表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

間諜は娘だけは捨てられない

 隣国を圧倒的な力で屈服させた魔導王国。

 王国の栄華を支えるのは、黒魔術と白魔術と呼ばれるスキルに寄るものである。


 黒魔術を有するのは王族と公爵家。大規模な殲滅術式から始まり、自己強化、幻惑や精神攻撃のような搦め手も扱え、害することに特化している。白魔術は配下の貴族。治癒や支援、結界の構築を中心とした王国の守りであり、この二つの力で成り立っている。黒魔術と白魔術は役割が違うため、一見対等に思えるが、黒魔術の攻撃を耐えるだけの力は白魔術には存在しない。王族を頂点としたカーストがそのまま力の格差になっている。




『あなた』


 絶望していた私を救いあげ、支えてくれた愛する妻。


『パパ!』


 妻によく似た容姿の可愛い愛娘。


 私には妻にも娘にも言えない秘密がある。

 表向きは王城の文官だが、所属する部署の実態は公爵家子飼いの間諜。他国よりも自国の不和を未然に防ぐことを主な任務としている。手段は問わない。命令であれば処分もする。


 因果応報なのか。仮初の幸せは脆くも崩れ去った。




 私は母親と二人で暮らしていた。物心ついた頃には父親はいなかった。それが普通だと思っていたし、貧しいながらも母親の愛情を感じていた。

 この世界では、八歳になると例外なくスキルが発現する。教会でスキル鑑定を行い、今後の人生の指針とする。私は、黒魔術が発現した。王族と公爵家しか持ち得ない黒魔術。喜ぶ母親を尻目に呆然とした。


 数日後、公爵家より使者が来た。そこで真実を知ることになった。私は公爵が外で産ませた子ども。血族を守るために意図的に作られた駒の一つだった。私の母親には金を積み、更に成果報酬を約束していたらしい。

 徹底的に調教された私の最初の任務は用済みになったモノを処分すること。「約束が違う!」「ごめんね…」心が酷く落ち着いていた。これは踏み絵なのだろうか。だとしたら問題ない。もう何の感慨も浮かばなかったから。


 ただ任務に忠実に生きていた。道徳も倫理も歪み、辛うじて人格が壊れていない人形。普通を擬態して王都に潜んでいた。

 そんな私を救ってくれたのが妻だった。隠れ家の一つとして使っていた宿屋の娘。任務は達成したが、思わぬ反撃を受け部屋で倒れていた私を彼女が介抱した。傷と熱にうなされ意識が朦朧とする中、手を握ってくれていた。在りし日の母親の姿が浮かんだ。私は愚かだ。母親をこの手に掛けたことを始めて後悔した。殺す必要は本当にあったのか? 一緒に逃げる選択もあったのではないか? 例えそれが自分の死に繋がるとしても。


 宿屋の娘、ナタリア。彼女を通して見た世界は喜びに満ちていた。血に汚れた手を拭うことは出来なくても、割り切る心のゆとりを持つことができた。

 気がつくと、私はより良い駒として公爵から認識され、城勤めと家庭を持つ権利を与えられた。条件として、私が裏切らない限り家族には関与しないが、子どもが産まれ黒魔術が発現した場合は後継者として責任をもって育てることを義務付けられた。私がナタリアに入れ込んでいることを知っていたのだろう。体のいい人質か。


 私はナタリアと結婚した。暫くは二人で生活をしたいと合意し避妊をしていた。子どもに黒魔術が発現する可能性を考えると迷いもあった。

 そんなときに、妻が妊娠した。避妊は完全ではないことは知っていた。子どもが欲しいと心のどこかで期待していたからだろうか。私は覚悟を決めた。


 産まれた子どもは女の子だった。こんな私でも家庭を持つことを許されるのかと涙した。愛する家族に囲まれ幸せだった。娘は年を重ねるごとに妻に似てきた。黒魔術が脳裏をチラつくのを必死でかき消す。純血の王家や公爵家は確実に黒魔術が発現するが、他の血が混ざれば可能性は極端に落ちる。最悪、発現したとしても、私の管理下で教育を行うことができる。私のようにはさせない。


 そして迎えた娘の八歳の誕生日。教会でスキル鑑定を行った。


 司祭からスキルを告げられる。


「彼女の持つスキルは白魔術です!」


 白魔術は貴族の証。極まれに平民の間からも発現し、貴族としての道が拓ける。


「あなた! 白魔術ですよ!」


 妻の声が遠くに聞こえる。


『かわいい子ね、奥さん似かしら』


『将来はきっと美人さんになるな!』


『お前に似ているところは……』


 誰の言葉だったか。張りぼての心がガラガラと崩れていく。

 黒魔術さえ発現しなければ人並みの幸せを与えてやれると信じていた。


 頭が現実を理解することを拒む。


 黒魔術は白魔術を蹂躙する血統。

 例え発現しなくても、黒魔術の親から白魔術の子は産まれない。


 頭が真っ白になった。




 どうやって帰ったのかわからない。気がつくと家にいた。吐き気を抑えられず、便所で蹲った。妻の心配そうな声が聞こえるが、余計に気分が悪くなる。嫌でも理解させられた。


 娘は……レーナは私の子ではない。

 だとするなら、誰の子だ?妻は誰との子を産んだ?


