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3サンエェエ

お風呂に入るときになって

気が付いたことがあった

どうやら僕は、男ではないらし

なんとも特徴のない胸から

てっきり男だと思っていたのだが


今現在、見るも無残な28歳の死体を目にして

感傷に、涙している姿をおふくろに見られ

いつの間にか彼女のお風呂に入る事になっていた

久々の我が家

引き籠りを始めて五年の歳月がたとうとしていた

再婚を理由に、居ずらくなり

この近所のボロアパートを、ただで住まわせるのを理由に結婚をいや

家を出るのを許容したのだ

どちらにしてもただでさえ人見知りなのだ

いきなりやってきたやつに

「仕事しろ」なんて言われた日には

実家が火でボウボウになりそうだ

で、引っ越した僕は、ある現実を知った

「よお」

引っ越して数日

隣近所と隔離した牙城を獲た僕は

昼夜と知れずパソコンと懇意にしていたのであるが

久々開いていない僕の部屋の扉が開いた

締め忘れたのか

有り得ない

必ず扉の施錠を第一重要項目候としているのだ忘れるわけがない

しかし、眩しくて見えない玄関には明らかにそれを背景に人が立っている

おふくろではない

明らかに背が高い

何者だ

まさかたちの悪いやくざがこのアパートに

もしくは新手の新聞勧誘か

「太朗君 暇みたいだね」

黄金色に輝く金髪

女にしては背が高く

その釣り目は三千世界のヤクザの一員に居てもおかしくは無く

小学校のころのマラソンの記録をすべて塗り替えるのはおろか

市民プールの水泳大会 市民運動場の短距離 修験道登山の先頭を歴代最速で更新した女

カガネ先輩ではないだろうか

まずいぞ

僕の心臓ががなり立てた

「わたしさ、ここの管理人廉オーナーなんだわ

お前管理人任せた日給千円な」

今県が定める最低賃金が860円

「心配すんなって、掃除だけだから」

女にあるまじき背後を腕で手繰り寄せ

ばしばしとたたく彼女

僕は、頷くしかなかった


掃除

それは奥深い

僕と言う人間は

昼間に行動できない人間だ

人の目が気になるし

真昼間から働くのは現実的ではない

だから早朝日が昇る前か

日が沈んでから僕の掃除は始まる

まず、庭掃除

始めは、どこぞのジャングルに迷い込んだと言われれば

そうとしか言いようのない中庭も

朝露がはじける時間帯であれば

その鎌による切れ味を最大限に生かす事が出来た

そして何よりこのアパートに置いてある鎌

何だろうこの妙な違和感は

その刃を見るたびに心が落ち着かない

しかし、その切れ味たるや蔦さえも一刀両断である

そんな事を地道に一週間も繰り返すと

そこは、更地に変化しあとは、芝でも植えようかと考えて居ると

「よう」と

もうじき日が出かけそうな朝日を前に

金色のヤンキーが馬鹿高そうな刺繍が入ったジャケットを羽織り現れた

「これ、さばいても良いぞ」

朝日が出るさなか

「メェーーーー」と言う騒音がすのはら荘に響いた

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