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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕の日常

作者: とうかとゆかいな仲間たち

「おまえはもうくびだ」

また首にされたこれで何回目だ?

僕はバイト先の裏口から蹴りだされ 

たった今まで僕の上司だった

僕の上司だった脂ギッシュな豚のカバンからとった、セブンスターに

火をつけた、ふぅー落ち着く


あ!なんか背中に電流が奔った、こんな時はいい文章が思いつくんだ

降りてきたぞ、降りてきたぞ

そうだ、詩ができた

「僕の心には君しかいないのに

 君は別の人に心を許してしまうんだ」

そんなことをつぶやき、ふと見上げると空が僕に重く暗くのしかかっていた


そんなこんなで貴重なたばこをしっかり根元まで吸いきり

足ですりけし、ひとが通る街中のほうへ歩き出す、フードをかぶり、イヤホンをして

この輝かしぃ東京という町と自分を切り離す

ああ、僕ってなんてかっこいいんだ、さすが僕

ヤンキーじゃなくてやんぱーだな


イヤホンからは、リズムよく音楽が流れ出していく、それに合わせ自分の体も自然と動く、最初は踊りだしたくなるような音楽、次は銃撃の音が心地よく響く映画のワンシーンその音に合わせて僕の世界は変わっていくそれにあわせて僕の気持ちも、僕の体も勝手に動き回る

兵士になり、銃を構えドドドドドドドドドと打つそれが終わりまた別の世界に僕はいる

そしていまは、世界的に有名なアニメのワンシーン、交差点の真ん中で叫ぶ

「おらに元気をわけてくれー」

イヤホンが耳からはずれ周りの音が戻ってくる

くすくす、ざわざわ

僕を見る目が冷たい、たまらなくなり僕は人目を避けるように

走り出す、僕の目はかすかに熱を帯びていた


走って走って、走って走って

気が付くとそこは、全く知らない路地裏だった

薄暗い雰囲気と、どこかの換気扇のブーンという

低い音が腹の中に響く、

とても落ち着く、この路地裏がとても自分に合ってるような気がした

その場に僕は溶け込むかのように、意識が落ちた


叫び声で目がさめた

叫び声のほうに恐る恐る、近づいていくと

僕は目の前のことを信じられずその場にへた垂れ込んでしまい

動けなくなってしまった

目の前ではすごく美しい女性がナイフを持ち、笑顔でナイフを振り上げていた

振り上げたナイフは月の光が反射し、赤く赤い液体がべっとりとついていて

僕のほうにもなにかが飛んできた、ほほにもかすかに熱をおびたそれが付く

その感触に侵されほほをなでると、手にはかすかに鉄臭いそれが付く、


はっとして女性のほうを見ると月明かりに照らされて、ほほを紅色にうっすらと

染めた、腰丈まで髪を結ったお姉さんが、口を釣り上げて嗤っていた、

思わずみとれてしまった、ぼーっとしてぼくが思ったのは

「きれいだな、そしておっぱいがでかい」

思わず声が出てしまった、もはやBGMとかした痛そうなうめき声

ナイフがそのうめき声に入っていく、ぐちょぐちょというおと

そして僕のうるさく鼓動する心臓の音その中に僕の間抜けなつぶやきが響く

そしてゆっくりだった時間は加速していく


そしてお姉さんは、こちらをむき

「あらいつからいたの?」と聞いてくる、お姉さんの目は僕をとらえて離さない

僕もお姉さんから目をそらせない、お姉さんの表情はまるで酔ってるかのように

とろんとしていて、童貞の僕には刺激が強すぎる、

「あらわかいわね、いくつ?」

しばらく声を出さなかったせいか、こえがのどにつっかかり、どもってしまう

口をもごもごさせながらやっとのことで声が僕の口から少し漏れる

「16」


「あらほんとにわかい」

そして僕の体を舐めますよう視線を向けてくる

その視線は本当に熱を帯びているかのように、

僕にまとわりついて来る、体が熱い、頭が回らない

そして僕は気付いた、かすかに感じる女性特有の甘い香りが

血液独特の鉄の香りの中にあることを、そしていつの間にか

気づかぬうちに女性が隣に座っていることも今気が付いた

「ぼうや胸見すぎよ」

くすっと笑う女性、恥ずかしくなった僕は

「ふん、そんな胸見たくないよ」

嘘ついてごまかす、うそだほんとは見たい

「そう?ごめんね、興味あるなら、もませてあげようかと思ったのに」

「もまないとは言ってないだろ」

「うそだよ、必死だねさては童貞でしょ」

「うるせー」

「ほら童貞じゃない、かわいい」

何も言い返せず、黙り込んでしまう、そのあと二人でただビルの隙間から見える月を眺めてた、しばらくするとお姉さんの頭が僕の肩に乗りその心地よい重さに、人のぬくもりを思い出し、お姉さんの肩を抱いていた、その僕の眼がしらは熱くなり、僕のほほを濡らす僕は僕の過去をぽつりぽつりと話し出した、


僕が沖縄出身で家出同然で飛び出してきて、年齢を偽りながらほぼブラックなバイトをして暮らしていること、家がなく、何とかして暮らしていること、初めて盗みをした時のこと、何をやってもつまらなく、ただ小説だけは書き続けてること、拾った壊れたiPhoneに拾ったイヤホンをさして色んな世界を旅していること、そして小説のために暇なときはいつも図書館で知識を集めていること、それはもう15歳で家出してから一年間ふらふらして

東京に来るまでの話しを一年間まともにしゃべれなかった分いっぱい喋った


久々な人のぬくもりを感じて、この非日常的な場面のことを忘れお姉さんに話した、お姉さんはただ静かに僕の話を聞いてくれた、そして僕を受け止め、僕を認めてくれた

それだけで、僕は満たされた、僕はお姉さんしか見えなくなっていた

そんな心地よい時間

そんな時間がどれくらい続いたかわからないが

突然お姉さんは立ち上がり伸びをして

「疲れたしシャワーあびたいから帰ろうかな、ぼうやもいっしょにくる?」

僕はきっとこの人のことが***僕のことを認めてくれるこの人が***

僕はお姉さんに答えた

「いきます。それにしても今宵は月がきれいですね」

「ええとっても、死んでもいいわ」

「僕が殺すその日まで・・・」


そして僕らは月夜を歩き出す。


僕らの日常~完~


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