 私には過ぎた幸せだったのか。頭が軋む。

 吐くモノがなくなり血の味がし始めた頃、ようやく立ち上がることができた。


「あなた、食事の用意ができたけれど……」


 愛していた妻が得体の知れないモノに見えた。彼女と過ごした充実した日々。笑顔。赤らめた顔。涙。ぐちゃぐちゃになった思考は何が正しいのかわからない。母親の死に顔が脳裏をよぎる。後悔はしたくない。気持ち悪い。好きなんだ。吐き気がする。愛している。自分がどうしたいのかわからない。


「すまない。体調が悪いようだ。今日はもう休む」


 全てを呑み込み、それだけを口にする。考える時間が欲しい。


 レーナの鑑定結果は公爵の許に届く。私は駒ではあるが、腐っても同族の血筋だ。平民であろうが貴族であろうが逆鱗に触れる可能性がある。覚悟が揺らいだ今、私は守れるのか? 守る必要があるのか? 出口の見えない思考の海に沈みこむ。何時間経ったのか。妻が布団に入り、私の背中から抱きしめていた。身体が強張り、涙が零れる。昨日までは安心できた体温が今は嫌悪感がある。そう感じる自分にも失望する。

 結局、一睡もできずに朝を迎えた。




 家に居たくない。休日だったが、急な仕事と妻に伝え家を出た。煌びやかな王都の景色が色褪せて見えた。朝から酒場で酒を飲み、気を紛らわす。手が震えていた。私は何を恐れているのか。真実を知る勇気がない。随分人間らしくなったものだと心のどこかで独り言ちる。まだ妻を信じていたい。自分でも正気とは思えないが、偽らざる本心だった。


 酒場を出て、帰路につく。妻と話がしたい。体調は昨日より悪かった。仕事と嘘をついてまで逃げておいて、不安に押し潰されて戻ってくる。滑稽だ。

 自宅が見えてきた頃、紋章の付いた馬車が近くに停まっていた。貴族か? 公爵家の紋章ではない。玄関の扉の前に蹲る小さな人影が見えた。レーナだった。彼女は僅かに顔をあげ、こちらを向いた。


 涙に濡れた瞳を大きく見開き、駆け寄り飛びついて来る。思わず避けようとしたができず、レーナを抱きとめた。


「パパ……わたしを捨てないよね?」


 絶句した。時間の猶予はもう無いことは知っている。だが、公爵家の手の者が来るにしては、あまりにも早すぎる。


「わたしはパパの子どもじゃないの?」


「それは……」


 聞きたいのはこちらだと叫びそうになる。我が子と思い愛した娘が本当の娘ではなかった。幼児の頃からずっと育てて来たんだ。もう何を信じれば良いのかわからない。


「レーナ、誰から聞いた?」


「ママと……知らない男の人。本当のパパだって……」


 ゾクリ


「家の中にいるのか?」


「……うん」


 レーナの本当の父親?胸の中で顔を埋めるレーナを思い切り引きはがしてしまいたい衝動に駆られる。急速に頭が冷めてきた。震えるレーナを見下ろした。


『パパ!』


 ……できる訳がないだろう。


「レーナ、少し離れていなさい」


 頭を撫でながら、出来るだけ優しく伝える。


「パパ?」


 レーナが離れたのを見計らい、魔術を発動させる。


「【クレアボヤンス】」


 自宅を透視し、目標の位置を探った。


「うげぇ……ッ」


 湧き上がる吐き気に身体がくの字に折れる。


「パパ!? どうしたの!?」


 レーナが駆け寄ろうとするが、手で制する。

 可能性は考えていたが……見るんじゃなかったな。


「大丈夫だ、少し驚いただけだ」


 レーナの身体がビクリと震えた。

 おい、まさか……いや、聞かない方が良いだろうか。




 まさか自宅に忍び込むことになるとはな。物音と喘ぎ声が聞こえる。どこの貴族か知らんが処分してやる。事後承諾で構わないだろう?

