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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第3巻~LIFE IS NO RETURN~
39/163

〜第11幕~

 零はゆっくりと青風園近くにある路地裏に向かった。



 空いているマンホール。まるで彼を誘っているかのようだ。



 唾を飲みこみ、ゆっくりとその穴の中へ入っていく――



 拓海の母から追い詰められたトラウマが蘇る。



 梯子を降りたその先、河村がいた。彼は不自然な形で生えている木に縛られていた。木は下水道のいたるところに根を生やしていた。



「河村!? お前は!?」



 河村を縛りつける木の木陰より一人の腰を曲げた老人が現れた。



「ほっほっ! 久しぶりだな! 若造よ! 達者にしていたか?」



 林原晴美の襲撃後、手を差し伸べた老人だった。まさか彼が死神だったとは思ってもみない結果が待ち受けていた。よくみると河村を括りつけている木は老人の左腕そのものだった。河村は悶え苦しみ続けていた……



「河村を離せ! 糞ジジイッ!!」

「年寄りを相手に糞ジジィだとは生意気な小僧だな。交渉する気がないのか? ならばこの小童を始末してくれよう」

「うがあああああああああああ!!」



 河村の悲鳴が下水道にこだまする。



「やめろ! やめてくれ!!!」

「くふっ……はぁ……はぁ……」

「ふふ、交渉に応じてくれると言うのかな?」

「何だってする! だから河村だけは救ってくれ!」

「ならば条件をだそうか。今、この場で貴様が儂に殺されろ。さすればこの者は生かしてやらんでもないぞ~?」

「俺が死ねばいいと言うのか?」



 零は両手を広げて無抵抗を示した。



「もともと生きていたって苦しい未来しか待ってない命だ。河村を救うのなら、安いモンだ。勝手にしろよ」



 老人は高笑いをしてその右手を鋭利な剣状の木材に変形させた。



「ぬははは! 救うワケがなかろう! 小僧同士仲良く逝け!!」

「!?」



 老人死神の放った木剣が零を貫通しようとした時だった。老人の腕でもある、木剣は黒い鎌によって両断された。



「マッタク、世話ノ焼ケル御主人サマダ」



 零の目前に現れたのはエレナだった。



「エレナ!? お前は綾間についていったのじゃあ!?」

「零ガ今朝アッタ河村、アレハアノ爺サンガツクッタ人形ダヨ」

「何だと!?」

「ヨク見ロヨ。零ノ友達ナラアソコニイル」



 零が指さしたその先、そこにあったのは虐殺された友の死骸だった。



「河村!? かわむらああああ!?」



 とっくに死体と化していた友に駆けよる零、しかし傷を負った老兵は更なる攻撃を零に仕掛けた。しかしエレナによって、またもその木剣攻撃は砕かれた。



「ぐはっ!? 小癪な真似を! ぬ? 消えた?」



 老人の視野から零とエレナの姿が消えていた――



A;)河村くん、とっくに死んでいたの巻でした!木材変化の爺さん死神との戦い!どうなるのでしょうか!?また来週!!

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