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女王の国 王都編 3

今回は少し短いと思います。

うーん、こう展開が早くなるのはどうしてなのか。いろいろ自分何調べて見たんですが、調べてみた内容すらも分からなかった。


 目を覚ますと、そこは見知らぬ天井だった。

 いやいや、当然です。昨日はいろいろありすぎた、溜まった疲れに抗えずそのままソファーで寝てしまったのだが。どういう訳か、しっかり寝室に居てベットの上である。

 頭に ? マークを沢山生やしていると、隣の執務室っぽい部屋へ行くための扉からノックと共に声が聞こえてきた。


 「ナナミ様、お目覚めでしょうか。」


 その声は、女性にしては若干ハスキーっていうか少年っぽい声だった。

 扉が開かれ入ってきた人、メイド服を着た少女だった。


 「あ、やっぱりお目覚めでしたか。おはようございます、ナナミ様。ユスティーナ女王陛下より命を受け、ナナミ様の身の回りのお手伝いをすることになりました『キスハ』と言います。なんなりとお申し付けくださいませ。」


 そう自己紹介してきた子は、ショートヘアーで少し褐色の肌、瞳は大きく少年のような輝き、背丈は普通の成人女性位あるけど、スポーティーな少女って感じで好印象だ。


 「あの、隣の部屋で寝てしまってたのですが。運んだのは?」


 「あ!すみません、お運びしたのは私です。ご夕食を運んできたのですが!既にお眠りになられていたので、私が寝室までお運びしました。勝手な事をして申し訳ございません。」


 「いえ、責めている訳で無くて感謝しているのですよ。ありがとうございました。」


 ああ、なんだろう一生懸命な感じが・・・こう、爺臭い所を刺激してきて、頑張っている孫を応援したくなるようなそんな気持ちにさせる。

 そう思っていたら、僕から空腹の時にだけ眠りから覚める野獣が声を上げ始めた。


 「・・・すみません、食事を用意して頂けますか?」


 「はい!昨晩もお食べになっていませんですから。朝食は少し多めにご用意しています。」


 朝の支度をして、準備してもらった食事を食べる。マナーとか全然分からないのでそれっぽく食べるだけ。そんな僕の様子を後ろから黙って見つめてくるキスハさん。


 「・・・その、そんなに見つめられると食べずらいのですが。」


 「あ!申し訳ございません!」


 その後、沈黙のまま食事を済ませ、気まずい空気だけが残る。

 僕は常に一人で食事してたからな、今みたいに側に誰かが居るってかなり久しぶりで、気になってつい口にしてしまったが。仕えるメイドさん的には普通の事だったかな?この世界で長い事生きてるけど、使用人を雇ったこと一度もないから分からないや。とりあえず、謝っておくか。


 「先ほどはごめんなさい。あまりこの状況に馴れていなくて、つい言葉にしてしまいました。」


 そう言うやいなや、キスハさんは自分が悪いのだから謝らないでほしいと、顔を左右にブンブンと音が鳴る勢いで振りながら返事を返してきた。

 そんなに謝られるのがどうも不思議で、なんとなく気になって聞いてみたのだが。女王様からは他国からの重要人物だから失礼の内容にと仰せつかったらしい。


 「でも、ナナミ様を見ていて思ったのですが。その、見た目は非常に美しいのですが、その  。」


 ふむ、このキスハさん意外と恐れ知らずなのかな?いや、と言うよりは慣れてないのか?私を見て思ったことを本人にサラッと言っちゃいそうになっているって。これが私でなく本物の位の高い貴族だったら、ただの使用人が言っちゃって良いことじゃないよ?なんでも素でやってしまう天然さんなのかな?

 いや、違うな。あの女王陛下が自ら命を下しているのだ、本性は別にあるんだろう。小説でも良く出てくる超凄腕メイドさんの可能性だってある、無い可能性もあるけど。

 様々な可能性があるな、こうなんだろう想像力を掻き立てるメイドさんだ。面白い。他には・・・そうだな、実はこう見えて


 「ナナミ様?あの、どうかなされましたか?」


 おっと、思考の海に少し沈み過ぎていた。何と言われていたのか全然聞いていなかった。


 「ごめんなさい、まだ寝ぼけているみたいで。」


 「だいぶお疲れだったのですね、もう少しお休みになられますか?」


 休む必要は無いが、正直どうしようか。この部屋から出られないから、ほとんど何も出来ない。

 出来ると言ったらひっそり魔法の研究くらいだろうが、やり始めると止まらなくなるし周りが見えなくなるからな、控えていた方が良いだろう。

 あえてここでまた寝るふりをして、メイドさんを退室させて転移魔法で街に繰り出したり、城の中をこっそり探索するとかも面白いのだろうが・・・これ以上状況をややこしくして面倒になっても困る。

