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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第5巻~DEAD OR ALIVE~
77/163

~第15幕~

 見覚えのない古めいた雑貨ビルの屋上にエレナ達は降り立った。



「ここはどこだ?」

「サァナ? 知ラナイ。中ニ入ルゾ。手ヲ離スンジャナイゾ」

「ああ、もう恥ずかしくもない。でも中に入ったら離せよ?」



 秋も暮れに入ってきたのか、暖房も何もないここはやや肌寒かった。1階は何かの飲食店になっているらしい。2階と3階は誰かが住んでいるか何かしら事務所になっているかのようだ。4階は空室だが鍵が掛かっていた。



 エレナの闇具現術によって施錠は容易に叶った。何かのクラブだろうか? ステージがあって、バーカウンターがあるその雰囲気は零には初めての場所だ。大きなソファーに腰かける。その気持ち良さに酔いしれそうな零。だがここにきて、気になったことをエレナに尋ねた。



「どうした浮かない顔してよ?」

「晴美サント九龍タチガ死ンダ」

「そうか、鬼道院は?」

「ワカラナイ。連絡ヲシテクレ」

「ああ、もうちょっと休んでね」

「ドウシテソンナ平然トシテラレル!?」

「何言っている、お前? お前こそ動じすぎじゃねぇのか? いつ俺達が死ぬのか分からないのに」

「レイハ変ワリ過ギダ!! 仲間ガ死ンデモ何モ思ワナクナッテイル!!」

「あは、あはははは」



 零は笑ったかと思うと、ソファーから起きあがってすぐエレナの胸座を掴み、怒りを露わにした。



「元々平和だった俺の世界を壊したのはお前だろうが!! 俺は親友も殺され、彼女も殺され、唯一の親戚に裏切られて命を狙われて!! 俺をこんな戦場に駆り立てたのはお前だ!! お前に偉そうなことが言えるのかよ!?」



 零が怒りをまき散らせてすぐ、同じビルの人間と思われる者が入ってきた。



「あんれぇ~今日は誰も使ってないはずだけどな~? 鍵閉め忘れたのか? もう若い連中ときたらいい加減な奴らばかりだの~」



 このビルの管理者なのか? すぐに鍵を閉めて去っていった。エレナの影化によって救われた。エレナが電気をつけて、冷静な自分に戻れたようだった。



「すまん。俺が悪かったよ」



 零はボソッと謝ってみせた。エレナは首を横に振り、作り笑いで応じた。



「でも、このゲームを生き抜くにはもう賢くやるしかない。俺は仕留め損ねたけど、俺も戦えるなら戦った方がいい。これからのことをお前と話し合いたい。それは応じてくれるだろ?」

「アア、勿論ソウダヨ、零」



 零とエレナの間には確かな絆ができあがっていた。そして彼らの願いが何か、零は少しずつ見えてきた気がしていた――



「もしもし。鬼道院か?」

『おう』

「生きていたのか? 良かった!」

『ああ、お陰様でな。赤い液体に化ける奴を倒したぜ』

「敵を倒したのか! 手柄じゃないか!」

『ああ、だからもう俺は横浜からは出るわ。さらばだ』

「え?」



 鬼道院は電話を勝手に切った。間もなく着信拒否にもしたようだ。



「逃ゲラレタカ」

「エレナ。頼めるか?」

「何ヲ?」

「アイツのところに飛んでいこうぜ」



 零の瞳に何一つ迷いはなかった。エレナも自然と呼応した――




∀・)いや~なんかこう漫画的というよりアニメ的というよりTVドラマ的な感じがしてきた話でした。作者個人的にはですけど。鬼道院遂に死神ゲームから逃げるのかどうか。次号です。

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