~第14幕~
エレナは空に向かって飛翔し続けた。
修也もそれを追ってきた。彼の羽根は禍々しい模様をした物となっていた。
「蛾? 蝶カ?」
エレナが振り向いた途端に修也は羽根を羽ばたかせて、鱗粉を撒き放った。エレナは間一髪で攻撃を避けたが。服の一部が溶けていくのを確認した。
逃げながらも彼女は患部に手をかざし影の力を以てして治癒させた。
上空、息が苦しくなる。そろそろ迂回しなければ自ら破滅してしまう……
その時だった。
彼女はその手に小さな刃物を持っていた。
いや、ずっと持とうとしていた。しかしいくら力をこめてもその刃物は現れなかったのだ。彼女はやっとその力を手にすることが出来たのだ。
エレナの口元が緩む。彼女は振り向きざまに刃物を振り切った。
修也の片半身が爆散した――
「がっ!?」
しかしすぐに彼は何億もの蟲を集めて身体を蘇生させる。
エレナは既に空を降下して高層ビルの屋上へ向かっているようだ。まずい。そんな予感が修也の脳内を掻き毟るように浮き上がり始めた。
「クソが!! このボクに何をした!?」
エレナより5メートルは離れた場所から鱗粉を撒こうとしたが、またも彼は片腕を爆散させてバランスを崩した。蟲を集めて蘇生すれども、体勢を整えることがままならなかった。
「満身創痍テヤツダナ」
「黙れ! すぐにでも殺してやる!!」
エレナを指さそうとしたその腕もまた爆散して捥がれた。痛みに喘ぎながら、彼は目にした。彼女がその手に持つその凶器を。
「それは……まさか……」
「ソノマサカダヨ、野神」
エレナが持っているのは修也も知っている手術用のメスだった――
∀・)短いですが今週はここまで!はい!エレナ&零くんは圧倒的な力を手にしました!それはな~んだ?次号で☆