 暗殺用のナイフを逆手に持ち、息を潜める。音がする度に、胸に杭を打たれているような錯覚に陥る。落ち着け。


気配を消して、絡み合う二人との間合いを詰め、男の背後から首にナイフを振り下ろし――


『あなた』


妻と目が合った。一瞬、躊躇する。


「やめてぇぇぇぇッ!!」


 肌にナイフが触れる寸前、不可視の壁に阻まれた。

 くそっ! 結界か!!


「あっぶねー……」


 妻が立ち上がり、男を庇うかのような体勢になる。

 ナタリアがいなければ殲滅術式を起動してしまいたい。辺り一面更地になるがこの男を殺せるのなら安いものだろうか。


「フィデル! 何をするの!?」


「……それはこっちの台詞だ」


 煮えたぎり爆発しそうな感情を抑え告げた言葉は、氷点下の冷たさを伴う。


「こ、これは……きゃっ」


 男が立ち上がり、妻を後ろから抱きしめながら話しかけてくる。


「邪魔しないで欲しいですね?」


 男は見せつけるように手を動かす。


「貴様ッ!!」


 汚い手で触れるなよ!?

 妻の表情を見て愕然とする。どうして嬉しそうなんだよ……。


「私ね、真実の愛を知ってしまったの。あなたには悪いと思っているわ。でも、もう抑えきれないの。離婚しましょう?」


「ふざ……ッけるなよぉぉぉぉぉ!?」


 怒りに呼応し体内の魔力が暴走する。男の結界が砕け散った。

 実体のない魔力が暴風と化し室内に吹き荒れる。


「なっ!?」


「きゃあっ!?」


 膨れ上がる魔力が唐突に途切れた。


「あぐ……ぅ」


 フィデルの首に淡く光る入れ墨のような模様が浮かび上がっていた。

 公爵家が駒に与えている制約の証。周囲への被害を考慮した安全装置。


「へ、へへ……驚かせやがって……よっ!」


 痛みで蹲るフィデルの腹を蹴り飛ばす。


「がはぁッ」


「エクトル様、そんなの放っておいて行きましょ?」


「命拾いしたな?」


 男の嘲笑と女の声を聞きながら意識が遠のいていく。

 最後に聞こえたのは誰かの泣き声だった。




 目が覚めると、内装が滅茶苦茶になった寝室の床に転がっていた。あのまま意識を失ったのだから、当然か。玄関の方から扉を叩く音が聞こえる。この音で起きたのか……。痛む身体を引き摺り、玄関に向かった。


「フィデル、仕事だ」


「ああ、わかった」


 同僚だった。夢から醒める時間のようだ。




 王城にある公爵の執務室。

 王家に連なる者としての風格と威圧感を放つ初老の男性が座っている。


「フィデル、呼んだ理由はわかるな?」


「はい」


「対象は、ルフォール伯爵家次男エクトル。ルフォール伯爵から達ての希望だ。私怨もあるのだろう?やり方は任せる」


「…………」


「あと、これは私からの命令なのだが……ナタリアを捕縛して差し出せ。あれは魔力の通りがいい身体だ。良い母体になる。エクトルの娘は処分しろ。不快だ」


「わかりました」


「制約は解除しておいてやる。遠慮はするな」


 ノヴェール公爵は嗤う。


「仰せのままに、閣下」




 目標はルフォール伯爵家が所有する別荘にいる。情報によると、使用人や護衛も支援してくれるようだ。暗殺ですらないな。


 真正面から訪問し、屋敷に迎え入れられた。どうやら地下室にいるらしい。


「地下室? どうしてそんな場所に? こちらとしては都合が良いですが」


「あの…いろいろ道具が揃っている部屋なので……」


 侍女が恥ずかしそうに答えてくれた。

 あー……うん。何となくわかった。申し訳ない。


「このまま掃除してきますので、暫く立ち入らないように」


「わかりました」


 地下の階段を降りていく。何回聞いても不快な声だな。ここまで聞こえてくる。特に隠れもせずに扉を開けた。


 男が腕を止め、こちらを振り返る


「ああ!? なんでお前がここにいるんだよ!!」


 ナタリアの方は縛られた上に目隠しされているな。レーナは…壁際で鎖に繋がれていた。


「えっ? 何!?」


「ナタリア、楽しそうなことをしているな?」


 レーナが反応しないな。


 部屋に足を踏み入れようとすると、結界に遮られた。制約のない黒魔術に白魔術が逆らえると思っているのか?手に魔力を纏い、軽くノックする。結界は音を立てて割れた。


「私は別に復讐に来た訳じゃない。ただの仕事だ」


 唖然とするエクトルにポケットから取り出した結晶を見せる。


「これが何かわかるか?」


「……映像結晶か?」


「正解」


 映像結晶は人の姿と声を保存するために白魔術で編み上げた結晶。私では作ることはできないが、使用することぐらいならできる。


「ルフォール伯爵から伝言だ」


映像結晶を使用した。鮮明な像が浮かび上がる。


『エクトル……これ以上は庇いきれん。お前がどうなろうと、もう儂は関知しない。この国の貴族であるなら事実を受け入れろ…』


「――だそうだが?」


「なに、を……」


「【少し黙っていろ】」


 制約が解除された影響は魔力の出力だけではない。対象の精神を侵食するほどの緻密な魔力操作をも可能とする。少し操作を"間違えれば"廃人にすることもできるんだが……それはしない。楽にさせる訳がない。だから軽い暗示程度の魔術を使用した。


