〜第8幕~
明神力也は署内の一室にてコーヒーを飲んでいた。
翔はまだ帰ってこない。どこで何をしているのか、気になるところだが、医者ですら驚くほどの回復で仕事に復帰することができた。
自分がこうしているのも翔のお蔭だろう。しかし合流できないことには何もできない。彼は現実でおきている事が現実でおきてない事だとわかっている者であった。いちはやく他の死神を把握して、倒す術を翔と共有したい。翔が持つ携帯電話に電話とメールを送っても返事がないばかりだ。
今の横浜で起きている怪異現象は全て死神によるものだ。
いくら好きなコーヒーを飲んでも落ち着けそうにない。そんな力也の携帯に電話がかかってきた。
「翔か!?」
思わず声がでた。電話の主は綾間であった。
「綾間か。どうした?」
『すいません。警部、黒崎零が白崎創と接触しました』
「何? どういう事だ?」
『おそらくは例の探偵から聞きだした情報をもとに接触したものと思われます』
「それをお前がどうやって知った?」
『それは……彼が私のところにやってきて、鬼道院の居場所を求めてきたからです』
「話の前後がおかしいな。彼と会うには“許可証”が必要な筈だぞ? 話の前提として、お前がそこにいないと言うのは合点がいかない。本当の事を話せ」
『それが……彼と白崎が面会している時に何故か失神しまして……』
「失神だと?」
『申し訳ございません!』
「…………………………」
『ただ、このまま彼の思うままにしてしまったら、零の指弾が再結成もありえます。即刻始末しましょうか?』
「いや、いいだろう。泳がせろ」
『え!?』
「無論、鬼道院とは会せるな。奴がいま何をしているのかも教えなくていいぞ。これから彼がどう動くのか注視しろ。何が何でも奴との接触を図ろうとするのなら、その時こそ始末すればいい。今はまだ彼もただの一般人だ」
『しかし万が一のことが起きては我々の事まで明白に……』
「綾間、お前が失神したのは、お前に原因があるのか?」
『え? それは……』
「お前を責めているワケではないぞ。黒崎零がこれまで横浜で起きている凶悪事件の首謀者だったなら、その確証を我々が掴む必要がある。奴が悪だと判明次第に始末しろ。まずは泳がしてみることだ。それが私たちの仕事だ。いいな?」
『わ、わかりました!』
電話を切り、コーヒーを啜る。
黒崎零、彼が「死神ゲーム」の関係者なのか?
そうであるにしろ、そうでないにしろ「確証」がなければむやみに動けん。
「翔、何をしているのだ……」
力也が口にするコーヒーはいつもよりも苦みが効いているようだった。真実は闇の中とはよく言ったものだ――
∀・)翔どこにいっとんねんってことで次号!!




