~第1幕~
横たわる遺体をみて、零は吐き気を催した。ただでさえこの部屋は汚い。だがこの状況、すぐに何とかしなければならない。その意識だけは冴えた。
零は河村が持っていた携帯電話へ電話をかけた。
案の定でてきたのはエレナだった。
「おい、やったのか?」
『アア、ヤッタヨ、零ガ雇用主ヲ始末シテクレタオカゲダナ』
「雇用主? こいつが……やっぱりそうだったのか」
『シカシ、ドウヤッテワカッタ?』
「それを話すと長くなる……いや、そんなことよりも大変な事になったぞ!」
『ン?』
「ここに死体がある! このままだと俺が犯人だ! 警察に捕まる!!」
「何イッテイル? ソノママ本当ノコトジャナイカ」
「馬鹿野郎!! お前が関わらなければ俺はこんなことしなかった!!」
「大声ヲダスナ。近所ニ勘ヅカレルゾ?」
「ぐっ!」
「トニカク青風園ニモドッテコイ。話ハソレカラダ」
エレナはそう言うと、一方的に電話を切った。
ただでさえ、警察に睨まれているというのに……零は不安を抱えたままマンションをあとにした――
青風園への帰路、ただ人目が気になった。誰かにつけられているような不安ばかりが募った。そして青風園がようやく見えてきたときのことだった――
「黒崎君!」
声をかけてきたのは九龍美奈だ。顔にマスクとサングラスをつけていた。服装はいつもどおりのジャージ姿だ。零のことを探し回っていたのだろうか? 零は軽くあしらうつもりでひとまず会話を交わすことにした。
「九龍さん?」
彼女は零に抱きついてきた。そして言い放った。
「邪魔者が、死ね!」
「な!? がっ!?」
背中に激痛を感じた。そしてその時にハッキリと彼女の赤い瞳がみえた。
「やめて。殺すよ」
奈美の後ろに奈美と瓜二つの妹が現れた。
零は解放された。そしてそのまま青風園から遠ざかるように逃げた――
∀・)はい!第4章開幕しました!おおっといきなり姉妹に亀裂が!?次号です!!