 大人しくなったエクトルの横を通り過ぎ、ナタリアの目隠しを解いた。


「フィデル!! エクトル様に何をしたのよっ!?」


「なあ、ナタリア。コイツは好きか?」


「当たり前でしょう!?」


「そうか」


 エクトルの膝を蹴り砕いた。

 崩れ落ちるが呻き声一つあげない。


「エクトル様っ!」


 駆け寄りたいのだろうが縛られて動けない。縄が食い込んだだけだ。


「あ、あなた……おかしいわ。どうしてこんなことするの?」


「私は元々、こんな奴だよ」


 エクトルの無事だった方の足を踏み砕く。


「やめてッ!! ねぇ、もういいでしょ!? あなたらしくないわ……」


「コイツとレーナ。どちらかしか助けられないなら、お前はどうする?」


 ナタリアはレーナを一瞥したあと、少し躊躇いがちに答えた。


「……エクトル様よ」


「そうか」


 エクトルの右腕をへし折る。

 ん? 反応なしか? ナタリアは静かに涙を流していた。


「やめてよ……わたしを好きにしていいから……」


「いつからコイツと繋がっていた?」


「……結婚して二年目」


 エクトルの左腕を引き千切った。


「私のことはどう思っていた?」


「愛していたわ。でも、今は……」


「わかった」


「【喋ってもいいぞ】」


「た、助……けて……くれ……」


 エクトルの前にしゃがみ込む。


「エクトル。ナタリアを捨てるなら助けてやってもいいぞ?」


「そん……な……女……ただの、遊びだ。いく……らでも……捨てて……やる」


「残念だ」


 エクトルの周囲の空間の圧力が徐々に高まり始める。

 鈍い音を立てて骨が砕け、圧縮されていく。


「ぱぎゅ!?」


 ベキベキと気持ちの悪い音が聞こえるが、どうでも良い。

 エクトルから視線を外し、再びナタリアに問いかける。


「コイツで良かったのか?」


「…………」


「ナタリア、私は今でも愛しているよ」


「……ッ」


「でもね、それ以上に憎いんだ」


「わたしは……」


「君には感謝している。それは今でも変わらない。だけど、どうしようもなく手遅れだ」


「…………」


「ありがとう。そして【おやすみ】」


 意識を失ったナタリアをシーツで包んだ。

 鎖に繋がれたレーナの側に寄る。


「パパ……」


 虚ろな瞳に映るのは何か。ただの殺人鬼ではないのか。




「残骸の処理はお願いします」


「わかりました……」


 強張った顔の執事に別れを告げ、同僚と合流する。


「ナタリアか。確かに受け取った。それで――それは何の真似だ?」


 フィデルの服の裾を掴み、背後に隠れていたレーナに目を向ける。


「…………」


「処理命令が出ていたはずだが?」


「…………」


「ならこちらに寄越せ。代わりに処分してやる」


 足元の地面が爆ぜた。


「……正気か?」


「もう後悔はしたくない」


「お前の幸せを壊した奴の娘なんだろう?そんなものを庇うのか?」


「それでも、私の娘だ」


「お前の命に釣り合うほどの価値があるとは思えんが」


 フィデルの身体には莫大な魔力が漲っている。

 制約を解除されていない同僚にとっては明らかに分が悪い。


「裏切者の末路は知っているな?」


「ああ」


「わかった。もう何も言わない」


「すまない」


 遠ざかるフィデルを見送り呟く。


「馬鹿野郎が……ッ」




「――以上が報告になります」


「ご苦労だったな」


 部下が退出するのを見届け、ノヴェール公爵は溜息を吐いた。

 王家に連なる者としての風格も威圧感も今は消えている。


「ままならないものだな……」


 過去に思いを馳せる。




 貴族は一夫多妻を認められているが、王族と公爵家は血統のために親族との婚姻しか認められておらず、自ずと婚姻を結ぶ相手が限られていた。そんな中、フィデルの母親、ナタリーと出会った。必要以上に接することができなくても、彼女を愛している。一族の義務と使命のために切り捨てた今でさえ。

