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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第3巻~LIFE IS NO RETURN~
33/163

~第5幕~

 翌日、零はあくびをしながら青風園を出た。



 時刻は午前6時。とある路地裏に入り、彼は片手をあげて挨拶をした。



「よう、眠たくないか?」

「…………」

「俺は眠たい。毎日寝られないことばかりでまいっちゃうよ」

「…………」

「何か話せよ? 河村、何も話さないならこのまま帰るぞ?」

「どうするつもりだ?」

「は?」

「これからどうするつもりだ? 学校に戻ってくるのか?」



 零は空を見上げた。まだ太陽の光が射しこまない。



 河村の顔は建物の影に隠れてよく見えないような気がした。



 1分ぐらい経っただろうか。この瞬間が絶え間なく長く感じるようでもある。そっと微笑む顔を作りながら、零は返事した。



「俺、学校やめるよ。もうそういう生き方なんかできないからな」

「そうか」

「ああ、あんまり驚いたりしないのな。兄貴のことは聞かないのか?」

「ああ、お前がこれからどうするのかを知りたかった」

「そうかよ、ふふっ、急に変な野郎になったな、お前」



 視線を合わしにくい河村に視線を合わせて知った。



 おかしい。おかしいぐらいに無表情だ。零は思ったまま違和感をぶつけた。



「お前どうした? 顔が能面みたいになっているぞ?」

「眠たいから」

「え?」

「眠たいからだ。もっとちゃんとした状態でお前と話がしたい。今晩話せるか?」

「おい、勘弁しろよ。お前の為にこんな朝早くに起きて時間を合わせたのだぞ?」

「それはすまなかった。だが、俺には俺でお前に話さなきゃいけない事がある」

「何だ、それ? だったら今話せばいい事じゃ……いや、ま、話せないのなら、また話せる時でいい。今のお前からは何も聞きたくないからな」

「ああ、悪かった。すまない」

「俺が言うのも可笑しいが、お前もちょっとは寝ろよ。同情はする。また電話かメールしてこい。いいな?」

「ああ、わかった。またな」



 まるでロボットだ。去りゆく零をいつまでも立って眺めていた――



「変ナ奴ダッタナ」

「お前!? どこから!?」



 青風園にさしかかったところで、物陰から突然エレナが現れた。



「お前こそが1番変な奴だ! 俺の目の前に出てくるなと言った筈だ!」

「アア、殺サレル事ガナケレバナ。今ノハ間一髪ダッタゾ」

「何だよ!? 河村が死神だとでも言うのかよ!?」

「河村? 零ノ友達カ何カカ?」

「お前に話す余地なんかない! とっとと消え失せろ!!」

「交換条件ヲシナイカ?」

「何? 交換条件だと?」

「アア、今日1日ダケ一緒ニ行動ヲスル。明日カラハ金輪際関ワラナイヨ。コウイウ話ハドウダ?」

「………………」



 零は考えた。満更でもなかった。今朝会った河村への違和感、そしてこれから向かう所への不安。頼りなさそうなボディーガードにはなるが、それでも何が起きるかわからない非科学的な現状が今なおも零の周囲で起き続けている。



「わかった。今日1日だけだぞ」



 零は仕方なしに腕を組み、頷いた。



「ヤッタァ! 零! 零! レーーーイ!」

「うわっ!? 何する!?」



 エレナは零の返事に喜ぶと彼に抱きつき、頬を擦りつけた。



 姉ソックリだけど姉でない人間――



 何だか零は照れ臭くなった。しかし浮かれてもいられない。これから向かう先にいるのは凶悪犯として名高い義理の弟のいる刑務所なのだから――

∀・)遂に零&エレナの協定締結!?なんでしょうか??河村の変貌ぶりも気になりますが次号!!

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