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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第2巻~SURVIVE THE WORLD~
26/163

~第16幕~

 エレナは林原拓海を追いかけていた。



 気がつけば河川敷にでていた。



 辺りを見渡す。確かにここへ逃げていった筈だが――



「動くな」



 背後から拓海が現れた。肩を負傷して流血しているが、拳銃を構えている。



 この場で発砲されれば、一撃確殺だろう。自身の能力を使う間もなくやられてしまう。そう思った彼女は両手をあげてみせた。



「零君の亡霊か何かだと言うのか?」

「ソウダ。黒崎零ノ家族ダ」

「お前も施設内ウロウロしていたな。怪しいと思ってはいたけどな、やはりと言うか何と言うか。めんどうくさいことに巻き込まれたモンだぜ」

「私ヲ殺スノカ?」

「ああ、当たり前だろ? 俺を殺そうとしたくせに」

「私ヲ殺セバ、零ガ死ヌ」

「だから何だって言う?」



 どうやらここまでのようだ。エレナは覚悟を決めて目を閉じた。



 その時だった――



「ガッ!?」



 エレナは口角より激しい痛みを感じた。それは口腔内に広がる。



 狼狽えるエレナに拓海は唖然とした。



「ウ、ウガアアアアアアアアアアア!」



 零が攻撃を受けている。エレナにはまさに地獄の状況となった。



「零君が攻撃を受けていると言うのか……?」



 拓海は急に寂しい表情を見せた。それは殺意のなくなったことを現わしてもいるようだ。だが、それで状況が好転するワケでもない。



 やはりエレナは覚悟を決めるしかなかった。自分たちはここまでのようだ。早く楽になりたい。彼女は激しい口の痛みを耐えて、可能な限り叫んだ。



「グ、ウ、撃テ! バ、早グ! 撃デ! ゴ、ゴノ糞ガビ!」



 拓海は銃口を向けたまま表情を変えない。



 やがて彼は重たい口を開けた。



「おい、お前、死ぬのが怖いと思わないのか?」



 こんな状況で答えられる筈もない。エレナはただのたうち回るだけだった。



「悪いなぁ。変なこと聞いたりしてさ。俺はさ、死ぬのが怖いのよ。いつもそればっかり考えているよ。特にあのババァが俺の目の前に現れてからな。これがずっと続いちゃうとさ、お前、どうなると思う?」



 何をこの少年は言っている? エレナの苦しさは増すばかりだった。



「死にたくなっちゃうのよ」



 拓海は悲しい表情のまま微笑み、こめかみに銃口を当てた。



 そして躊躇なくそのトリガーを引いた――



 悲しい少年と母親の物語はここで幕を閉じたのであった――



´Д`)南無……林原親子……次週につづく。

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