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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第3巻~LIFE IS NO RETURN~
38/163

〜第10幕~

 横浜市内のとある山の奥深く、明神翔は自身の能力を使いながらゆっくりと浮遊しながらの移動をしていた。



 おかしい。1匹、また1匹殺しても蚊が彼のもとにやってくる。



 彼の力をもってすれば蚊を瞬殺するのはいとも簡単な事だった。



 しかし季節外れの蚊が絶えずやってくることに違和感があった。




 尾行されている。ここ数日前から。それは確かだった。




「う~ん、きりがないよね。うん、きりがないよな」



 翔の後ろに男が現れた。黒いパーカー、フードを深々とかぶった金髪の男だ。死神だ。それだけは違いなさそうだ。



 翔は手元からバチバチと粒子を散らせて威嚇してみせた。



 しかし男は動じてない。俯いていた顔をあげて、ニンマリとした顔をみせた。



「やぁ、もしかして貴方が明神翔さんかな?」

「誰だ? お前は?」

「死神ナンバー6、いやランク6といった方がいいかな? 野神修也だよ」



 翔は全身を発光させた。すぐにでも攻撃態勢に入った。



「うわぁ! ちょっと待てって! いまボクを殺しても意味がないぞ! この体はボクの十分の一に過ぎない! 戦ったってアンタが勝って、情報源を失うだけだ! 話をさせてくれ! もう尾行をするのはやめるから!」



 修也の「尾行をするのはやめるから!」に反応して翔は自身の光沢を弱めた。



「話の内容によるな。どのみち殺さなきゃいけない存在なのは確かだ」

「そりゃそう。だけどそのまえに余計な敵を片付けておいたほうがよくない?」

「きちんとハッキリ話せ」

「はぁ、まるで厳しい警察官だな。もっとフランクにいこうぜ?」

「殺されたいのか?」

「うわぁ! やめろっての! 由紀ちゃんより扱いにくい奴だな」



 修也は両手でやれやれとポーズをとると、光線で切れた自身の頬に手をかざして傷を治した。



「!?」

「驚いたかい? ボクの力はインセクト・ワールドと言ってね、自身の身体に無数の虫を取りこめる力なのさ。この身はいわば虚像、実像は数億体の虫々になるのさ」

「気持ち悪い野郎だな」

「そう言うなよ? でも、この力を駆使することで他死神と交渉して、情報を共有することもできた。気になる奴の情報をいくらでもボクはあげられるよ!」

「ほう、でも、ただでくれるワケじゃないのだろう?」

「そこが交渉だよ。アンタの近くにボクの一部を配属させておく、そこで他の奴の情報をボクが送るよ。今度“死神が集まる集会”を開催する予定なのさ。とりあえずそこに来て、ちゃちゃっとアンタが片付けてくれたらいい。どうだい? 悪い話じゃないだろう?」

「………………」



 翔は考えた。どのみちこの男をこの場で殺したところで、また追跡してくるのだろう。死神が容易く死神を殺す方法。それはその雇用主を殺してやる事だ。力也ともそれは確認をとったことだ。ある種これは詰んだ状況に近い。



 しかし逆境だからこそチャンスになる手筈を彼は熟知していた。



「ふん、いいだろう。ただし俺のほうからもお前に条件をつけよう」

「条件?」



 翔は自身の能力で小さな蛍を創り、それを修也の近くに飛ばした。



「お前の十分の一はこれからその決戦まで俺と一蓮托生だ」

「うふ、うふふふふ! 面白いね! おじさん、面白い!」

「お前が雇用主を教えれば解く。まぁ、しないだろうがな」

「そうだね! でもそりゃオタクも同じだろう?」

「あたぼう」

「よっし、交渉成立ね! じゃあ、これから仲良くしようね☆」



 明神翔と野神修也の協定がここに結ばれた――

∀・)山P、稲垣吾郎と共演するの巻(笑)この背景があるから、いま翔は力也と接触できないんですよね~。とかなんとか説明を加えておきます。ちなみにこのシーン、イメージ的には「NARUTO」のうちはマダラ(じつはオビト)と薬師カブトが接触した場面を参考にしました。あの場面ゆうか、あの2人がボクすきなんですよね~。余談でした。次号!

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