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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第9巻~WHAT IS YOUR JUSTICE??~
142/163

~第15幕~

 時は遡ることゲームが終幕の約10分前、力也を含む零の破滅一行は総本部施設入りするところで総本部の入り口にて護衛についていた隊員から足止めをくらっていた。



「隊員ナンバー00190015、武藤愛雄です! 貴方たちは何者ですか? 現在施設は原因不明の停電となって警戒態勢を引いています! 入館は控えてください!」

「おい、こっちは本部隊認可の“零の破滅”だ! それも知らないの!?」

「遊佐、俺達は秘密部隊だ。本隊の隊員は知る由もない」



 武藤という隊員は警戒をしている。無理もないだろう。目の前にいる力也が体を謎に発光させ続けているのだから。



 力也は溜息をつくと、身体の発光を収めた。



「高沖君、羽藤君と連絡はとれる?」

「はい、でも隊長、隊長のエネルギーを頂ければ幸いです」



 彼はそう言って、電池が切れそうな無線機を力也に手渡す。力也は手を発光させて羽藤と連絡を取り合った。武藤隊員が「一体何の真似です?」と尋ねると遊佐が「ウチの隊長の特殊能力だよ」と苦笑いしてみせた。



「羽藤君、聴こえるか? 明神だ」

『はい。聞こえます。何でしょう?』

「そっちはどうだ?」

『はい、司令官は御二方とも無事です。こちらは特に異変はありませんけど、テレビの方でマスコミの報道が過熱しています。当局から入域禁止だと指令をだしていますが……マスコミらの人だかりが押し寄せるのは時間の問題かと』

「そうか、道理でガードが厚くなっているワケだな」

『何かありましたか?』

「いまとある隊員と出くわして、武藤……」

「愛雄です」

「そう、武藤愛雄という隊員から総本部への入館が止められていて、総本部に黒崎零が入館していることを把握はしているのにな。我々は秘密部隊だからか、どうにも信じて貰えなくて」

『もう一度隊員の名前を教えて貰っていいですか?』

「武藤愛雄だ」

『おそらく私の知っている隊員です。彼に替わって貰えますか?』

「わかった」



 そして力也は急遽充電した無線機を工藤に渡した。



『武藤君、覚えている? 私よ、羽藤よ』

「羽藤さん?」

『そう、同期入隊して一時期だけど同部隊で一緒に働いていたわ。覚えてない?』

「いや、今は大変な状況だから……頭真っ白で」

『無理もないわ……でもその声とその感じ、貴方で間違いないわね。突然の事になるけど聞いて、私たちは本部隊公認の重要な任務を任された部隊になるの。貴方の目の前にいる人たちは私の部隊の人。私がこの部隊に入るまでにどの部隊にいたか知っているでしょ? この私の言うことが信じられないと思う?』

「いや、そんなことは……」

『じゃあ、彼らを通してあげて。貴方の近くにいる私の部隊の隊長は特殊能力所持者なの。いま閉まっているシャッターも彼の力で開けられる』

「そうなのか……でも……」

『でも?』

「こっちの部隊では例え同組織でも入館は禁止されている。総司令部の指示が出ない限りは許可を出せない。ただ、同期のよしみだ。僕が同行するという形でならば、僕が部隊各位にうまくいって何とかしてあげるよ。それでどうだ?」

『本当!?』

「その替わり、今度食事に行こうね?」

「ああ~そうね、作戦に成功したらね」



 こうして羽藤は無線を切った。おそらく力也の思惑としては総司令官のうち、どちらかに総司令部として口答で通行許可を出させようとしたのだろう。だが一部隊の一隊員に総司令部から直接命令を下すのはまずありえない事だ。



「あのおっさん、やっぱ警察だから何もわからないのだろうな……」

「ん? 何かあったか? 羽藤君?」



 車内で寛ぐ村上署長が羽藤のぼやきに反応した。



「いえ、何でもないです! 黒崎零を総本部施設内にて発見したとの事、また零の破滅メンバーが総本部護衛部の許可をとりつけて、今入館したとの事です」

「そうか~でもあの辺り一帯を停電させるなんてな、またまたとんでもないテロリストが世に現れたものですなぁ~」

「まだ17歳の少年ですよ。全く世も末」

「我々はいち早く撤退して正解だったか」

「そりゃあそうでしょうよ。あっはっは」



 世も末なのは世のトップが呑気だからであろう。彼女はこっそりそう想った。




 さらに時間はその10分前に遡る。武藤愛雄隊員と大桐久寿隊員は無線で同部隊の隊員らと緊迫する状況の中で積極的に連携を取り合っていた。しかし、その合間を縫って合コンの話をするなど素行の品がよくないところもしっかり見せていた。



 それを物陰に隠れて見ていたのが鬼道院魔裟斗だった。



 彼は2人が合コンの話をしだしたタイミングで彼らの目の前に立ってみせた。



「よぉ~アンちゃん、随分と呑気な仕事しているじゃないの」

「誰だ! 貴様!」

「悪魔のヒーロー」



 すぐに鬼道院は持っていた凶器で大桐を襲って、続けざまに武藤も襲った。接近戦とあれば、彼は無敵の殺人鬼であった。



「が……は……あ」

「悪いね。ドスにはたっぷり毒を塗っているからご臨終だよ。僕人称で自衛隊・ヤリチンとは随分俺の嫌いな野郎だが俺に声が似ているのも何かの運命だな。服も何もかも全部貸して貰うぞ」

「あ……は……あ」



 力也達と対峙していた武藤はその時点で鬼道院魔裟斗だった。彼と彼はその声質が驚くほど似ていた。それはもはや運命だったのかもしれない。



 彼のこの行動はメアリーの水晶玉には映らなかった。しかしこれがゲームの行方を左右する重大な伏線となったのは言うまでもないことだろう――



∀・)最終決戦ネタばらしの回でした~。いやぁ~アレですね。「誰だ貴様!」に対して「悪のヒーロー」って答える鬼道院が作者的なハイライトです。次回はエレナの話になります。


∀・)そしてこの話をもちまして!本作3周年を迎えました!長いね(笑)ここまで連載続けているとは(笑)もうそこにゴールはみえているのですが、ええ、最後まで書き切ります。

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