 やはり一日何もしない、これが最善なんだろうが、何もしないと言うことに不安を感じる。

 毎日毎日、魔法の研究をし。来る日も来る日も、実験を繰り返していた日々を送っていたためか。何もしないなんて考えられなかった。

 正直、ここで研究を真っ先にしようと考えたが。簡単に見せて良いモノではない。

 小説の物語でよくある、どこか抜けている主人公とかなら、平気でさらけ出して「あ、これですか?ただの研究ですけどなにか?」的な流れになって、周りを驚愕させるところだろうが・・・後が怖くて僕には出来ない。


 そうなると、本当に何もしない日になるだろう。

 心が折れた時以来だ、あの時とはだいぶ違うがこうしてのんびりするのも悪くない。


 「こう、何もしない日は本当に久しぶりなので。何もせず、のんびりしていようと思います。」


 今日の予定はこれで良いだろう。日差しが差す窓の前で座って、一日日光浴でもしていよう。そして見える空を気長に眺めていよう。


 「それでは、紅茶でもお持ちいたしましょうか。我が国は良い茶葉も取れることで有名です!一番いいのをお持ち致します。」


 そう言い終わると、キスハさんは部屋から出て行ってしまった。

 ふむ、来客があった時はどうすれば良いのか聞いとけば良かった、まぁ誰も来ないだろうけど。来たとしても何とかなるだろう、むやみに返事をしなければいいのだ。

 

 窓を開けて外の風を迎え、しばらくの間日光浴をしていると、遠くの方から音が聞こえてきた。

 その音は一定の間隔で規律よく聞こえ、野太くて力強い掛け声だ。気になったのでそちらの方へ目を向けてみると、きっちり整列した軍団が広場で剣の素振りをしている。

 肉眼では少し遠くに居るから顔までは識別できないが、たぶん戦士団の訓練だろう。


 「この先に訓練場があったのですね、しかしここまで声が聞こえてくるなんて、声だけでも規格外です。どれ、少し覗いてみますか。」


 魔法研究の成果の一つ『千里眼』

 どこまでも見えるだけではない、「異世界をも見通せる」ようにするために開発した魔法。

 しかし、いまだに異次元の狭間を超えることのできていない発展途上の魔法、そう完成していない開発中なのだ。

 転移魔法で戻る時を考えた時、自分の頭の中にある記憶だけでは不確定すぎる可能性があり、直接見れた方が正しく飛べるのではないか?と言う仮説を立てて作り始めたこの魔法。

 そしてこの魔法が完成したら、今の故郷がどんな状態化を知ることもできる!そう思い開発したのだが。

 この世界を見る事は出来たが、肝心の次元の狭間以上を見通すことが出来なかった。一定を超えるとブラックアウトし強制的に魔法が終了する。

 いろいろ試してみたが、効果が無く。現在可能な範囲は、開けている場所とか、視界が通っている場所なんかは見れる。

 例えば空高く飛行して見下ろせば、だいたいの所は見ることが出来る。

 逆に見れないとこは、建物の中とか、バックの中とか、強力な認識阻害されて魔力か何かに遮られてたりとかすると見れない。


 これが、今の限界。建物の中や認識阻害も軽々超えて見えるようになれば、進展もあるのだろうが。ここ数年、この魔法をまったく研究していなかったため開発は滞ったままだ。


 その千里眼を使用し、今訓練している戦士団を見て見る。

 一人一人が大きな塊に見え集団になると防壁が動いているのではないかと思わせるほど屈強な体つきだ。

 そんな中、訓練している者達の前に立ち、鋭い眼光で様子を見ている者が居た。


 「あれは・・・。確かゴーリラ戦士団団長だったかしら?流石団長、訓練している時の顔は全然違くて真剣ですね。まぁ、それは当然のことなのでしょうが、昨日のような困り顔からは想像できませんね。」


