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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第10巻~TO THE MORNING WHEN THERE IS NOTHING~
150/163

~第2幕~

 その日、零は学校帰りに近所で迷子になった年寄りの手助けをした。女性の高齢者で散歩に出たつもりが、その中で道がわからなくなったという。彼女を交番に届けると色々聴取をされたが、案外すぐに帰らせて貰った。



 あとは警察の仕事だ。だけど零はそれで気分を良くしていた。



 あの男と会うまでは。




 絵里奈はスーパーに買い物へ出掛けていた。ここ数日は休日を持つ事にして、心の療養に励むことにしていた。



 エレナはこの時間、寝て過ごしていた。そこへ何者かがやってきた。裏の窓がバリーン! と音をたてて割れた。



 エレナは侵入者に向かって吠えた。しかし男はニヤついていた。



「こんなオンボロのアパートで飼われていたのか。まぁ、いい見世物になるか。そこでじっとしていろ」



 男は壊れた窓から入り込み、ゴルフクラブでエレナを襲い始めた――




 零が帰宅すると、嫌な異臭がすることにまず違和感をもった。



 入ってすぐにその理由がわかった。



「エレナ!?」



 血まみれのエレナが横たわっていたのだ。



「死ね! 小僧!!」



 エレナの遺体に唖然とする零をゴルフクラブで男が襲おうとした。しかし、零は間一髪でその攻撃を避けた。ただ、しりもちをついてもしまった。



「逃げられると思うなよ!! コゾオオオォッ!!」



 権藤紋太の第二撃が零を襲おうとした時、死んだと思われたエレナが紋太の足を強烈に噛んだ。



「ガアアアアアアアッ!? 貴様!! 生きていたのか!?」



 零は急いで台所から包丁を取り出して反撃にでた。



「この……この……ろくでなしが!! お前が死ね!!」



 零はうつ伏せで悶える紋太の背中を両手で持った包丁で刺した。



「ウガアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」



 紋太は悲鳴をあげた。



「くたばれ! くたばれ! お前なんかに殺されてたまるかぁ!!」



 零は何度も何度も息の絶えた権藤紋太を刺し続けた。それは彼の防衛本能

なのか、何なのか? 彼も覚えてないという。



 エレナもその中で息絶えてしまった――




 絵里奈が自宅に帰ると、そこは鮮血の地獄と化していた。真っ赤に染まった玄関から続く廊下の一帯。横たわっているのはもう息の無いエレナと権藤紋太。血塗られた包丁を持つ零は茫然としていた。



「姉ちゃん……俺……やってしまった……」



 絵里奈はなるべく冷静に現場を見た。紋太の片手の近くには血濡れたゴルフクラブがある。エレナはこれを使って殺害されたのだろう。



 だとしたら、零はその反撃にでたのか。今の彼に事実を聞いても何も出てはこないだろう。彼女のなかの理性と良識がその言葉を口から出させた。



「交番へ行こう。私も一緒に行く。私は零とエレナの家族だから。味方だよ」

「姉ちゃん……」



 姉弟は抱き合った。絵里奈も紋太とエレナの血に濡れる。




 そして2人は最寄りの交番へと向かった。零が高齢者を救ったヒーローから殺人者へ変わった1日となった。



 事件は権藤紋太が家内を荒らした形跡があり、ゴルフクラブの状態をみても、エレナの状態をみても、事実は明白だった。しかし、彼の背中また胸部周囲には少なくとも30以上の刺し傷があり、その異様さは現場検証でも話された。



 紋太がスキャンダルを抱えて、その一件で絵里奈がメンタルに支障をきたしていることは零も知っていた。元々紋太のことを良く思ってない彼がそういう殺意を持って刺し続けたと説明すれば納得のいく話だった。絵里奈にとっては。世間一般はそう受けとめるものではなかった。



 好奇心によってきたメディア。絵里奈は零を護る為に一人戦った――



A・)以上改変された現実世界での出来事でした。こうして無事に九死に一生を得た零くんと絵里奈。エレナの死は変わらないままですが、はたしてこの未来が零くんにとって良いものだったのか?物語はまだ続きます。次号。

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