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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第7巻~INSECTS WORLD~
109/163

~第11幕~



 エレナと修也は飛行しながら、互いに攻撃を入れて牽制し合う。



 修也は口から粘着力の強い物体を放ち、それがエレナに命中した。



「コレハッ!?」



 エレナは鎌で斬り落とそうとしたが、鎌も物体に粘着してしまった。



 みるみる修也に引き寄せられる。エレナは毒を大量に含んでいると思われる変形した修也の片手に切り刻まれようとした。



 しかしエレナは修也が間近に迫ったところで大量の鉄化した蝙蝠を発生させ、カウンターを解き放つ。



「クソッ! やりやがる!」



 修也はすぐに身体を何億もの蟲に分解して攻撃を回避した。




 気がつけば2人は高層建物の屋上に辿りついた。



「何ダソノ両腕? 蟷螂ナノカ?」

「言うなれば♪ カッコイイだろ?」

「気持チ悪イナ」

「ふふふ、お前なんかに解って貰う必要もない。しかしアレだ。冥途の土産でもくれてやるよ。お前なんかよりよっぽど崇高なボクの願いを教えてやる」

「聞イテモナイ」



 エレナは鎌を振って、棘状の鉄塊を修也へ放った。



 しかし彼はまたも身体を蟲に分裂させて攻撃を避けた。もはやその手の攻撃では何の効果もなさそうだ。エレナは舌打ちした。



「鉄が武器かい? いや色々ありそうだね、その黒い物体ってさ?」

「敵ニ手ノ内ナド話スモノカ」

「そりゃあ、そうだ。でもボクは話したっていいよ?」

「ナニ?」

「おっと、案外怒りやすいお姉ちゃんだね~眉間に皺寄せ過ぎだよ?」



 野神修也は彼の性格なのだろうが、飄々として嘲笑っている。その笑みには余裕というものしかない。事実、彼女の攻撃は全て回避されているのだ。焦ってしまっては彼の思い通りにしかならないだろう。



 鎌を置いて柄先を両手で持ち、そこに顎を乗せた。



「おっと、疲労困憊なのかな? 無理しちゃあ駄目だよ~!」

「手ノ内ヲ話ストイッタナ? オモシロイ奴ダ。キイテヤル」

「ボクはランク2位の明神翔と廃工場での決戦前から手を組んでいてね。奴の雇用主を突きとめたのさ。彼を殺そうと思えばそのツテで殺せる訳だけども、とっておきの手としてそれはとっている。お陰様でボクの勝利は目前にある」

「フウン、妙ダナ」

「何が?」

「オマエノ拠点デアル館ワ派手ニ燃ヤサレテイタ。シカモオマエノ雇用主ノ姉ダッテココニ自主シテイル。西園寺ニデモヤラレタノカ?」

「それは……」

「見栄ヲハッテイルノハオマエノ方ダロ? 下手ナ嘘デ私ワ絶望シナケレバ、動揺スルコトモナイ」

「う、嘘をついてなどない! ボクたちは容易周到にゲームを進めてきた!!」

「ドウシタ? 眉間ニ皺ガヨッテイルゾ?」

「ぐっ……」

「マァ、イイ。セッカクダ。オマエノ願イトヤラヲキイテヤル」

「ふふ、ふふふふ」

「何ガ可笑シイ?」

「いや、メンタルはタフなお姉ちゃんだと見なおしたよ」

「アア、少ナクトモオマエヨリハ」

「エレナさん、この世で最も醜い生き物は何だと思う?」

「オ前ノヨウナ気持チワルイ奴ダ」

「まぁ、あながちそれも間違いでないと言っておこう。答えは『人間』だ。生命こそ平等こそ大事と謳っておきながら、彼らは不平等を強要して数え切れないほどの命を奪っている。世界をみろ、何で人間は戦争なんてしている?」

「知ルカ。ソンナ事」

「ハナから平等にする気なんてないからさ! じゃあボクは本当に平等な世界を作ってやろうとこのゲームに臨んだんだ!」

「ヘェ、大層ナ野郎ダナ」

「人間を世界からなくすことはできない。しかし国という単位でなら、それが可能だと支配人達より許可をとったんだ」

「ドウイウコトダ?」

「日本を蟲だけの国にする!」

「ソウカ」



 エレナが「ジャア、死ンデ貰ウカシカナイヨナ」と言うと同時に修也の影から黒く鋭利な刃物が生えて修也の心臓を突き刺した。



「あがっ!?」



 勝負は一瞬でついたかのように思えた。エレナがゆっくりと修也の亡骸へと近づくと思わぬ人間の声が背後からした。



「いや~おっかないねぇ。でも残念。それはボクの千分の一さ」



 野神修也は生きているのだ。彼はニタニタしながら腕を組んでいた。



「分身!?」



 修也の亡骸を見ると、それはすぐに多量の虫の死骸となって崩れた。



「今の会話で時間稼ぎをしながら攻撃をする機を伺っていたのだろう? でも残念だったね~。今のボクは1兆ぶんの蟲を自分の身体としている。お前が一生懸命になって倒したそれはせいぜい10億に満たない分身。でも痛かったぞ~!! これからどうなるか解かるな??」

「マサカ……」

「同胞の痛みを味わうといい!! 1,000倍返しだ!!!」

「ソンナ!?」



 エレナの四方周囲全て多量の蜂に囲まれていた。



「喜べ! これから君を迎えにいく! 抱いてセニョリータ!!」



 何億と想像つかない蜂の大群がエレナを襲おうとした――



∀・)読了ありがとうございます~。いやぁ、楽しかったぁ(笑)修也が踊りまくりですね(笑)ちなみにこの話を書いているときにちょうど半沢直樹の最終回を観まして、はい、その影響はかなりあったと思います(笑)次号もお楽しみに!!

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