〜第4幕~
床にしりもちを着きながらも生き返った白崎創、それを黙って見下ろす明神力也、そして何が何だか分からず状況を見守る伏見ら「零の破滅」隊員。
翔と創の交渉はすぐに始まった。
「今俺がお前を殺したのは分かっているな? 今からお前が死ぬか生きるかを決めるのも俺の手にかかっている」
「ああ~なるほど、そうだね~。そういうことになるのかな?」
「実感がないのか?」
「死ぬも生きるも天任せよ。恐れた奴が負けなのさ。はっはっはっ」
「ハッキリと言うぞ。これから先、お前の命がない状態になるか、それとも俺の駒となって生きていくか。どちらかを選べ」
「急だなぁ」
「俺達には時間がない。そしてお前の替わりなどいくらでも作れる」
「まぁ、そりゃあ生きていたいよ? でも、アンタの駒になるっていうのはさ、どれだけ自由が制約されるのかね? 俺はスーパーテロリストとなった兄貴に会いたいのだけど?」
「これからする事はそれが目的だ。お前に黒崎零を呼んで貰う」
「え? 俺が? 表に出しちゃまずい俺が?」
「父さん、お願い出来るか?」
「あ、ああ、お前が見えない奴らにどう説明するかだが……」
「ふうん、面白いね! いいよ! 喜んでアンタの駒となってやるよ!」
「交渉成立だな」
こうして白崎創は明神翔の証人となった。この一部始終を翔が見えない形で伏見たちは見守り続けた。明神力也の奇行と思っていた一連の出来事が死んだと思われた白崎創の身にも起きた。彼もまた“見えない何か”と話をしていたのだ。こうしている間にも黒崎零は総本部に向かっている。
「羽藤君、戻ってくれるか? 大佐達は避難させたままでいい」
伏見は羽藤に間髪入れず無線を入れた。
「明神隊長、貴方の話は実に不可解で怪奇だ。しかし、こうも目を疑ってしまう出来事が目の前で起きてしまうと、私も貴方を信じるに他ならない。引き続き我が隊の隊長として指揮をお願い出来ますか?」
「え? あ、ああ」
翔は「隊長なのでしょう、もっとしっかりしないと」と微笑みながらも溜息をついた。ニヤついているのは何故か白崎創もという光景だ。
羽藤が会議室に戻ると、白崎創の拘束が解けていた。そしてそこには緊張感薄まった感じの零の破滅メンバーが椅子に腰かけていた。
「どういうことですか?」
「今我々には強い味方がいるようだ」
「強い味方?」
羽藤がそう言うと、彼女の目のまえでバチバチと火花を散らすようにして光輝く光体が出現した。
「今は亡き明神隊長の息子さん、明神翔さんだよ」
「えっ!?」
「彼は戦える。黒崎零に“とり憑く何か”ともね」
「説明をお願い出来ますか……」
「ああ、説明しよう。そしてこれからやる作戦についても」
力也は力強く微笑んで席から立ち上がった――
ようやくにして翔と力也がゲームで共に戦える環境が整った。それは伏見が勇気ある決断をしたこと、そして力也がこの状況を作る為に事実を語ったこと、何より翔が証人の儀を零の破滅メンバーに見せる形で実演した事があったから。そう捉えるのが自然であろう――
∀・)統率がグチャグチャになったかと思われた零の破滅、ここにきて結束を固めました。思ったけど、なんかこっちが主人公サイドにみえちゃうよね(笑)主人公は黒崎零です(笑)また次週!!




