9ククク
はずがなかった
いくら歳下であり
いくら堕落した男であり
いくら人形を勝手に改ざんしたって
暴力を野放しにするわけにはいかない
僕は、靴を履いている彼女に覆いかぶさろうと
行きおい良く彼女にとびかかるが
彼女は、履き終えた赤い靴で軽く一歩退くと
音がしそうな回転に加えて
僕の頭をけ飛ばす
そのまま僕は、錆びたあまり衛生的にもよろしくないとがったドアの縁に叩きつけられ
その日の朝
通行人の老人に通報していただき病院に運ばれた
病名は頭部表面亀裂 肋骨の挫傷 鼻の鼻骨の骨折
針五ハリを縫う事になったが
問題は、彼女が、一体何者中のか
それを知る物が、先輩はもちろんの事
住居者の中に誰ひとりおらず
僕は、真夜中に、おやじ狩りの少女を部屋に招き入れられおやじ狩りに会った
と言うような事を言う警察を無理やり
人形を捨ててしまって妹と口論になったと言う物にすり替えようとしたが
余計話がこじれそうで、悪魔でも本当の事だけを話しておいた
病室には連夜
先輩からの嫌がらせの電話が鳴り響き
僕は一人携帯電話の電源を落とすこともできず
一人不眠症の夜を過ごすことになる
自宅に帰還すると
母親が残した一週間分の食料が、冷凍庫に積み重なっていたり
机の前の座布団に藁で出来ている人形が置かれていたりと
不可解な事が、数度目撃された
僕は、その日からようやくパソコンパラダイスに逆戻りしたのであるが
どうも深夜零時を過ぎると
僕の部屋の新聞入れに、何を考えているのかは知らないが
何者かが、藁で作られた人形を、投函して去るのである
その数は、だんだん増えており
ただでさえ少ない僕の衣装ダンスにとりあえず放置していたのであるが
今では、スカスカなTシャツの段とは対照的に
ぎっしりとあける事さえ拒むほどにその藁人形は数を増やしていた
そろそろ捨てるべきだとは思うのであるが
嫌がらせなのか
捨てた翌日には
部屋のフィギュアの横に、いつの間にか設置されていたりした
不法侵入である
一度、警察を呼びたいが
部屋の惨状を説明するのも一つ一つめんどくさそうであり
なおかつ誰かを部屋になど入れたくは無かった
と言うか捕まる可能性が無いのは、分かってはいるが
未だ今の世の中に、二次元をめでる文化が浸透しているとは言い難い
「よし」
僕は、画面をクリックするさなか
携帯のゲーム機の白い石を、打ちこむ
さぞかし悔しいだろうと自称キューバ出身のゲーム機内のキャラにほくそ笑んだその時
また新聞入れで物音がした
僕はなれたもので
電気を一瞬のうちに付けると
受け箱を開く
そこには、プラスチックの四角い半透明の箱が入っており
僕は、それを恐る恐るあけた
中には、黄土色の液体が手の振動でわずかに揺れており
何とも言えない匂いなのだが
その容器の中に、明らかに遺物が紛れ込んでいた
それは、藁の形をしており・・・・