第2話 ピッチャーの悩み
とある日 恋宮は学校の机にもたれかかっていた。
「はぁ……」
ため息を吐かれ最初は無視していたが大きめのため息を吐かれ聞くことにした霧川。
「どうした?ため息なんてついて」
「面白い話にならない。もう少しで2話目が連載されるのに……打ち切りなったらどうしよう」
「2話目で打ち切りなんてないだろ。1話目が高評価だったじゃねぇか」
「1話目が出来過ぎてた。なんとかしないと」
「仕方ない。また一緒に考えるか」
「ダメだよ!」
「なんで?」
「いや……もう連載されているんだけど……なんでもできるあなたと一緒に作ったら……ズルかなって」
「……だな。まぁネタ探しならいつでも手伝うから」
「ありがとう」
すると周りの男子生徒から何やら蔑まされた眼差しを向けられていた。
「アイツこの前フラれたばかりだよな?」
「女なら誰でもいいんだろ?」
「可哀想な恋宮さん」
その言葉に対して疑問に思い恋宮は霧川に聞く。
「ねぇ。みんなはどうして霧川くんのことを知らないの?あなたの経歴ならみんな知ってるはずよね?」
「名前は公表していない。一部のお偉いさんしか俺の名前を知らないからな。まぁお前の兄貴は知ってるぽかったけどな。おそらくインターンの時に俺のことを知ったんだろう」
「そうだったんだ。ていうかどうして公表しないの?」
「俺の経歴を知って、売名とかの目的で近づいてほしくないからだ」
恋宮は苦笑いで納得した。
「ここに霧川勝利くんと恋宮梨絵さんって人はいるかな!?」
2年生の男子生徒が大声で話かけて来た。
「あの人は?」
「確か……2年1組の熱井健。何か御用ですか?」
「青空先生の紹介で相談事があるんだ!!一緒に来てくれ!!」
声がデカいと思う二人であったが食堂で相談を受ける。
「語……青空先生の紹介って……あの人進路相談の先生だろ?なんで俺を紹介したんだ?」
「先生はその件に関しては専門外だから君に相談しろと」
「俺生徒なんだけど……それでどんな相談ですか?」
「うん!僕の特訓に付き合ってほしい!!」
「相談じゃないよね?頼みだよね?」
「僕はどうしても甲子園へ行きたいんだ!!」
「ん?この学校って野球部なんてあったの?部活そのものがない気が…」
恋宮の疑問に対して霧川が説明する。
「この学校に部活はない。ただ彼の場合はピッチャーの才能があり、将来的にプロ野球選手の可能性がある。他校と連動して彼のサポートをしているってわけだ」
「うん!そうなんだ!だから僕の野球部は熱血高校の部長なんだけどね!ここの学校へ来たのは将来的な保証がつくから!」
なるほど…欲に負けたのね。
「そもそも特訓相手なら俺じゃなくて野球部の連中に頼めよ」
「それはダメだ!アイツらじゃダメなんだ!僕はどうしてもホームランを打てるほどのバッターにもなりたいんだよ!!」
「才能をもう一つ作りたいわけか……」なるほど語義兄が丸投げするわけだ。こういったことは専門外だし、彼の担当者は浮気がバレて裁判中だし。どうしたものか……。
「お願いだ!!先生の紹介なら信用できる!!頼む!!」
「……いいでしょう」暇だし。
グラウンドへ行き。ピッチャーを担当するのが霧川でバッターが熱井。応援担当を恋宮が担当することになった。
「あの…応援役なんているのですか?」
「青春漫画には幼馴染みが必須だろ!?」
「いや私熱井先輩の幼馴染みじゃありませんし…」
「恋宮さん!応援!」
恋宮は気が乗らないがメガホン越しに笑顔で言う。
「熱井先輩!頑張って〜♡……これでいいですか?」
「燃えてきたぁぁ!!」
霧川は思う。「コイツドバカだ」と思ったのであった。熱井は「投げて来い」と言われたのでとりあえず投げるのであった。
「いい球だ!だが君はもっと頑張れるはず!さぁ来い!!」
「待て待て!俺の特訓みたいじゃねぇか!」
「何を言っている!何事にも熱意を持ってやらねばならないだろう!」
なんで俺の周りはめんどくさいヤツばかりなんだ。
「さぁ来い!!本気で来るんだ!!」
「本気……ねぇ」
大きく振りかぶって投げた。すると豪速球を投げた霧川に対して驚く熱井。
「は、速い……今のは137はいっていたぞ」
「細かいな……熱井さんほどじゃありませんよ。他の高校から化け物って呼ばれているのですから」
熱井健 才能 ピッチャー
経歴
小学生全国大会優勝 ピッチャー キャプテン
中学生全国大会優勝 ピッチャー キャプテン
小学生で140キロの豪速球を投げ、中学生の頃に150キロ。そして現在160kmを超えていた。この速度はプロ野球選手を遠に超えている。
その後休憩をして3人で話す。
「へぇー。スゴいんですね」
「160kmが速いかどうか知らないな」
「まぁ野球が好き嫌いは人それぞれだからね!」
「……今思ったんだが……熱井先輩。あなた部員と仲が悪いですよね?」
「え?」
「どういうこと?」
「わざわざ俺に頼むってことはそういうことでしょう。おそらくチームメイトはあなたがこの学園へ入ることを好ましく思っていないのでしょう」
「……そうだね。小学生の頃から同じメンバーで野球をしていて……僕だけが選ばれた……みんなそんな僕に対して嫉妬して僕と特訓をしようとしなかったんだ。だから僕は……ピッチャーとバッターの両立をして一人の力で甲子園へ行くんだ!」
「バカヤロウ!!」
霧川は熱井を殴り飛ばした。熱井は怒り言う。
「何をするんだ!!」
「一人の力で甲子園へ行くだと……そんなの野球じゃねぇ!!友情努力勝利を忘れたのか!?」
「っ!?」
ん?J◯◯P?
熱井は涙を流して言う。
「そうだった……僕はみんなと一緒に勝ち上がってきたんだ……それが天神学園へ入学したいばかりに僕は……自分のことしか考えてなかったんだ。僕は……どうしたら」
「許してくれるさ……仲間なら」
「き、霧川くん!!」
熱井と霧川は抱きしめ合うと恋宮は「何これ」と思い。一人で帰ることにした。
「熱血高校へ行くぞ!」
「ああ!行こう!友情努力勝利!……それと青春のために!!」
翌朝 恋宮と霧川は二人で登校していた。すると背後から熱井が野球部を連れて話しかけて来た。
「おはよう!霧川くん!恋宮さん!」
「熱井さんおはよう」
「おはようございます!熱井先輩!……ってどうして熱血高校の制服を?」
「僕編入することにしたんだ!」
「早くない!?手続きとかは!?」
「善は急げと言うだろう!!」
「使い方間違ってるし!!」
「これから甲子園へ奮闘だろ?頑張ってくださいね」
「うん!君のおかげだ!ありがとう!みんな行こう!学校まで走って行くぞ!」
「「「「「おおおおおおおおお!!」」」」」
熱井達は走って熱血高校へと向かった。霧川は笑顔で言う。
「青春だねぇ」
「青春……かな?」