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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第3章 「外の世界」
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カサンドラさん

 アレンとの試合も終わり、間髪入れずにカサンドラさんと試合することになった


「アレンのようにはいかんぞ?」


「はい。遠慮なくどうぞ」


「ッフ・・・言うじゃないか。なら初めから加護を使わせてもらおうじゃないか」


 カサンドラさんはなかなかに上機嫌だ。どうやらお眼鏡に適ったらしい


「始めるぞ!」


 太鼓の音が鳴って始まる


「ふんっ!」


 最初から加護あり


 カサンドラさんは加護ありのアレンの数倍速い


 けど、全然捉えられる


 初手は低い位置からの打ち上げ


 イズモ様と華蓮の稽古で見たなこれ


 イズモ様のマネ・・・できないから、上体をそらすだけ


「んどりゃ!」


 そらした上体に空ぶった拳がそのまま振り下ろされる


 これは当たらないし次の構えに・・・


 振り下ろされると思ったその拳は途中で止まりカサンドラさんの攻撃は体当たりに切り替わった


「せりゃあ!」

 

 完全に油断した僕の胸に直撃した


 加護のおかげで怪力なんだっけ、なかなかに重い


「・・・」


 油断したとてこれくらいならなんてことない


「えっと」


「うむ。本気でかかったのだがな・・・よし次の一撃に全力を込める。小手先ではかなわんようだ」


 離れて距離をとる


 そして構えて目をつむった


「・・・」


 カサンドラさんに何かが集まるのを感じる


 いや、厳密にいえば首にしているチョーカーだ。あれがカサンドラさんの加護持ちだという証みたいだ


 証っていうのは触媒みたいなものなのかな。まだまだ謎が多い


「行くぞ」


 直後カサンドラさんが目の前に現れた


 気づいた時には握られた拳が僕に振りぬかれようとしている


 対処はできるけど・・・このままガードしたらカサンドラさんの拳が砕けかねない。異能力に力が入りすぎた


 受け流そうにもこれは体に触れないといけないか、空ぶったて脱臼でもしたら治せない


 そんなことはないと思いたいけど念には念をだ


 拳を右手で包んみ遠心力で飛んでいかないように左手をカサンドラさんの腰に当てる


 三回ほど回転して勢いを殺し、何とか無傷で一連の動作を終わらせた


「ふう」


 最終的な体勢がダンスのラストみたいになってしまったけどこれも余興にはちょうどいいな


「あーこれはタカキの勝ちってことでいいか?」


「ああ」


 試合は終わり歓声が上がった。さっきより大きい


 やっぱり劇的な方が面白かったみたいだ


「おい」


「あ、すみません」


 体勢そのままだった・・・


 村長は来なさそうだしいったん戻ることにしよう


 うーん。加護っていうのは異能力よりも劣るのかな


 熟練度が低いって線もあるか。こっちでは加護対加護があるような気がしないし、使うのは狩りくらいなんだろう


 となるとこっちで戦力を集めるのには苦労しそうだな・・・


 中から来てくれるっていう使いが勝負の決め手になりそう


 他の神様が協力してくれればいいんだけどなあ


「親父。タカキを私の婿にする」


 必要なものが六つ・・・あれを除けば五つか


 ・・・ん?


「え?」


「ははは!そりゃいい!んなら村が襲われる心配もねえ!」


「は、いやいやいや。そんな・・・うっ」


 急に冷や汗が・・・でもみんな普通だ


 これは絶対・・・


「いいわよ。私に一撃でも入れられたら許してあげる」


「ああ、お前とタカキは家族だったか。よしならば善は急げだ、今すぐやるぞ」


 カサンドラさんは肩を回しながらさっきの場所に戻る


 やる気満々だ。そして浮足立ってる


 これ本気のやつだ


「華蓮・・・ほどほどにね・・・殺しちゃだめだよ」


「わかってるわよ」


「お、おい。あれは冗談だからな!俺が言ったのも冗談だからな・・・っひ!」


 華蓮が睨んだだけで村長は引っ込んだ


 カサンドラさんの元へ歩いていく


 心臓が今までにないほど鼓動している


「タカキ・・・念を押しといたほうがいいんじゃない?」


「そうだぜ。殺しちまったらいろいろと気まじい」


 二人とも本当に心配しているようだ


 けどね、だめなんだ、二人とも・・・ああなった華蓮は止められない


「じゅ、準備できたみたいだな・・・じゃあはじめ・・・」


 太鼓の音がドンではなくとん、いやコンだった


 さすがに殺さない・・・


 太鼓が鳴ったとたんカサンドラさんが倒れた


 ああ、威圧か。最近僕だけにしてたのも対象を絞る練習だったってわけだ


 華蓮はカサンドラさんの脈を確認し、担いで帰ってきた


「気絶しているだけよ。殺してないから」


「あ、ああ」


 村長の横にカサンドラさんをおくと自分の席に座ってまた食べ始めた


 あ、それ僕の飲み物・・・


 宴の会場は静まり返っている。急に倒れたんだ仕方ない


「村長、皆さん心配してそうにしてます」


 村長はあっけにとられてカサンドラさんを見つめていた


 そんな死んだかのようにふるまうからダメなんだよ


「あ、ああ。今の勝負カレンの勝ちだ!どうやらタカキとの勝負で疲れていたようだ!」


 それでもテンションダダ下がりだ・・・


 殺さなかったはいいものの、ちょっとは盛り上げてほしかったな


「村長、ここは一勝負行きましょう」


「っく・・・これは仕方がない。俺の娘の不始末は親の俺が片付けねえとな」


 不始末って・・・なら僕も一緒に片付けないと


 普通に戦ってもダメそうだし・・・


「相撲しましょう」


「なんだそれ」


 僕も詳しくはないけどまあルールなんてなくてもいい


 これは余興なんだから




 僕は村の人全員にも説明して村長と三本勝負をした


 二本終わった時には盛り上がりを取り戻してた


 そのあと村人同士の試合も行われ盛り上がり最高潮のまま宴は終わった


 片づけは酔っていない人で行われたけど思った以上に早くすんだ


 なんだかんだあったけど結構楽しかったなあ

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