~第9幕~
廃工場の大門が開き、エレナと鬼道院に晴美が広間にでてきた。
「誰もいないわね~」
「油断スルナ。コノ血シブキノ量、タダナラナイゾ」
「なぁ、俺もう帰ってもいいか?」
「馬鹿、何カ仕事シテカラ帰レヨ」
錆びたコンテナの上から零と九龍姉妹が現れた。早くも合流できたようだ。
「思ったより静かだな。派手に何かあったみたいだけど」
「零、早クコッチニキテクレナイカ?」
「エレナ、心配するな。こっちにはこっちで頼もしい味方がいる」
零が左手を広げた先には頬をピンクに染めた美奈がいた。
「おいおい、大丈夫か? 人間でもない奴と殺し合うのだぞ? 遊びじゃ死ぬぞ?」
鬼道院がそう吐くと、零達の向かい側のコンテナから西園寺が現れた。彼女の手には手りゅう弾が握られていた。
「全くだ! ガキが遊びにくるトコじゃあねぇんだぞ!!! ゴラァ!!!」
彼女はすぐに手りゅう弾を零達めがけて投げた。
晴美は「チッ」と舌打ちをして発砲するが弾は手りゅう弾に当らず。
しかし奈美がすぐに片手を発光させて光線を放ち、これが命中した。
大きな爆発が生じた。
鬼道院の「伏せろ!!」という大声が幸い爆発まえにあり、全員が爆風に巻きこまれることはなかったみたいだ。しかし暫くの間、煙が場内に広まった。
煙がだんだんと引いていく――
晴美は異変に気付いた。場内のマンホールが開いていた。誰かが入ってきたのか? すぐに立ち上がり、銃を構える。背後から声がした。
「その格好で拳銃を構えているとは一般人じゃないな。敵とみなす。許せ」
彼女が振り向いた時には遅かった。
林原晴美は両腕と胸を鈴木政宗による斬撃によって斬り捨てられ、2度目の死を迎えた。
「南無」
政宗は片手で彼女の成仏を念じた。
「晴美サ……」
エレナは鬼道院に口を塞がれた。「早く影になれ! 晴美さんのことに執着をするな! 今は戦局を冷静にみることが先決だ!」と鬼道院が話すのに合わせ、すぐに「影化」をおこなった。零達は無事だろうか? すぐにでも晴美の復讐を果たしたいところだが、それは難しそうだ。その男は異様な凶器を放っていたからだ。
「今何か話し声が聴こえたな? 透明人間でもいるのか? まあ、試し斬りも悪くはないか」
政宗はその刀を振るった。エレナたちのすぐ頭上に斬撃の跡が残った。
「気のせいか。一人始末した事に変わりはない。見てまわるか」
そして彼は立ち去った。晴美の身体からは光粒子が少しずつ舞って、やがて彼女の体も消失した。彼女の瞳から涙がこぼれていたが、それは痛みからではなかった。ただ息子の親友になった青年への想いからであった――
ノД`)2度目の追悼、晴美さん……この作品に初めてでてきた時は超極悪人だったのに何故か切なくなる不思議。まだまだ決戦は続きます。次号。