 そんな独り言をつぶやきながら眺めていると、ドアからノックの音が聞こえてきた。

 僕は扉へ意識を飛ばす、誰が来たかを察知するため感知魔法を使用した。

 この反応は、先ほどまでここに居たキスハさんだ。


 ちなみに、感知魔法は比較的簡単に習得が出来る魔法だ。

 この世界では、騎士や戦士その他冒険者や傭兵など、戦闘を要する職の者達は大抵持っている。ただそれはあくまで簡単な物で、相手によっては気配を消す奴も居るし魔法で隠蔽だってする。

 その感知魔法を極めている者は、相手が誰なのか、どんな隠蔽をしているかまで見分けられるようになってくるが、そこまで極めている者はイーセアでも少ないだろう。

 むしろ魔法でなく、己の勘のみで察知する強者まで居る。感知魔法と勘は違う。「むっ!何奴!」しかできないのが勘。もっと細かく分かる上に、広範囲も出来るのが感知魔法。

 僕は、この魔法も利用できないかと研究したが、あまり意味がなかったのでそこまで力を入れていなかったが。魔王戦争時代に、戦闘で必要だった為使いまくっていた。

 敵の位置の把握や正確な敵の数を把握、罠の位置等など。人々と共闘してからは敵と味方の区別を付けたり、誰が何処に居るのかまで知れるようになっていた。

 たまたま今使用してみたが、だいぶ鈍っているみたいだ。これは少しリハビリが必要だなと思った。


 「キスハです、紅茶をお持ち致しました。」


 そう言ってキスハさんは入ってきた。入ってきてすぐにいそいそと紅茶を入れ始めた。


 「あの、先ほど聞き忘れていたのですが、あなた以外が来た時はどうすれば良いのですか?」


 「はっ!そうでした、肝心な事を言い忘れてました!私みたいに扉をノックし、一番初めに名を言ってくる方達は、入室しても大丈夫なお方です。もしノックして名乗らない場合は、関係者ではありません。一切返事をしないでくださいませ。そもそも私以外でここを知っているのは、ユスティーナ女王陛下とクリスティーナ王女様しか知りません。それ以外の方が来られても返事をしないでくださいませ。」


 若干簡単すぎる様な気もするが、要は誰が来ても黙ってやり過ごせ、そう言いたいのかな?

 お二人とも忙しいだろう、特にクリスは絶対に無理だろう。女王陛下も簡単には来れないだろうから、基本誰も来るはずはない。使用人のキスハさんを除いては。


 説明を聞いている間に紅茶が出来上がったようで、それを頂いてみたが。良く分からない。

 饒舌に紅茶の事を話すキスハさんだが、全然違いが分からないので聞き流しながら外の戦士団の方に目を向けていた。







 一方、ユスティーナ女王は、次々に押し寄せる貴族達からの文、ナナミとの会談希望を願う書類が予想以上に多く頭を悩ませていた。その中には大貴族の一部の名前もあったが、一番困ったのは直接女王へ願い出てきた者の事だ。


 「陛下!なぜお許しいただけないのですか!」


 そう声を荒げているのは、大貴族 ワーカー・フォン・ランドルグ公爵 女王の国を支えてきた名家の一つだ。

 苛立ちを見せているランドルク公にに対し、ユスティーナ女王は冷静に対応する。


 「先ほども申し上げました通りです。『まだ特定したとは言えない』と、真相については私の方で確認をしている最中です。確定した情報が出るまでお待ちなさい。」


 「確認位ならば我々の方からも協力できると申し上げているのです!今の陛下の行動は、全てを独占しようと言う魂胆に見えてしまいます!公平を期すのは当然のことではないのですか?!かの女については、すでに多くの者が知っていることなのです!私は陛下の事を考え具申しているのです!」


 「昨日、我が娘の浅はかな行いにより、大きな混乱になっていることは分かっています。事実を確認しないまま事が大きくなってしまいました、それについては直接各方面に謝罪に行くよう厳命しています。」


 「クリスティーナ王女については貴族達からも人望が厚い、皆分かってくれるでしょう。ですが、それとこれは別の話です。陛下、どうかご許可を!私もバカではありません。ここまで頑なになる、なんらかの理由があることは推測できます。ですが、ここで行動しなければ陛下へ不満を持つ者が増長します。そうなると、このままでは国が分裂してしまいます!今回の件はそれほどまでに大事なのです!どうか、体裁だけでも繕ってくださいませ。」


