〜第5幕~
少し時間を遡る。最後の決戦に向けて、零とエレナは手を繋いで街を歩いた。そして街の物陰に隠れて零は携帯電話を手にした。
「なぁ、お前に聞いてみたいことがある」
「ナンダ?」
「今はもう陽が沈んでいる。俺がこうして立っているだけでも、こうして影ができている。この影をお前の武器にできるか?」
「オヤスイゴヨウダヨ」
「そうか、これからこの横浜の治安部隊とやらに電話をかける」
「エッ!? ナンデ!?」
「敢えて目立ってやるのさ。明神って奴は西園寺って女と超ド派手にドンパチやっている。変に雇用主と合流されて策略も練られてみろ、俺達の作戦が水の泡になってしまう可能性は高まるばかりだ。それに……」
「ダケド、零、自ズカラ身ヲ差シダスコトハシナクテモ」
「言っただろ? 今は夜だ。今なら影を最大限に仕える。そしてここまで来た。ここまで来たら、もう俺は俺の直感を疑わねぇよ。俺達は必ず勝てる」
「零……エッ、カケテイルノ!?」
零は横浜治安当局へ電話を掛けていた。そして治安当局の場所を尋ねていた。勿論黒崎零だと名乗ってはいないが、ばれるのは明白だろう。
「ああ~この携帯も処分しなきゃあな」
そう言って零が電話をどこかへ投げ出そうとした時だった。着信が入った。それは鬼道院の番号だった。
これには驚いた零だったが、エレナへその事も告げずに電話にでた。
「よう、久しぶりだな」
『あ、ああ、久しぶり』
「どうした急に? もう俺達とは関わらないって話じゃなかったっけ?」
『何故か、俺、ここに戻ってきてしまってよ』
「ここ?」
『横浜だ』
「お~そうか、それで?」
『何だよ! 人がせっかく電話を掛けたのに、何でそんなに冷たい!』
「いや、お前にはもう何も期待してないし。今更何を俺に言いたい?」
『もう一度会えねぇか?』
「俺達とか?」
『ああ、このまま逃げちゃあいけない気がして……』
「ふふ、可笑しな奴だな。いいだろう。俺達はこのたび横浜にできた治安当局に向かっている。最後の敵を倒す為に。お前も来るなら来いよ」
『治安当局!?』
「お前もこの世界と中途半端に向き合いたくないのだろ? 来るなら来い」
零はそう言って、治安当局の所在地を鬼道院に告げた。そしてエレナに突然替わるようにして電話を手渡した。
「鬼道院カ?」
『エ、エレナの姉貴、ごぶさたしております!』
「急ニ敬語カヨ、ドウシタ?」
『いや、お二人にまたお会いしたいなと思って』
「オウ、ジャ、マッテイル! コイヨ!」
そしてエレナが電話を切った。零に電話を手渡すと「妙な運命ってあるものだよな」と零は笑い、地面に投げつけた携帯電話を踏み壊した。
「さぁ、行こうか!! 横浜治安当局2012!!」
彼の表情には一切の迷いがなくなっていた――
∀・)ツンデレ鬼道院魔裟斗(笑)(笑)(笑)これは書きたかったところでもあるんですが、いざ書いてみると萌えますね(笑)今回は零のターンでした。零の電話に素直に応じる治安当局でしたが、開設間もないってこともあって、セキュリティーがボロボロなんでしょうね(笑)そのへんも次話、そのまた次話で話されていきます。ちなみにこの時代の携帯はガラケーなので、知っている人はガラケーをイメージしてくださいね。ではではまた次週!!




