~第11幕~
明神翔に猛攻撃をかけるエレナであったが、その闘いの直前ではその緊張と不安が彼女を襲っていた。そんな彼女を決戦の場まで連れ出したのが、誰でもない雇用主の零だった。
彼はエレナを創と翔が待つ屋上へ連れて、それから施設周囲の停電を施した真人と合流する手筈を整えた。ここまでずっと一緒に連れ立ったエレナはその距離が再び離れることに不安も不満もあったが、彼の一言でそれは払拭された。
「エレナ、俺はお前を誰よりも信じている! それを信じてくれ!」
零は最終決戦にビクつくエレナの心を変えた。そして勝利へ向けて、階段を駆け下りた。横浜治安当局一帯は真人の能力によって暗黒地帯と化している。エレナの力には間違いなくなるだろう。全て彼が編み出した知恵だった――
施設の1階で零は真人と合流する。そして零から2人でハイタッチをした。
2人はそのまま施設を去ろうとしたが、そこにきてサイレンが鳴った。
玄関の手前に来たというタイミングでシャッターが勢いよく降りる。
「おい、停電してねぇのかよ!」
「部分的に復旧しているのかもしれない。零、相手は分身可能な死神か?」
「えっと……確かそうだったと思う!」
真人は目を閉じて考えた。そして零の手をとって、地下へと続く階段を駆け下りた。
「どうした!? 真人ニィ!?」
「このサイレンに、あのシャッターの閉まり具合、死神の仕業だと考えるのが自然じゃないか?」
「それは…………」
「相手が電気系列の力を使えるのであれば、難なくあんな事はできる」
「でも敵は屋上で戦っている筈じゃあ……あ、そうか、分身するなら」
「そういうこと! ここは地下5階まである! なるべく急ぐぞ!!」
真人は繋いでいた零の手を離す。2人して階段を駆け下りることに集中した。どこかの部屋に入って鉄製の入れ物となって、そこに零を隠す算段をたてた。
しかしその計算は狂った。
「待っていたよ。黒崎零」
地下5階の通路、そこに立っていたのはその身を光り輝かせていた明神翔であった――
∀・)いや~仲良くしている零君と真人ニィを書くのはイイですね。すごく心がホカホカします。死神ゲームのせいで決裂したかのような2人でしたが……やはり根は家族なんですよね。といったところで翔の分身が登場!!次号です!!




