~第7幕~
零が青風園を訪ねた翌日のこと、それは突然の知らせだった――
「真人ニィが!?」
彼は北海道への旅立ちに向けて準備を進めていた。そんなときに真人が交通事故に遭い、意識不明の重体になったと絵里奈より電話があったのだ。
片づけをしていた手を止め、彼は絵里奈から教わった病院へ向かった。病院には叔父と叔母が既に病室の前にいた。
叔母が涙を溢しながらも首を横に振っているのをみて、彼は理解した。
「そんな……真人ニィ……」
彼は言葉を失った。携帯電話を片手に絵里奈へ電話をかけようとするものの、手が震えて操作もままならない。彼はそのまましゃがみ込んでうずくまった。
結局絵里奈がくるまで病院で呆然としていた。
「そう……残念ね……」
「どうするの?」
「え?」
「俺達、真人ニィに結構支えられて貰っていたのだろ? 宛てあるの?」
「真人さんほど頼りになる人はいないよ。でも私達に味方はいる」
「味方?」
「私のことを信じてくれている人達。私が信じている人達。こないだ紹介した施設の人達だって私たちの味方だよ? 相談だってのってくれる」
「でも、金をだしてくれるワケじゃあないのだろ?」
「金が全てじゃない。不安なの?」
「そりゃあ不安だよ!!」
零は怒鳴った。絵里奈は溜息をついた。
「いい? 生まれてきた人は誰でもいつか死ぬの。それが早いか遅いかなだけ。私だって不安だよ? これからのことだって必死で考えなきゃあいけないし、動かなきゃあいけない。でも、だけど、そこで一番大事な事って何だと思う?」
「………………」
「強くあること」
俯いた零の頭を絵里奈はそっと撫でる。
「零、生きよう。何とかなるよ、生きていれば。生きてさえいればね」
彼女は微笑んでいた。しかしそんな彼女もまた涙を流していた――
∀・)真人逝去の巻でした。でも今の零には絵里奈がいる。ここが凄く大きいと思うんですよ。次号。