 ワーカーの言う通り、『不老不死』は、それだけ危険なモノなのだ。そして彼が、女王陛下に急ぎ会いに来たり理由でもある。

 まだ一日も立ってい何も関わらず、目の色を変えて我先にと行動を貴族たちがし始めた。それほどの物なのだ、不老不死の魅力と言うのは。

 そんな貴族達は、まだ日も経っていないと言うのに。女王はその力を独占するため女を隠してしまったと、不満をあらわにし始めたのだ。


 「なんとも情けない奴らだ、一日二日も待っていられないとわ。こうなってしまっては良くないのも承知している。」


 ユスティーナの誤算、ナナミの存在が予想より知れ渡っていたこと。どう言う訳かほとんどの者が知っている、クリスティーナは連れまわした事は事実だが。不老不死の女性だと触れ回ったわけでもないのに、なぜここまで広がったのか?それに、その連れまわしていた間は確定していなかった。

 そう考えると貴族達の行動が早すぎる。私ですらナナミに直接会ったのは、昨日の晩のことだったにもかかわらず。何故か、今日の朝には貴族達から、大量に会談希望が届いていた。

 門で審査している兵が、似ている人が来たと報告してきたのは私だけ。他の貴族は知る由もないはずなのに。

 ・・・どうも腑に落ちない。ワーカーがすっ飛んできたのも、独自の情報網で危機を察知したからであろう。それだけ早く事が進み、後手に回っている証拠だ。


 これだけ大事になっているのであれば、ワーカーが言の言う通り独占する形はマズイ。ここまで大事になるとは想定外の為、何らかの対応は必要だろう。しかし、ナナミに許可を取る必要がある。


 「ランドルク公、其方の言いたいことは分かりました。女王直属とは別に、貴族の一部から、担当へ追加する者を選出しましょう。そうすれば多少は落ち着くはずです。」


 「陛下、ご決断頂き感謝いたします。それでは」


 「うむ、だが今すぐ出来ません。明日中までには決定いたします。インツ、居ますか?」


 そう呼ぶと、どこからともなくインツは現れ静かに膝をついた。


 「各部署、並びに貴族たちに通達しなさい。後日、かの者に対する検分をするための人選を発表すると。それから、貴族からの人選に関しては、貴方の方で候補者を絞り報告してください。」


 「かしこまりました、女王陛下。」


 インツがそう答えると、足早に執務室から出て行った。


 「陛下、私も微力ながらお手伝いをさせて頂きます。」


 「其方がこれほど早く行動し、各貴族の情報を教えて頂けたからこそ出来た判断でしょう。感謝をするのは私の方です。ワーカー・フォン・ランドルク。これからも女王の国の為に忠義を尽くしてください。」


 「っは!これから先も、ランドルク家の名に恥じない働きをお見せ致します。」


 彼は、満足げな顔押してその場お後にした。


 彼が去る姿を追いながら、女王は考える。

 ワーカーがランドルク当主になってからは、不正などの問題も無く、むしろ良く国の為に働いてくれている。国を思う熱い心が強すぎて、今回のように、女王に対し直接意見しに来たことは多い。まかり間違えば罪に問われそうだが、彼の忠義が厚く国の事を思っての行動と言うことで、女王が許している。

 

 しかし、今回の件については。そんなワーカーの事ですら違和感を感じてしまう。

 これほど短時間に、多くの貴族の情報を持っていたようなものだ、そんな芸当かなり優秀な情報収集に優れた者でも、簡単には出来ないだろう。いや、むしろこれだけの騒ぎになれば何もしないでも情報は入るか?現にこれだけの文も来ているし・・・

 

 そこまで考えると、一度思考を停止させた女王。予定していた計画が崩れ始め、軌道修正をしなければならず女王は心の中でため息を付いた。


 「不安があるなら・・・信頼している者でも、監視しておくのが良いでしょう、『影の者』。」


 そう女王が口にする。そうすると、インツが現れる以上に静かに、さらには陽炎みたいにはっきり認識できない人影が現れた。


 「ランドルク公を監視しなさい、動きがあれば報告を。」


 その影は命令を聞き終えると、今度は霧散するように消えてしまった。高度な隠蔽魔法の一つだろうと思われるが、相当の腕前だ。


 「さて、彼女にも相談しなければ。聞き入れてくれると嬉しいのですが、ダメもとでお伺いしましょう。何か良い案があればいいのですが。」


 女王は貴族から届いた会談希望の紙束を持ち、ナナミの部屋へ向かうのだった。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

ここまで作成して思ったことは、物語を構築する難しさですね。

そんな基本的な事も出来ない、ど素人の思い付きで始めた作品を、これからもよろしくお願いします。


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