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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第4巻~MOON LIGHT SHADOW~
52/163

~第7幕~

 零達の作戦が無事に遂行された翌日、その朝から警察署に綾間はいた。



 部下たちより情報がいきとどく。朝早くから衝撃的な知らせを耳にした。



「権藤元太が自殺した?」



 数日前に彼の家を黒崎零が尋ねている情報は得ている。その日は大雨が降る予報もあった為、外出している人間は横浜市内では少ない。マンションの監視カメラにはフードを深々と被った黒崎零が権藤宅からよそよそしく出てきて、マンションから出る姿を確認できるのみ。顔を隠してはいるようだが……



 机の上にあるメモ書きに元太の筆記体で「死にます」と記されていたという。



「マスコミが喜びそうなネタだな(笑)」

「どうされます? 警部補が追っている黒崎零は数日前に彼と会っていますよ」

「尚更に黒崎零はマークしなきゃあな? 明神警部にもよく伝えておいてくれ」



 そう言って、綾間は青風園へ颯爽と向かった。




 張り込みを開始して何十時間が経っただろうか。黒崎零も昨日一緒に行動を共にした女子も施設から出てくることはなかった。



 気がつけば夕焼けが車内を染め、彼は眠りに入っていた――



 作戦を終えたエレナと奈美は作戦遂行の翌日夕方、綾間が眠りに入ったタイミングで零の部屋に帰還した。



「ただいま~」

「おかえり~」



 美奈と奈美の挨拶はどこか温かい姉妹の雰囲気を醸しだしていた。



「お疲れさま。ひとまず作戦どおりにいったようだな」

「彼女ノ発想モ役ニタッタナ。シカシ貴女タチノ“光”ハ何デモデキルノダナ」

「えへへ。でも話題になっちゃうかもね~」

「ああ、なんならニュースになっているよ」



 そう言うと、零はテレビを指さした。



 テレビに映っていたのは例のマンションのベランダから飛び降りようとする目を閉じた権藤元太の姿であった。



「何コレ!? めちゃ目立っているよ!」

「でしょ? 私達やればできるでしょ!」

「自慢スルコトカ?」



 零は顎に手を添えて、思考を巡らせた。



 たしかにエレナと奈美の姿は映像に映らない。作戦は大成功しているように感じられた。しかし何かが零の不安をよぎらせた。



「変に分析されないといいな」

「え?」

「いや、まるで夢遊病にかかったようにベランダに出てきているからな」

「死神ノ正体ハ死神ニシカ解カラナイ。案ズルニ及バナイヨ」

「そうだよ! 考えすぎ! 感謝こそしろ!」



 何だろうか? 何か重要な何かを零は見落としているような気がしていた。



 明神力也は一人、テレビを観ていた。



 テレビに映る死神2人に眠らされ? ベランダから突き落とされていく権藤元太の姿をハッキリ目にした。



 翔とは未だに連絡がとれない。



 明神翔は野神姉弟とソファーに腰掛けながら力也同様にエレナと奈美の悪事なるものを目にしていた。野神家の豪邸は横浜の1等地にある立派な屋敷だ。彼は真横に懐くようにしてついている修也の話相手をしていた。



「あれが、明神さんを苦しめた死神さん? 可愛いね~」

「あまり話すな。俺は今でもやり返したいと思っている」

「まぁ~そんな焦りなさんな。決戦は日曜日、期待しているよ♡ あちっ!」



 修也がポンと背中を叩こうとしたところ、光熱が彼の手を軽く火傷させた。



「気軽に触れるな。俺は光だ。俺こそが光だ。忘れるなよ?」



 野神晶子は別室でモニター越しに修也と翔のやりとりを眺めていた。



 柏木由紀は電気ショップのテレビ越しにニュースでエレナと奈美を見た。



「ふうん。このコたちも……17日くるのかな?」



 暫くは修也たちとも連絡をとっていない。彼女の冷え切った殺意は17日を見据えて高まっていた。




 綾間の携帯電話に電話がかかり、その時になってようやく綾間は目を覚ます。時刻は20時になろうとしていた。



「綾間さん、黒崎零の友人、河村卓史の遺体が発見されました」



 しっかり寝たぶん、今夜は眠れそうになさそうだ――




∀・)おい!河村に気づけ!ということでまた来週!!

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