 暗く沈み淀んだ瞳のフィデルがナタリーを処分する光景を見届けた。後悔はしていない。それでも、思うのだ。もしも彼女と平民のような生活を送ることが出来ていれば幸せになれたのかと。立ち止まることはできない。燻る妄想を抱え、部下を駒として消耗した。自意識の薄いフィデルでは遠くない未来、命を落とすだろう。胸が痛む。……痛む? 些末なことを考えていてはキリがない。


 ある日、報告に来たフィデルの様子が変わっていた。間違いなく人間として生きていた。何が彼をこうさせたのか。興味が湧いた。

 フィデルを変えた女の名はナタリア。ナタリーが脳裏を過ったが、特に関係はなかった。見る見るうちに人間らしさを取り戻していくフィデル。女の存在を隠しているようだが、あからさまではないか。彼女の身に危険が及ぶことがフィデルの危険に直結すると危惧した。だから、婚姻を認め、表向きだけでも普通の生活ができる環境を与えた。見てみたかったのだ。我が一族でも普通の幸せを掴むことができるのかを。自分の手で守ってみせるがいい。


 フィデルが結婚してから二年。ナタリアに男の影があった。数回程度ではあるが、フィデルは気がついていない。知らせるか否か。踏み込むべきではないと判断した。私が摘発することは容易い。だが、それでは駄目だろう。過保護に守るつもりは無い。行く末を見届けることにした。

 ほどなくして子どもが産まれた。時期を考えると怪しいことはわかっていた。どこか嬉しそうな雰囲気のフィデルを眺めた。スキル鑑定が近づいた一週間ほど前、ナタリアは再び男と関係を持った。この時点で黒と断定した。ルフォール伯爵家次男エクトル。ルフォール伯爵にはそれとなく情報を流してエクトルには干渉するなと伝え、映像結晶を作らせた。終焉が近づいていた。フィデルはどうするのか。また人形のように戻るのか。それとも――




 手元の報告書に目を移す。


「エクトルの処分とナタリアの捕縛は達成。レーナを処分できず他国に逃亡か。制約で縛り直しても良いが、しばらく泳がしておいても面白いかもしれんな」


 報告書のナタリアの身体についての欄に《妊娠》の二文字がある。


「フィデル、忘れものがあるのではないか?」






 レーナを連れ他国に逃亡した私は、冒険者として日銭を稼ぎながら旅を続けた。追手を考えると定住は選べなかった。本当にこれで良かったのだろうか。

 もう何年経ったのかもわからない。レーナを見るとナタリアを思い出す。似ているのだ。ふとした瞬間にナタリアと呼んでしまいそうになるほどに。


 未だに悪夢が脳裏にチラつく。心の深い部分での人間不信が再燃し、レーナ以外の人間を信用することが難しい。レーナが近くにいると落ち着く。だが、思うのだ。私はレーナを〈レーナ〉として見れているのか? 心のどこかでまだナタリアを求めていないか? その度にエクトルとナタリアの姿が思い浮かび狂いそうになる。


「フィデルさん、お水持ってきましたよ」


「ああ……。ありがとう、レーナ」


 レーナはパパとは呼ばなくなった。年齢的な問題もあるのだろうが、気を遣ってくれているのがわかる。心の傷は時間が治してくれると言うが、いつになればこの痛みから解放されるのだろうか。そもそも歪んでいた私には、元の形などありはしないのかも知れないが。


 宿の二人部屋で休む。個別に部屋を取らないのはレーナが私を心配してだ。年頃の娘に支えられている現状になんとも言えない気分になる。


「すまないな」


「気にしないで! わたしも好きでやっているだけだし……」


 他愛ない会話をして、眠りについた。



 月明りの無い深夜。



「きゃあッ!?」


「――ッ」


 殺気が自分に向いていなかったからか、反応が遅れた!

 心の中で舌打ちをする。


 ベッドの上に座る形のレーナが、小柄な人影にナイフを首に当てられていた。纏う魔力は間違いなく黒魔術。追手か……。


「動くな。この女を殺すぞ」


 子どもの声? 布で顔を覆っているから容姿は見れないが、おそらく少女。


「私だけで充分だろう? 彼女を放してくれないか?」


「……ッ」


 少女の身体が震え、手に持ったナイフに力がこもる。レーナの皮膚に浅く刺さり、血が流れた。

 隙を伺っていると、少女が声を絞り出した。


「どうして……どうしてよッ」


 強い視線に射貫かれる。目元は殆ど見えていないが、声で涙を流していることは察しがついた。


「君は……」


 少女が自らの手で顔の覆いを解いた。

 その隙にレーナを奪還しようと思ったが、動けなかった。


 気がついてしまったから。


 ナタリアにもレーナにも似た顔。そして、私の面影もあることを。

 どういうことだ? ナタリア、君は一体……。


「そんなに、この女が大切なの……?」


「そうだ。レーナは大切な娘だ」


「わたしは、どうなるの? 産まれて来ない方が良かった?」


「そんなことはないよ……。正直、かなり驚いているけど」


「そう……なんだ……」


「君の名前は?」


「ヘレンだよ」


「ヘレン。ナタリアは……生きているのか?」


 自分の犯した罪に胸が締め付けられる。彼女にも同じ業を背負わせたのではないか?


