「春と秋にはあるのに」
春と秋にはあるのに
どうして夏と冬にはないの?
例えば雨にまつわる言葉
春に降る雨は「春雨」で
秋に降る雨は「秋雨」と
皆そう呼んでいるのに
どうして夏に降る雨を
「夏雨」と言わないの?
同じく冬に降る雨を
「冬雨」とは言わないの?
春と秋だけずるい
雨に自分の名前を冠することが出来て
夏と冬には何もないのか
平等な権力の分配を要求する
春と秋にはあるのに
どうして夏と冬にはないの?
例えばお休みに関するシステム
春分が起こる日は「春分の日」で
秋分が起こる日は「秋分の日」で
どちらも祝日なのに
最も昼の長い「夏至の日」は
どうして祝日にはならないの?
最も昼の短い「冬至の日」も
どうして祝日にはならないの?
春と秋だけずるい
丁度いい気候だからってお休みが許されて
夏と冬には何もないのか
平等な権利の分配を要求する
――後々調べたのですが
冬の雨と書いて「冬雨」と呼ぶらしい
何でそこは「冬雨」と呼ばないのか
まぁいいだろう、冬の雨にも固有の名称があったんだな
だが夏の雨には何もついていない!
夏だけ不当な扱いを受けている!
――再度調べたのですが
初夏に降る雨のことを「翠雨」と言うらしい
七夕に降る雨のことは「酒涙雨」だそう
「喜雨」とか「端雨」といった概念もあるらしい
他にもいろいろあった
何やねん
「夏雨」って概念は存在しないのに
夏の雨に関する名前、エラいバリエーション豊かやんけ
夏は夏でも、夏のどの時期かで分けられてるし
何やねん
夏めっちゃ優遇されてますやん
これあれだな、むしろ
夏だけが異様に優遇されていたんだな
他あれよ
「春雨」とか「秋雨」とか、「冬雨」だべ
これはちょっといけませんなぁ
春と秋と冬の雨に対しても多種多彩な名称を与えることを要求する
ついでだけども
「夏至の日」と「冬至の日」も祝日にしてほしい
雨に関する議論に熱中していたから放置していたけれど
もちろん忘れた訳じゃない
「夏至の日」も「冬至の日」も休めるよう命令する




