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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第3巻~LIFE IS NO RETURN~
32/163

~第4幕~

 午前10時、突然の打ち明けだった――



「閉鎖する!?」

「ああ、拓海君のことでここもやっていけない。君には酷な話だよね? ついこないだ入居したばかりだというのにね……」

「いや、正直な話、俺自身も辛い事ばかりでした……」

「ごめんね……ごめんね……」



 零よりも二回りも年上の男が泣いている。やるせないのだろう。彼はこの青風園の園長だ。せめて続いて欲しいと思っていたが、現実はなんと酷いものか。



「これからのことは市の職員さんが君に話しをするだろう……来月になるまでここにいてくれていい。お互い強く生きよう。黒崎君」

「なんか、すいません……俺が入ったばかりに不幸な事が起き続けている。俺、もしかしたら疫病神なのかもしれない……」

「黒崎君は何も悪くないよ……いや、でも、何だろう、君は何か知っているの?」

「え?」

「林原君と黒崎君は仲良かった。林原君から相談を受けては……」

「いや……何も知りません。アイツは何も話さなかったです……」



 浜村園長は目を真っ赤にしながらも「そうか」と言ったきり、何も話さない。零が恐る恐る「出ていいですか?」と尋ねると、少し間をおいて「いいよ……」と掠れた声で返事した。



 零は自分の部屋に帰った。ベッドでいくら休んでも休んだ気になれない。



 自分が生きている世界が世間でいう不可思議な世界になった時……




 どう生きていけばいいのだろうか?




 目を閉じてもどす黒い渦がグルグルと気持ち悪く巻くばかりだった。



 ノックがした。訪ねてきたのは九龍美奈だった。



「ごめん。いま話せる?」

「え? ああ、まぁ、少しぐらいなら」

「私、いま園長さんから話を聞いたよ」

「そっか、大変だな。今度はいい所に行けたらいいな」



 咄嗟に零の胸元に彼女が飛び込んできた。



「え!? 九龍さん!?」



 美奈は泣いていた。大粒の涙を流して。



「私、怖いの! 死んだ筈の双子の姉がでてくるようになったの! 人を殺す話ばかりしてきて嫌になっているの! 黒崎君の傍で落ちつきたいの! 私、黒崎君のいく所に行きたい!」



 衝撃的な言葉だった。それはどこか母のことで悩む拓海を彷彿とさせているようだった。零の心は自然と揺れた。



 しかし踏みこんではいけない。彼女が死神と関係していることは確かなのだ。エレナという謎の存在が自分にもいるのだ。



 零は美奈の両肩を持って彼女を見つめた。



「ありがとう。だけど、ここから先は俺一人にしてくれ。九龍さんにも話せない秘密が俺にはある。“俺は全てを捨てて、ここを離れる”だから、またその時にいっぱい話をしよう」

「必ずしてくれる?」

「え?」

「約束」

「ああ、必ず守るよ」

「じゃあ、私のわがままをきいて!」



 美奈は顔を近づけて零の唇と唇を合わせた――




 少しだけ見つめ合った2人だったが、美奈が「ご、ごめん!」と言って、あたふたして部屋をでていった。



 人に唇を奪われるなんていつ以来だろう……



 それでもそんな事がどうでもいい事だと感じるぐらいに、零のあたまの中はこれからのことでいっぱいだった。佳奈美のことも、美奈のことも、正直な話をしてしまえば眼中にない。



 クシャクシャにした紙を広げる。



 そこには住所とその詳細が書かれている。



 零は既に意を固めていた――



∀・)なんと原稿を30分前に仕上げて予約投稿したの巻。美奈ちゃんったら大胆(笑)次号!!

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