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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第3章 「外の世界」
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相談

 イズモ様の結界から抜けて十分ほどで村まで戻ってきた


 三人はオオカミから降り、僕も後に続いて入口に向かう


 入口まで行くと村守の人がびっくりして腰を抜かしかけた


 やはりオオカミたちにはなれないらしい


「オオカミたちは離れたところで待機してもらおうか」


「そうね。またパニックになっちゃうと困るわね」


 華蓮に頼んで森の近くまで移動してもらった


 村の広場にはキャンプファイヤーを中心に藁でできたシートが半円形に敷かれている


 ちょっと豪華な場所が一つある。あれは村長の席か


 ・・・キャンプファイヤーと村長席の間にあるあの謎空間は・・・あれだけ腰が引けてたのに一試合するつもりらしい。初手は譲って加減を決めよう・・・負傷させるのはまずい


「お!四人とも戻ったか!にしては早かったが・・・」


 僕らを見つけて村長が歩いてきた


 あそこにいたのは三時間くらいか、そこまではや・・・オオカミたちがいたからか


 かなり時短になったもんな


「イズモ様はどうだった?なかなか難儀なお方だっただろう」


「えっと・・・どちらかと言えば・・・」


「かわいかったわね」


「あの尻尾と耳、旅中に触らせてもらえないかしら」


「すっげえ強かったな。ちょっとビビった」


 ジン以外はカワイイといった印象だった・・・え?僕もだよ


 ユンファが怖がらないのは意外だった


 まさか恐怖よりカワイイが勝つなんてね


「・・・そうか。お前らに常識が通じねえってのはわかったよ。宴までもうちと時間がある、休んどけ・・・」


 人外認定いただきました。


 村長はわかりやすく肩を落とした


 少し外の常識を知る必要がありそうだ


「僕らに手伝えることはありますか?」


「いや、お前らは客人だからな。手伝わせるわけにはいかねえよ」


 じゃあ、ありがたく休むことにしよう


 僕らは用意してもらっていた宿に戻った


 ミンシャはいつの間にか消えている。自分の家にもどったのかな


「疲れたわね・・・ここまで時間が経っているとは思わなかったわ。神様の気に触れるっていうのはこういうことなのかしら」


「時間に関しては僕も思った、もしかしたら障壁と同じ効果があの結界にもあるのかもしれないね」


 ありえないことはない・・・よね


 障壁を造ったのが誰かはわからないけど多分そういう技術がどこかにあるんだ


 イズモ様があの結界を造れるのなら誰があの障壁を造ったのかわかるかもしれない


 もしかしたら障壁を破る方法がわかるかも・・・いや、それならもう試しているはずか


「そうね。お腹の減り具合からして、夕方になるほどの時間は経ってなかったと思うわよ」


 腹時計がまさかこんなところで役に立つとは・・・


 ジンが華蓮の腹をみてドン引きしている。いや、引くほどじゃないでしょ


「華蓮が言うんだったらそうだね。その辺も教えてもらえないのかな」


「タカキって華蓮の言うこと全部真に受けるよな・・・腹時計なんて普通信じねえぞ」


 ジンが僕のこともドン引きしてる。なんで・・・いや、華蓮腹時計は結構正確なんだけどなあ


「たしかに。タカキってカレンに対してはびっくりするくらい過保護だものね」


「そう?お世話係みたいなものだからかな?」


 僕のお尻に重い一撃が入った。イタイ


 言い方が悪かったか・・・お兄ちゃんと言った方がよかったかな


 いやこの間それで蹴られたっけ・・・どうすればいいんだよ


「世話もほどほどにしねえと離れた後苦労すると思うけどなあ」


 ・・・そういえばそうだな。今まで死に別れくらいしか別れ方考えてなかったもんな


 華蓮もう十六になる。そろそろ親離れ・・・僕離れした方がいいか


 もし好きな人ができたとして今のまま傍若無人でいたらいい付き合いができないかもしれないし


 最近多少ましになったとはいえ、まだまだだ


 いつまでもイエスマンでいるわけにはいかないな


「そうだね。華蓮も・・・」


 扉を壊れそうな勢いで叩きつけて部屋を出て行った


 壊れたらどうするんだ・・・謝るの僕だぞ


「あ・・・」


「これはまずかったか」


「ごめんなさい。カレンの前でする話ではなかったわね」


 あれは怒ってるか・・・もしくはちょっと辛かったか


 いきなり突き放したりはしないけどさ・・・


「でも、あの子もあの子でタカキに依存しすぎてるように思えるわ」


「だなあ。確かにタカキは頼りになるけど、さすがになぁ」


 うーん。今まで甘やかしすぎたってのもあるかもしれない


 華蓮にとって幸せな日常を


 華蓮が泣かない世界をつくる


 そういう風に今まで考えて動いてきた


 でもそれは華蓮が自分で考えて行動する選択肢を狭めているだけだったのかもな


「少しは華蓮に選択させる場面を増やしていった方がいいのかな?」


「そうのほうがいいんじゃねえか。タカキがもしいなくなったらカレンもどう生きていいかわかんなくなるだろ」


 ・・・それを全く考えてこなかったわけじゃない。これまで結構な無茶してきたし、なんなら一度死んでる


 僕と一緒にいることだけが華蓮の幸せだと意図せず決めつけてたのかもしれない


「この旅で少し考えてみることにするよ。華蓮が激昂しないように立ち回らないと」


「・・・怒るほど子供じゃないんじゃない?。突き放すくらいしないと・・・いえ、それはやりすぎね。依存しすぎている状態でそんなことしたら反動が大きくなりそうだわ・・・」


「その辺も手探りだね。まずは子ども扱いしないってところからかな」


 華蓮とはずっと小さいころから一緒にいたからな・・・


 わかっていても本能でまだ小さな子だと思ってしまうんだろう


 超人戦のあとちゃんと話をしたのにな・・・


 華蓮はちゃんとわかってここまで来たんだとしても、僕がちゃんと理解してないと意味ない


 これは重症だな


「あれでも全然ましになったんだけどなあ」


「マジで?」


「それほんと?」


「え、うん・・・」


 有栖の家事件の時から変わってったもんな。あれに比べたらほとんど別人なんじゃないかってレベルだけど


 二人とはまだ出会ってなかったときだから知らないのも当然だ


「・・・じゃあ、今のままでもいいかもな・・・いや、ほんのちょーっとだけ考えさせる線で」


「そうね・・・あそこからまだひどかったとなると・・・はあ」


 二人とも引いてる・・・華蓮が普通だと思ってた僕がおかしかったのか・・・


 でもまあ心に留めておこう。今のままじゃだめだってことは理解してるし


「ねえ、あれ以上無茶苦茶なカレンのお世話してきたって・・・あんたたちどんな関係なの?」


「え?タカキらって兄弟なんだろ?」


「え?」


「ジン・・・それホントに言ってるの?」


「え?」


 ジンはキョトンとした顔で僕を見ている


 そういえば、革命軍に来た時兄弟って言ったっけ・・・完全に忘れてた

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