件は俺自身前向きじゃないんで失礼します」

《おい待っ!》

 電話を切り思う。

 もう無理だろうな。『頼みの綱』は消えたし。はぁ〜関西人かぁ……やだなぁ。あの子俺より煽り上手いし。


 5月5日は家でのんびりと過ごし、その次の日から学校へ行くこととなった。教室に入ると全員がこちらを見てヒソヒソと話していたが、無視して自分の席に着き恋宮に話しかける。

「なんか妙な感じがするんだが」

「あ〜……噂になっているんだけど……私は気にしてないから。人の好みは人それぞれだし」

「何の話だ?」


 授業が始まり語は言う。

「ええ。今日から転校生が2人来ます。1人は1組の蜂山ソフィアさんでもう1人が天之川美海さんです。入ってください」

 生徒達がそれぞれの想いを友達に言い合っている中で美海は入って言う。

「初めまして……天之川美海です」

 すると内川は立ち上がって言う。

「ああ!お前は霧川と一緒にいたチビ!」

 すると美海は内川にアイアンクローをしてメンチを切った表情で言う。

「おい。誰がクソチビだって?」

「言ってない!言ってない!そんな悪い意味で言っていない!!」

 霧川は恋宮に言う。

「株式会社 天之川の社長の一人娘だ」

「ああ、別に霧川くんはロリコンじゃなかったんだ」

「ん?なんでそう思ったんだ?」

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