~第2幕~
水晶玉が映しだしたもの、それはその場にいた全員の度肝を抜くものだった。衝撃的な事件があったワケではない。ただ死神の雇用主である少年が示すものとして余りに呆気なくも毅然としたものであったからだ。
「うふ、うふふふふふ! そうね」
「何が可笑しいのです? マダム」
「可笑しいとは思わないわ。でもこの立ち振る舞い、あのコを思いだすわ」
「そうか、テッドはわかないだろうな」
「わからないですよ! 貴方も貴女も、そこの王もみんな変わり者です!」
「いやさ、君がまともかまともじゃないかの話じゃない。マダムが死神として戦っていたとき、君は生まれていたか?」
「!?」
「このゲームの勝者ならわからなくもない筈だ。このゲームは死神だけが強くあれば制するものではない。強い雇用主がいてこそ頂点がとれるのだ。そうだろう? マダムよ」
「牧師は知らないようで知っているのね」
「ゴンゾーラのほうが知っているのだろうがね」
「テッド、私の雇用主はトムソンという息子よ。そして彼には義理の弟がいた。その弟はシリアルキラーとして国中で悪名を馳せた死刑囚だったわ。だけど、私の息子は心が優しく町のみんなから愛されるコだった。だけどこのゲームで私と一緒に戦った彼は町で人気者の心優しい彼ではなかった。冷酷で狡猾で、死神である筈の私ですら畏怖した。最初はこのゲームを嫌がっていたのにね」
テッドは閃いた。全ての糸が繋がって1つのものが見えたようだった。
「それってまるで……」
「なぁ、わかっただろう? 余りにも酷似しているのさ。マダムが戦っていた時のゲームとね。まぁ、まだエレナたちが勝つと決まったワケじゃあないがね」
「人は生まれながらにして呪われているのか……」
「私はここにいる。彼と彼女が私の生まれかわりなんて事はありえないけどね」
メアリーは水晶玉を眺めながらもどこか遠くにあるものを見つめているようだった。
「しかしこの状況、彼女達にとって彼が重要な存在であればキツイだろうな」
「彼女達はまだマナトやヤマタロウを召喚できますよ?」
「召喚するように思えるか?」
「レイが狡猾な男ならばね!」
「ふふっ、だいぶここの住人らしくなってきたな。テッドさんよ」
「傍観者はいつでも誰でもなれるものですよ、牧師」
違う答えと答えがぶつかり争いは生まれる。だが傍観者たちのそれは至って気楽なものなのかもしれない――
∀・)番人たちのパートはここまで。特殊なパートですが、この話ではボクの話したいテーマみたいなものを残した感じもあります。まぁ、作品として楽しんで貰うのが1番ですけども。ではでは。また次号。




