~第5幕~
その晩、零と拓海は2人して風呂に入った。
零は拓海の体のいたるところに痣ができているのを見て驚いた。
「お前、それは!?」
「ああ、こないだ派手にこけてしまったからな。それでだよ」
「それでそんなことになるのか?」
「イチイチ面倒くさい大人だ。今は痛くとも何ともないから」
「わるかったな。もう触れないでおくよ」
「触れる? やめろよ。俺にそんな趣味なんかないぞ(笑)」
ケラケラと笑う拓海は本当に何も気にしてないようだ。
零の知らない拓海があるなら彼の知らない零もまたある。
零はそう心で呟いた。
2人は湯船につかりながらアレコレと話をした。
「なぁ、零君は死ぬのが怖いって思ったりすることはあるか?」
「何だよ? 急に」
「何となく聞いてみたんだよ。俺はそういうのを見ているから」
「俺は……」
「苦手か? こういう話とかするの」
「いや、人が死んでいくのをみた記憶がないんだ。母親が病死するのも、姉が殺されていくのも、従兄が交通事故で死んでいくのも。ただ棺のなかにいるのを眺めて……ああ、もう生きてないんだって思うだけで」
「なんか普通な感想だな。いや、案外変わっているのか」
「何とでも言えよ。ただ、よくわからないだけさ。でも、そういうものに対して人間っていうのは無力だなって思うしかない。まったく変なこと聞きやがって。お前はどうなんだよ?」
「はは、そうだな。あんまり死ぬのを怖がっているとね、だんだん死にたくなっちゃうものだよな。はっはっは」
林原拓海、出会った時から普通の少年にはみえなかった。そしてそれはこれからもそう感じることだろう。零は静かにそっと目を閉じた。
やがて尾崎海斗と進士の兄弟が入ってきた。「なーんだ、アイツやっぱり風呂ぐらいは入るのか」と言う拓海とともに重たく感じる体を浴槽からだした――
∀・)需要あるかないか分からんですけど、漢のお風呂シーンでした(笑)次回に続きます!!




