~第7幕~
明神翔の3分の2は力也と共に力也の自宅へ帰宅した。
「ここは我が家じゃないか」
「そうだよ。ここで作戦を練りなおそう」
「作戦を練りなおすって……」
力也は戸惑いながらもどんどん進む翔についていった。
居間には倒れた妻が居なくなっていた。救急車で搬送されたのだろうか?
妙にそわそわする感じがありつつも、力也はソファーに腰をつけた。
翔は何げなくテレビをつけた。
「これは!?」
テレビに映ったのは燃え盛る野神邸だった。柏木が目をつけていた野神晶子らが住む豪邸である。
「ここに住んでいる野神晶子を除く家族及び使用人達は彼女と彼女の亡き弟によって始末されている。そう言ったら何のことかわかるよね?」
「まさかゲームの?」
「そうさ、関係者さ。そして彼女の弟、修也こそが害虫を大量発生させた死神ときている。俺は暫くの間、父さんのリサーチを代償に彼らの手中で動かされていた。決戦の後になって停戦の要求をしてきたが、隻腕になった父さんを対象にして勝手にリサーチをかけていた」
「まさかニュースで言っているドローンって言うのは……」
「リサーチする為の道具さ。虫も何匹か飛んでいたが、ひと通りは始末した」
「じゃあこの館を燃やしたのは……?」
「イチイチ説明しなくてもわかるだろ。俺は父さんに病院に行くように話した。それなのに柏木から電話を受けて、頑なに現場にむかった。俺の話もまったく聞かないで……そりゃあ、綾間が死んでしまったことは俺も悲しかったし気になったのはあるけどさ……」
「む、悪かったな……だが俺はいたって平気だぞ?」
「それは俺が必死で俺の治癒をしたからだろう……」
「俺が全て悪いみたいじゃないか! 翔!」
翔は目を閉じて首をゆっくりと横に振った。そして目を開けるとゆっくりと力也に近づき。腕の無い肩にそっと彼の片手を添えた。
「このゲームは残り3人の敵がいる。俺の3分の1は野神修也の傍らに送った。光を充分な戦闘へ蓄える為に最低1日は必要だ。野神と殺し合うことになれば、俺の力は尽きて亡くなってしまうだろう。父さんも一緒に……」
「………………」
「今ここにいるのは俺の現有する3分の2だ。これだけあれば不可能なことも可能になるかもしれない」
「ま、待て! 翔! お前、一体何をするつもりだ!?」
「野神晶子、黒崎零、この2人を始末できるチャンスがあったら始末していい。でも暫くは……この世に存在する警察として大人しく勤めてくれ」
翔の身体に多大な激痛が走る。それは力也も同じくだった。
辺りが一気に眩しくなって閃光が走った。
一瞬にしてその瞬間はおさまった。気がつけば力也は仰向けに倒れていた。
右手で左腕をさする……。
「戻っている……!?」
力也のなくした左手は蘇生されていた。しかしその代償にいなくなった者の存在にも気づいた。
「翔…………」
テレビは燃え盛る野神邸をずっと映し続けていた――
『速報です。火災があった資産家、野神啓太郎氏の邸宅より、野神啓太郎氏含む15名の遺体が発見されました。死後1カ月近く経過しているものとみられて、損傷から殺人の可能性があると捜査関係者の取材より明らかになりました――』
∀・)明神親子再びの別れ……次会う時はいつになるのか。翔の無茶によって力也の片腕は蘇生されましたが、これはかなりの無茶なので翔はどう分裂しようとも隻腕の戦士になってしまう仕様になります。ただこの「実験」が成功したことにより、翔の能力の凄さがまた1つ証明されちゃったんですね。それが何かはまたゆくゆくと。それではまた次号!




