6ロクブロー
ふと近所の閉店ギリギリの銭湯の湯船につかりながら
アパートの住人の名前を誰も知らない事に行きあたる
まず、住人に興味は無いし干渉もされたくはない
しかし、例の子供
あれはいったい誰の子供なのだろうか
確か、目撃した時刻はお昼過ぎだったような気がする
自分としたことが、最新のアニメの劇場情報を見逃しており
ついつい劇場特典目当てに、居てもたってもいられず
九時過ぎに家を飛び出したのだが
明るい外にふらつきながら
劇場に付き
そのまま立っていられなくなり
真ん前にあるデパートの地下にもぐり
近所の老人と親子連れの子供たちに混ざり
ドリンクを飲んでから何とか帰還したのであるが
そこで、ぼやけた視界の中、見上げたアパートのベランダに
明らかに子どもがいたのだ
そう、今になって考えれば、夢だったのかも知れないが
まあ、いいだろうなどと考えていたら
そう言えば、あの幻想を見た部屋は、一体どこだっtだろうかと言うか所に行きついた
正直、給料は貰ってはいるが
彼らのお金を集めたりする事は無いし
接点が限りなく低い
最近よく合うのは
ジンギスカンを庭で、一日中撫でている老婆くらいだろうか
その人も名前は知らないが
「うむ」
僕は、適当に体を洗い
時間ぎりぎりで銭湯を出る
時間は夜十二時を少し過ぎてはいたが
ここからが僕の時間である
先ほどまで壁の補修にいそしんでいたが
ようやくパソコンの前に座れる
いや、新刊の本も良いかもしれない
児童書だが小学生のころから愛読しているので
ついつい新刊が出ると買ってしまう
とくに、好きなシリーズだと何時でも読める安心感から寝かせることもしょっちゅうあるが
いま思いついたし読もうか
僕は、自宅に帰還し
部屋の前の扉に立った
「めえ」ジンギスカンが
扉に半分詰められている広告を食べている
郵便局の方にはこの状況を理解してもらっているが
チラシを配る方には秘密にしている
僕は、ゴミ掃除を、ジンギスカンに任せ部屋の扉を開けようと
奴を横にどける
奴は頭突きの姿勢を一瞬したが
髪を食べる事に忙しいらしい
良くそんな有害物を食べるものだ早くなくなってしまえ
なんて、事を思い描きながら
僕が扉を前にするとそこには、子供がいた
歳は幼稚園児くらいかもしれないが
正直最近の子供の歳は分かりかねる
と言う都市伝説のような上等等句があるが
しかし、老人だっ昔よりは長生きなはずだ
そうなると早熟遅終なのかもしれない
いや待てよ最近の子供は生意気だとも聞く
どちらにしても小さな人間の違いなど僕にわかるはずもなく
それは幼い顔をした小さな人間だ
暗い玄関 蛍光灯が切れそうになりながら寒々しい明りを玄関に照らしていた
「どうしたんだ」
なんて言葉が出ない
奴は、心底恨みのこもった顔をして押し黙っている