表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第10巻~TO THE MORNING WHEN THERE IS NOTHING~
148/163

PROLOGUE:TO THE MORNING WHEN THERE IS NOTHING 

挿絵(By みてみん)


 物心ついた時からどういう悲劇に見舞われたってさ、どっかの誰かが何かが救ってくれるものだと思っていた。そうやって生きてきた。



 お前が死んでしまった時も映画みたいに泣けるワケもなくてさ。



 知らない間に夢から覚めて、この後の進路とか将来の自分の姿とかうっすら考えて。そんなありふれた日常が少年院(ここ)でも続いているようで。



 このまま気がついたら大人になれるものなのかな? 奇跡なんてモノを知ることもないまま、現実って空虚と向き合い続けるのかな? みんなそうなのか?



 何にもない朝に、何でもない朝に、俺は一体何を想うのだろう。



 中学の友人が言っていたな。「どんなに貧しくたって、あの国に比べりゃマシだって思えば気持ちが楽になるよ」って。それでみんなが救われるぐらいなら、自殺して死んでしまう人なんて無くなるのだろうけど。



 今はそんな事を話す人も近くにいない。



 こんな空虚な毎日がいつまで続くのだろうか。もういっそのこと、このままロボットになればいいやなんて思ってみたりして。この生活に慣れたのかもな?



 だけど、姉ちゃんが面会に来るたびにそんな自分が情けなくなって、苦しくなって。迷惑と心配ばかりをかけて「ごめん」ばかりを言って。



 ここを出たら眩しい光が見えるのかな?



 みんな、こんな俺の事を認めてくれるのかな?



 だけど、俺は今でも夢をみる。



 お前と戦っていた夢をみる。



 色んな敵と戦う夢。名前も知らない敵との殺し合い。俺は犬のお前とタッグなんかを組んだりして。馬鹿馬鹿しいけど毎晩そんな夢をみている。



 でも、誰も知らなくていい話だよな。俺とお前だけの御伽話。それでいいよ。だって馬鹿馬鹿しいもん。恥ずかしくて姉ちゃんにすら話せない。



 だけどそんな俺だからお前に聞きたくなるのさ。



 なぁ、エレナ。



 俺はいま幸せだと言っていいのかな? 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