「生きているよ。今は修道院」


「修道院?」


 あれ? 公爵、母体にするとか言っていなかったか?


「ずっと辛そうだったの。でも、わたしも理由は聞いていたから何も言えなかった。黒魔術が発現して家を出たから、そのときに修道院に入ったみたい」


「そうか……。なあ、ヘレン」


「うん?」


「そろそろレーナを放してくれないか?」


「あっ! ご、ごめんなさい!」


「忘れられたのかと思いました……」


 がっくりと項垂れたレーナは、傷口に手を当て自分で治療しているようだ。


「あ、あのね」


「なんだ?」


「お父さんって呼んでも良いかな?」


「良いぞ」


「お父さん」


「ああ」


「お父さん」


「どうしたヘレン」


「えへへ」


「……で、ヘレンちゃんは何をしに来たのかな?」


レーナが少し不機嫌な様子でヘレンに問いただす。


「えっと……お父さん。魔導王国に帰って来てくれませんか?」


「それは……」


 無理だ。任務を放棄し、逃亡した者に対する処罰は死のみだ。


「公爵様からの伝言で、任務が終わったなら結果可否を問わず報告をしに来い――だそうです。わたしとしても、お母さんに一度会ってもらいたいと思っているので一緒に来てくれると嬉しいです」


 思わずレーナに目を向ける。


「わたしも一緒に行っても良いのかな? 処分されそうなんだけど」


「それも大丈夫ですよ! 公爵様もそんなに気にしていないと言っていました!」


「さっき殺されかけなかった!?」


「ちょっと気に入ら……ゴホンゴホン」


「なんなのこの子!?」


「わかった。レーナの安全も約束できるなら私は構わない。王国に帰ろう」


「良かった! 同僚さんに連れてきてもらったから、朝になったら迎えに来るね!」


 まだ取り戻せるのだろうか。夢見た幸せを……。




 切っ掛けは友人と外食をしているとき。ずっと王都に住んでいるから、顔見知りも多い。優しい夫と何不自由ない生活。ただ、少し刺激が足りない。そんなときだった。貴族の男に声を掛けられたのは。

 友人もいるし、一緒に食事をした。年下だけど彼の強引なところが夫には無い魅力を感じた。後日、二人きりで会う約束をした。行為の背徳感と愛を囁かれることの喜びに身が震えた。

 冷静になったのは、妊娠したとき。夫ではない子を身籠ってしまった。もう会わないことを彼に告げ、わたしは日常に戻った。夫を愛していた。それでもあのときの熱情が燻っていた。


 夫に似ていない娘を見るたびに罪悪感に苛まれた。間違いなく彼、エクトル様の子。彼の子なら白魔術が発現するかもしれない。でも、もし発現して貴族になるのだとしたら、わたしはこのままで居られるのかな……?

 娘のスキル鑑定が近づいたある日、夫の不在を見計らったかのようにエクトル様が家にやって来た。そして、そのまま――燻っていた火種が燃え盛る。やはり夫よりも愛してくれる。娘に白魔術が発現した場合も彼の方が親として適任だ。そう自分に言い聞かせて彼に溺れた。

 スキル鑑定で白魔術と告げられたときは運命だと思った。体調が悪いのか辛そうな夫の姿に少し罪悪感を感じ、身を寄せたが、物足りなかった。仕事に出た夫を見送り、しばらくするとエクトル様がやって来た。「迎えに来たよ」嬉しかった。レーナにも父親と紹介したが、信じられないといった目をしていた。そのまま彼が接吻をし始めそうだったので、レーナには先に馬車に行かせた。

 夢中になって時間を気にしていなかった。エクトル様の背後に、見たこともないような冷たい表情をした夫がナイフを振り下ろそうとしていたのが目についた。何かできる訳ではない。でも、彼を死なせたくなかった。わたしの叫びで一瞬、夫が躊躇したのがわかった。エクトル様の結界が何故か砕けたのには驚いたが、倒れた夫を見ても何かしようとは思わなかった。ただ、これ以上、傷つけることは僅かに残った良心が痛んだ。


 エクトル様の別荘で刺激的な生活。非現実的な状況になおさら昂る。レーナは泣いていたけど、そのうち慣れると思いたい。エクトル様はレーナにも教えたいらしい。流石にまだ早いのではないだろうか。


 終わりは唐突だった。


 何かが割れる音とエクトル様と誰かが口論している声が聞こえた。急に静かになり不安になる。目隠しを取ったのは夫だった。羞恥心よりも先に、エクトル様の身の心配をした。夫が淡々とエクトル様を壊しながら、質問を投げかけてくる。身体が震えた。どうしてこんなにも平然としているの?わたしのことなんてもう見ていないような……悪寒が走った。いやだいやだいやだ!


