4ヨンドン
ヤギが来て三日
あれを置いて行った先輩は
僕にそれと一万円を、渡した
「まあ、飼うんならこれくらいいるだろう」
正直どれくらい必要だか知れないが
僕は、さばけないならあとはお前がどうにかしろ
と言う先輩にたいして
飼う以外の解決案を探せなかった
「ちなみに名前は無いから私はジンギスカンと命名した」
たぶんいま思いついたのだろう
僕は、食べれない肉を置いて何処かに去っていく先輩と
もしくは、確信犯だろうとここにはいない母親を思いっきりしかめ面で睨んだ
結局 一万円は、コンクリートで覆われたすのはら荘の門に、簡易式の柵を設けるだけで終わった
しかし、問題点はそこでは無かった
僕は、管理人ではないのだが
毎朝僕の扉の前で
「うるさい」と言う苦情が来るようになる
仕方がないじゃないか
僕は、パソコンで、トサツを調べて唖然ととしながら
社蓄をも凌駕する姿勢に吐き気と食欲不振に陥っていた
しかし、それとは反対に
庭の手入れされた草原で、ヤギをいじる人間がいるのも確かであり
会議の一つでも開かねばならないのだろうかと思ったりもしたが
めんどくさい僕は、昼寝をかいししたのである
「うるさいんですけど」
明らかにとうが建っている女性が
乗り込んで来た
何重にもあれからロックを改良した僕は
取り立て屋のように扉をたたく音に耐えかねて扉を開城した
「僕に言われても」
「・・」
じろりと睨まれる
部屋の中を見ているのかも知れないが
カーテンを閉め切った部屋には
パソコンから漏れる青白い明りが床を照らすくらいだ
「管理人でしょ」
違いますと言いたいが
「違います先輩に頼まれただけです」
するとそのヤンキーのような女は
「どこ小だよあと何歳」と
あまり僕と言う存在を年下と見たような意味不明な事を言ってきた
「・・欅小 25ですけど」
恥ずかしい でもいいのだ
と割り切った僕の表情とは裏腹に
彼女の口からわざわざ言葉が漏れるのを聞いた
「せんぱい かがね まさかカガネ先輩の」
この人も先輩の被害者だろうか
まさかキャバクラか何かで無理やり働かされて
僕は、同情の念を抱きながらうなずく
「それは、失礼しました
わたし、近所で、キャバクラをやっていますママです」
・・・そうなんですか
僕は、彼女を前に
何故か先輩の武勇伝
いかに彼女を尊敬
また助けられたかを散々話され
ヤギの話は、消えて行った
それどころかジンギスカンに家を建てるとまで言い始めた
何でも、大工の知り合いがいるとか
・・・僕は、適当に相槌を打った
まあ、クレームがつかないのは良い事だとして
去りゆく彼女を見ながら僕は、扉を閉めた
恐るべき先輩
僕は、鍵を閉めて
布団に飛び込んだ
これで騒音問題に悩まされなくて
「めぇええええええおえぇえええええええーー」
今まであの扉キックで気が付かなかったが
うるさい