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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第6巻~FIGHT IN THE DARK~
95/163

~第15幕~

 横浜治安部隊2012総本部、地下の一室へと新部隊隊長の命を受けた明神力也が向かう。その部屋は電子ロックが掛けられていた。ふと思いだす。今朝自宅のポストに入れられたメモ用紙を。それは彼の懐に仕舞ってあった。



「まさか……そういうことか?」



 力也はメモを広げて、そこに記された「ykkzzyajime2012」を電子版に打った。彼の経験上、ここまでスパイじみた行動をとった事は初めてのように感じられた。秘密を共有することは珍しくもないが、ここまで徹底を施されたモノと接したことはほとんどない。鼓動が高まって妙な緊張が迸る。



 ドアを開けるとすぐに見えたのは腕相撲をしている自衛隊員達だった。



 力也は唖然とした。また体格が良いのは腕相撲をしている2人の青年のみで、一人は華奢な女性と腕相撲のレスリーを元気よく努めているのは大人しそうな白髪交じりの壮年だ。「何だ? コレ?」と思わず力也がこぼすのも無理ない。拍子抜けとはまさにこの事を指すのだろうか。



「お! お待ちしておりました! 特殊部隊『零の破滅』で書記を努めさせて頂きます羽藤詩織と申します!」



 タブレットを持つ眼鏡の女性隊員が挨拶をしてきた。



「羽藤?」

「はい、お気づきになられているかもしれませんが『零の指弾』一員だった羽藤紫音の妹になります!」

「そうなのか……!?」

「はい、そこの皆さんも挨拶して下さい!」

「お~これはこれは失礼いたしました。『零の破滅』で副隊長をさせていただきます、諸伏明海と申します。以後お見知りおきを」



 気がつくと体格のいい青年隊員達も敬礼して立っていた。



「護衛・戦闘の任に着きます久喜重弥です!」

「同じく護衛・戦闘、高沖遊馬です! お願いします!」



 力也は隊長職の任命を受けた明神力也であると話すと、隊員らに座るように促した。そして彼が座った後に彼らも座って続けた。



「横浜中を取り巻く状況が状況だ。本来なら我々が特殊部隊を編成したものの指揮を私がとるのだろうが、今回この案件は全く違う。畑の全く違う者同士が秘密の部隊を組んで任務にあたる。ある程度の内容は聞いているのだろうが、このうえ更に異質な人間がこの部隊に加わる予定だ。皆はわかっているのか?」



 少し間をおいて諸伏が「わかっていますとも、それでもこの任務を勤めてくワケが我々にはあるのですよ。そう、我々には共通点があるのです。羽藤、説明しなさい」と話して羽藤に話を振った。羽藤はタブレットを片手に立ち上がり、スクリーンを起動させた。



「はい、我々の部隊名は『零の破滅』です。社会には伏せられていますが、世を震撼させ恐怖の底に沈めようとしていた『零の指弾』を意識したネーミングになっております。しかしご存知のように組織は神奈川県警の手によって壊滅。首謀者である白崎創は横浜刑務所の特別区域に幽閉されるようになりました。ただこの組織の手によって大切な家族を失った人間は数少なくいます」

「まさか……」

「そう、何の偶然なのか、ここに集まった私を含む皆様がそうなのです。また、そのうちの4人が自衛隊所属であったのも何かの運命なのかもしれませんね。ただ……この部隊の発動には『承認』が必要となっております」

「承認?」

「我が部隊は白崎創を迎い入れて一連のテロ首謀者とみられる黒崎零の捕縛、あるいは殺害を図る目的にて編成されました。最も、彼が本当に首謀者なのかどうかも定かではありませんが……その問題解決の最前線に立っていく役割もあります。しかし、その為には弊部隊隊長・副隊長の認可を必要としています。ただし、明神隊長と諸伏副隊長の承認をこの場で頂けなければ「即解散をするように」と治安部隊本部より指示を受けました。心苦しくはありますが、本部隊結成の承認を口答とサインにて確認をさせて頂きたく思います。いま、お願いできますか?」



 突然だ。そう思った力也だったが、諸伏という男は颯爽と立ってサインをし、すぐに「当然でしょ? でなければここには来ない筈だ」と答えてみせた。



 自分はどうだろうか? これまでにない異種職種との捜査及び戦闘の仕事になる。ここで歯向かえば一連のテロの捜査には関わらせて貰えないはおろか、関与の可能性が疑われて自由ですらなくなるだろう。



「わかった。参加する」



 彼は迷ったようで迷わなかった。しかし翔との合流を切に願ってやまないと思ってみたりもした。



「ありがとうございます。それでは皆様……」



 羽藤は新部隊結成に何を感じてか息を詰まらせた……



「これより、白崎創を仮釈放しに横浜刑務所へ向かいましょう」



 運命の歯車は廻り始めていた――




∀・)力也、仲間を得るの巻でした!ええ、まあ、リアルではこんなことあり得ません(笑)異種職種は例えどんな理由があろうとも、特殊部隊を組むなんて法のもとでは変な話ですからね(笑)しかしそこはフィクションだから出来る事、ここから厨二アクションをしっかりやっていけたらと思っています☆彡また次号☆彡

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