~第15幕~
鬼道院魔裟斗は目を覚ました。
目を覚ました? おかしい。自分は何者かに銃殺された筈では?
彼は身体が縄で括られていた。首には特殊な首輪が巻かれていた。
「この首輪は……!?」
周囲を見渡すとそこに黒崎零と2人の女がいた。1人は鬼道院へ発砲した女である。この状況、とても現実的に受けとめられないものとしか形容できない。気がつくと彼は冷や汗を垂らしていた。
「その首輪はアンタが拷問用に使っているものだ。このボタンを押せば、首が何本もの針で刺されるようだな?」
そう言って零はリモコンを振って見せた。
「待て! 何の真似だ!? いや何で俺は生きている!?」
「冷静になれ。じゃなきゃ俺たちは何回もお前を殺さなきゃいけなくなる」
「わかった! 聞く! 何でも聞く! 命だけは勘弁してくれよ!!」
「ははっ、命を奪う身分から奪われる身分になった気分はどうだよ?」
「零、キチント説明シロ。コノママジャ、ラチガアカナイ」
鬼道院は遂に涙を流し始めた。そして死の恐怖からか失禁までもしていた。しかしそれに遠慮することなく、零は彼に顔を近づけて話をはじめた。
「今俺の横にいる2人は死神という人間でない存在だ。普通の人間では目にはできない。でも死神によって命を奪われた存在は、契約を結ぶことで護られる。契約内容は簡単だ。ここにいる俺たちの力になれ。協力しろ」
鬼道院は「わかった! すぐ契約する!」と必死で返事したが零はその返事ではその場しのぎにならないと判断して、1時間考える猶予を与えるとした。
まさに拷問そのものであった。
「零、ソンナコトシテ、セッカクデキル契約ガデキナクナッタラドウスル」
「大事なのは契約するしないじゃないよ」
「エ?」
「その契約内容さ」
零の微笑みには確信があった。
1時間の間にエレナが近くのコンビニで食べ物と飲み物を拝借してきた。
「お前の能力って便利だよな」
「ソコハ感謝シテ欲シイトコ」
「あー! 私このオニギリ大好き! ありがとう! エレナちゃん!」
「ドウモイタシマシテ」
約1時間経った。鬼道院はまだ混乱するばかりであった。しかし与えられた猶予がなくなったのは事実であり、零は躊躇することなく鬼道院へ尋ねた。
「説明はきちんとハッキリするまでしてやるよ」
そして手を差し伸べた。
「アンタが河村さんにした事も忘れてはやる。俺達の力になるか? それとも俺達に殺された事にするか? どっちか選べ。どっちでも俺はアンタを認める」
答えは1つしかない。しかし……
『俺はアンタを認める』
その言葉で彼はどこか救われたような気がした……
「力になれなかったらすまん」
「それはその時に謝ってくれ」
零と鬼道院は握手を交わし同盟を結んだ。
「仲間がどんどん増えていくわね。このゲームでこの光景、信じられないわ」
「何カ零ニハ素養ガアルノカモシレナイナ」
「ふふっ、身内自慢?」
「晴美サンダッテ、アノ子ハ今デモ自慢の息子ナンダロウ?」
「そうね、もうっ、おだてたって駄目! エレナちゃん(笑)」
零たち一行には何かが少しずつ芽生えているようだった――
野神修也の分身の蝿は雇用主である晶子とモニターを拝見していた。
1位:明神翔
2位:黒崎エレナ(林原晴美)
3位:西園寺明日香(真中豪)
4位:氷山由紀
5位:野神修也
6位:久保竜也
7位:鈴木政宗
8位:月村丈
9位:九龍奈美
×真中豪(西園寺明日香)
×権藤山太郎(黒崎エレナ)
×菊池叶子(野神修也)
×小倉仁(野神修也)
×尾崎琢磨(氷山由紀)
×林原晴美(黒崎エレナ)
×黒崎真人(黒崎エレナ)
『九龍ちゃんが急に力を落しているのはいつもどおりだけど、これは面白いね~♪ お姉ちゃん♪♪』
「黒崎エレナねぇ……」
『どうかしたのかい?』
「いや、まあ、何にしても“今度の日曜日”が全てだね」
『ふふふ、ワクワクするね~』
「最近、警察が私たちの家のまわりを嗅ぎまわっている。注意が必要よ、修也」
野神晶子は好きなお酒を断っていた。
決戦の日曜日はすぐそこに差し迫っていた――
∀・)「証人」という枠に鬼道院がハメられる話でした!零君って何かに目覚めようとしてはいるんですよね~。フラグは白崎創にあります。ここに結構練った設定があったり。本章はあと少しで終わります。ではまた!次号!!




