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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第3巻~LIFE IS NO RETURN~
35/163

〜第7幕~

 創は目を丸くして驚いていた。



 いや、驚いていたのは一瞬だった。



 彼はにやけるとそのまま座った。おかっぱ頭のヘアスタイルとは別に両腕に鱗のように張り巡らされた刺青が目につく。そしてその威厳ある雰囲気に零は押されているようだった。



「ソックリダナ」



 エレナも腕を組み、ケラケラ笑っている。



 たしかに目元から口と鼻の位置と似ているような顔立ちだ。しかし身なりで見てしまえば、全くの別人であることが一目瞭然だ。



「そこ座れば? 俺と話がしたいのだろ?」



 創は手のうえに顎をのせて穏やかな顔をしてみせた。何を考えているのか、全く見当がつかない。しかしここで目的を見失ってはいけないのだ。零は椅子に座って弟と面と向き合った――



「そこの警官、アンタがやったのか?」

「え? ああ、まあな。お前との話を聞かれてはまずいと思って」

「大したタマだな。で? 俺と何を話したい? 何を聞きたい?」

「俺はもう学校をやめなくちゃいけない。それ程やばい事に巻き込まれた」

「へぇ~興味深いな。何があったのさ?」

「話すと長いな。だが端的に言えば、俺の友人の兄弟が探偵をしていた。お前の事はその彼に調べて貰った。そして突きとめた。その翌日に行方不明になった。お前たち“ゼロの指弾”とは何だ? 捕まってない仲間とかいたりするのか?」

「つきとめてどうするよ?」

「それは…………」

「宛てを探しているのか?」

「俺は知りたかっただけだ。ただお前のことを。お前たちのことを」



 創は溜息をついて、腕を組んでみせた。



「警官一人を気絶させたっていうのに、大して頭の働かない兄貴だな。ゼロの指弾? あれは単なる遊びだ。どれだけ昇りつめられるのか、試したくなってやった。それだけの話だぞ。今は俺も牢獄の中だし、あと一人もおそらく……」

「遊びで人を殺したのか?」

「ああ、悪いか? でも、捕まっちゃ何もできないクズだけどな。お前は宛てを探してヤクザにでもなろうと思ったのだろうけど、それは見当違いも甚だしいところだ。無駄足だったな」

「違う。俺は今、居場所を探している訳ではない。本当のことを知りにきただけだぞ。お前が話さないなら、別のところでゼロの指弾が何か暴いてやる。お前と組んでいたもう一人の男の名前は何だ?」

「知ってどうする?」

「そいつからゼロの指弾の話を聞きだす。それから俺自身のことは俺で決める」

「つくづく脳味噌の詰まってない兄だな。まぁ、いいや。俺は俺でお前に興味が湧いてきたよ」

「俺に興味?」

「ああ、だってお前、今すごくイイ目をしているものなぁ」



 創の不敵な笑みは不気味さしかなかった。



 この男が愉快犯で快楽殺人に勤しんでいたのなら、それは間違いないだろう。ただそんな彼を救いに零はここに来たワケではない。目的は変わらず1つだ。



「もう1人の仲間の名前を教えろ」

「はいはい。わかったよ。鬼道院魔裟斗だ。鬼道院魔裟斗って奴だよ」

「キドウイン?」

「ああ、その名前だけ覚えていれば大丈夫だ。ま、どうせ別の牢獄にいるだろうけどな。そこの警官が教えてくれる奴ならいいけどな。倒されたしどうだか」

「お前は……もしもゼロの指弾が成功していたら、どうするつもりだった?」

「あ? そりゃ世界征服だろ? 馬鹿野郎」



 創はまだ卑しくもニヤニヤしている。



「俺には見えないが、お前には“面白いヤツ”が憑いているみたいだな。お前が何故ゼロの指弾に興味があるのかは知らないが、お前がそこにいるソイツと何やらかすのか、俺は眺めていようと思うよ。ふふ、ふふふふ」



 創の眼はいつしかエレナの瞳を捉えているようだった――




 やがて綾間が立ち上がった。その時に創の姿はもうなかった――



「あれ? 僕はどうした?」

「貧血じゃあないですか?」

「黒崎君、君が何かしたのか…………」

「俺は何もしてないです。俺はね。それより綾間さんに聞きたい事ができたよ」

「僕に聞きたいこと?」

「鬼道院魔裟斗って人」



 綾間は目を見開いた。そして悟った。この少年は白崎創と既に面会を終えたのだということを――

∀・)兄弟の対話でした。闇の世界へ足を踏みこんでいく零君たち。零君の目的とは何か?次号も楽しみにして貰えたらと思います☆

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