『私のことはどう思っていた?』


 愛しているわ。でもそれ以上にエクトル様のことが――


『そん……な……女……ただの、遊びだ。いく……らでも……捨てて……やる』


 ――え?


 胸にぽっかりと大きな穴が空いたかのような感覚に陥る。私は改めて夫を見つめた。夫は平然としてなんていなかった。握りしめた拳からは血が滴り落ちていた。無表情に見えるが瞳は哀しみに彩られていた。

 いつか見た、自分の命をモノのように扱う姿とは似ても似つかなかった。


『ナタリア、私は今でも愛しているよ』


 どうして今、そんな言葉を言うの?


『でもね、それ以上に憎いんだ』


 当然だ。わたしは、それだけのことをした。


『君には感謝している。それは今でも変わらない。だけど、どうしようもなく手遅れだ』


 わたしは本当に大切だったものをドブに捨てた。その報いが夫との別離。燃え盛っていた火も消え去り、罪悪感と後悔に苛まれるけど、もう遅い。


「ありがとう。そして【おやすみ】」


 意識が急速に薄れていく。許してくれなくても仕方ない。それでも謝ることができなかったことが心残りなの……。




 魔導王国に帰還し、さっそく報告に向かう。


 本当に大丈夫なのか?私の知っている公爵とヘレンの知っている公爵様が、とても同一人物とは思えない人物像なのだが。


「おお! 良く帰って来たな、ヘレン!」


「ただいま帰還しました!」


「はじめまして、ノヴェール公爵閣下。わたしはレーナとお申します」


「君がレーナか。すまなかったな。私の目が黒い内は貴族共にも手は出させん。安心すると良い」


「――で、だ。フィデル、何か言うことはあるか?」


「申し訳ありませんでした」


「個人的にはお前の行動は応援してやりたいところなんだがな。規則は規則だ」


「はい」


「降格だ。ヘレン専属の教官になって彼女を一人前に育て上げろ。今のままだと未熟すぎて死んでしまうぞ?」


「なっ!?」


「お前宛てに元ルフォール伯爵から示談金が届いている。家ごと潰して奴隷堕ちしてまで用意してくれた金だ。心意気に免じて許してやれ。駄目そうなら連れてきてやってもいいが」


「……いえ、結構です」


「あと、お前の家なんだが……別に用意させた。引っ越しをするがいい。ナタリアの荷物は彼女自身が処分済みだ」


「ありがとうございます」


「もっと嬉しそうな顔をしても構わんぞ?」


「あの……失礼を承知でお聞きしますが、閣下、変わられましたね?」


「余計なお世話だと言っておこうか」


 ノヴェール公爵は嗤った。




 引っ越しの荷造りをし、新居に移る準備をする。王都に着いて数日経ったが、未だにナタリアには会いに行っていない。あのときの怒った表情と蔑む瞳、そしてエクトルに媚びるような表情が忘れられない。今は落ち着いているらしいが……元の彼女に戻ったのだろうか。いや、そもそも、どの彼女が正しいんだ? 全てひっくるめての彼女なら何を信じればいいのか。

 わかっている。ただ、私が怯えているだけだということは。


 荷造りが終わり、あとは運ぶだけとなった。ナタリアとレーナと暮らした家。辛いこともあったけど、大半は幸せな時間だった。それだけに、平和を蹂躙したあの光景が黒い染みのように思い出を蝕む。もう、この家には住めない。新居に移ることを一つの区切りとするなら、あの頃のナタリアとの生活を此処に置いていくためにも、会う必要がある。おそらく彼女も未だに過去に囚われているから。


