~第1幕~
神奈川県警の捜査本部は最大要員を要して横浜中で起きている怪事件の捜査進捗状況を確認し合った。
凶悪犯罪組織「ゼロの指弾」首謀者であった白崎創の義理の弟、黒崎零が関与しているのであろう青風園の奇怪な殺人事件の数々。またそれとは別に資産家、野神啓太郎の屋敷付近では外来種の危険度高い害虫による死傷事件。はてまた横浜の裏町にある廃工場では謎の爆破事件も報告されていた。
綾間紳一郎は黒崎零による「ゼロの指弾」の再結成を危惧する可能性を強く説いた。これには明神警部も同意して、その線での捜査を踏みきることを支持した。
しかし黒崎零が殺人に及んだのは河村卓史の件のみしか物的証拠がなくて、横浜中で起きている怪奇事件すべてに関わる首謀者ではないとみられた。
それ以上に怪しまれている人間がいた。
野神晶子。彼女は野神啓太郎の愛娘であり、野神家の豪邸に住む令嬢だ。その野神家の人間は晶子を除いてこの1カ月の間に全員が行方不明になっている。また晶子当人も大学を退学し、有り余った資産を使って豪邸に立て籠っている。その豪邸付近で害虫が出現し、暴れていることが警察関係者の捜査意識をとりたてていた。
ここに横浜中の怪事件の真相があると主張するのが柏木純一警部補佐だった。
結果的に捜査はやはり野神晶子をマークする方向で進んだ。もっとも今なら直接会うこともでき、自宅内の捜査も特に嫌がることなく協力はしてくれる。しかし彼女もまた犯行に及んだ物的証拠に欠けるものがある存在だ。
まだまだこの事件による闇の解明は解き明かされそうになかった。
「科学班もお手上げ、前代未聞の都市伝説がここ横浜で語り継がれますね~」
「柏木、お前はやる気がないのか? あれほど野神晶子を疑ってかかっていたワケだが……」
「やる気があっても、みんなまともに聞いてくれないから、どうにもならないでしょう。明神警部の捜査には何か突破口がみられるのですか?」
「い、いや、俺は綾間のいうように黒崎零を捕まえる事が先決とみているぞ。な、なぁ、綾間」
「………………」
綾間は口数が少なくなっていた。このまえの鬼道院と面会した折も謎の失神をしたばかりだ。自分が行動を起こせば起こすほど何かが空まわっている気がして仕方がなかった。
彼は窓から見える入道雲を仰いだ。
「ちょっと休みたいかな」
「そりゃあ、みんな同じだぞ?」
「ああ、じゃあ僕はいきますね」
柏木は颯爽と部屋を出た。気丈な奴。同い年同キャリアの綾間は微笑んだ。
力也は未だ合流できない翔の安否を気にした。幸い自身は健康体だ。彼が命を落としたのなら、自身も死んでいる筈。気がつけば彼も綾間と一緒に窓から見えるおかしな形をした雲を眺め、ご自愛のコーヒーを啜った――
∀・)警察って大変ですよね。新キャラ柏木登場です。キャストはTOKIOの松岡さんかな~。今後もちょくちょくでてきますので、宜しくです。また次号。