 修道院は王都から離れ、東方の街にある。

 私はレーナとヘレンを連れて馬車で修道院に向かった。


 修道院で面会の申請をすると、ほどなくして会うことができた。


「ごめんなさい!!」


 ナタリアが頭を擦りつけるように土下座した。


「ナタリア、やめてくれ」


「嫌……です。わたしはフィデル様を裏切りました。浮気して……あなたの子ではないむす――」


「ナタリア、それはいい。レーナは大切な娘だ」


 思わず語気を強める。


「……申し訳ございません」


「レーナだけじゃない。ヘレンもいるんだ。母親としてそんな姿をさせる訳にはいかない。頼むから椅子に座ってくれ」


「……わかりました」


 私、レーナ、ヘレンとナタリアが机を挟んで相対して座っている状態なんだが……。これじゃあ会話し辛いだろう。


「ヘレン、ナタリアの隣に座った方が……」


「やっ!!」


「…………」


 ナタリア泣きそうな顔して俯いているな。これは酷い。

 レーナは椅子を寄せて腕を組んだ状態でナタリアを睨んでいる。


「……レーナ、ヘレン。一度、退室してくれ。話が出来ない」


 渋々といった様子で二人が退室した。


「ナタリア、元気…だったか?」


「はい……」


「できるだけ、以前のように話してくれないか?」


「わかり……わかったわ」


「さっきも見たと思うけど、レーナもヘレンも元気だよ」


「うん…」


「まだアイツのことは好きか……?」


「もう好きではないわ」


「そうか」


「ヘレンとは上手くいきそう?」


「ああ、私とナタリアの子だしな。頑張るよ」


「……っ……うっ」


「ナタリア……?」


「ずっと後悔してて……謝りたくて……っ」


「…………」


「ヘレンに……どう接したら良いのか……わからなくて……。わたしの所為であなたを失って……。あの子、凄くしっかりしているの……。でもそれって、わたしがあの子の、子どもで居られる時間を奪ったからで……っ」


「そうか」


 ナタリアは息を整えて、私を改めて見据える。

 席を立ち、土下座した。


「許されるとは思いません。本当に申し訳ございませんでした」


 だから私も彼女の側に跪き、顔を上げさせ、両手を握った。


「以前のようにやり直せるのかは分からない。だけど、少しずつ修復していくことはできると私は思う」


「フィデル……」


「本音を言うとね、まだナタリアが怖い。私は臆病だから。それでも良ければまた一緒に暮らして欲しい。子どものためにもね」


 ナタリアを抱きしめた。懐かしい感じがする。まだ身体が強張るけど、克服することができるのだろうか。


「ありがとう。わたしもまたあなたと暮らしたい……っ」


 しばらく抱き合ってから、レーナとヘレンを呼び戻した。


「ナタリアさん。わたしはまだ、あなたを許していません」


 レーナが開口一番ナタリアに告げた。母親として接しない方針のようだ。


「ごめんなさい……」


「謝罪もいりません。ですが、一緒に暮らすのは別に構いません。フィデルさんのためになるなら……」


「ありがとう」


 ヘレンは特に何か言う気はないようだ。

 面会を終え、その足で手続きを済ませてナタリアを引き取った。




 ナタリアとは婚姻をせず同居の状態で様子を見ることになった。私自身、未だに抵抗があるからだ。この先、再構築できるのかは分からないし、彼女を心の底から信じられる日が来るのかもかも分からない。それでも今はこうして共に歩み直そうと思えた。

 そういえば、最近レーナが妙に擦り寄ってきて困るんだが……年頃の女性の自覚はあるのか?






フィデル:サレ夫。心の壁が多重構造になっている。再構築を頑張ろうとした矢先、思わぬ刺客に堕とされる。


ナタリア:シタ妻。ラリった状態から復帰し同居まで戻れたが、消極的に接している内に、娘が立ち塞がった。


レーナ:托卵の娘。年齢=フィデルと過ごした時間。おかげで、ナタリアよりも一緒にいた時間が長く、フィデルの分厚い心の壁の内側にいる。娘としてしか認識されていなかったが「血繋がってないよ?」「男として見ているよ?」と夜這いを繰り返し堕とした。内縁の妻と化す。


ヘレン:実娘。フィデル教官の許、立派な間諜になる。人格的には早熟すぎるが、恋愛方面では一番スレれていない。


エクトル:毒彼。顔と金を兼ね備えたDQNで人妻好き。血統を尊ぶ王国の禁忌に触れ粛正された。


ノヴェール公爵:息子世代には合理的で非人道的と評価されるが、孫世代が現れてから軟化した。ちなみに同世代には微塵の容赦もない。ルフォール伯爵の〈達ての希望〉と〈心意気〉を評価して徹底的に叩き潰している。後継者に任せてからは好々爺になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ナタリア大人しく苗床になってりゃいいものを ドロドロになってて草なんだわ
[一言] 2/10かな
[一言] 主人公にも非があるのは当然だが、一番は妻だろうな 決定的なのは娘を捨てるような発言を娘の前でしたこと 夫と妻が分かれる時点の話では 妻の場合、不貞をしたことで妻としての責務を投げ出し、娘を捨…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