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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第3章 「外の世界」
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イズモ様4

「あの方というのは一体誰なんですか」


 僕が質問するとそれだけでそっぽを向かれた・・・なんでぇ


「今は知るべきではない。少なくとも混ざっている間はな」


「そうですか・・・僕らが知っている人なら力になれそうだったのですが」


 どうやら混ざり者・・・異能力者のことが気に入らないらしい


「構わん。中のことを知れた、それで十分じゃ」


「・・・イズモ様」


 それまで黙っていた華蓮が口を開いた


 固く握られていた拳がゆるんでる


「なんじゃ?」


「「有栖」って名前に聞き覚えはないですか?」


 有栖・・・これまで不思議な現象の真ん中には有栖がいた


 もしかしたらがあるかもしれないと華蓮は思ったんだろう


 けどさすがに・・・


「ありす・・・それは人か?混ざり者か?それとも別の何かか?」


「混ざり者・・・だと言ってました」


「そうか、ならば知らぬな。混ざり者に詳しいわけではないからの」


 やっぱり違ったか


 有栖の存在はまだ謎だけど、さすがに外とのつながりは・・・ないと思う


 でも少し期待してしまった自分がいる


「なら「天津」はどうですか?」


 それを聞いたイズモ様の耳がピクリと動いた


 この反応は・・・何か知ってる・・・?


「混ざり者か?」


「えっと・・・」


 華蓮は僕の方を見た。たぶん自分だけじゃ判断できなかったんだ


「僕にもわかりません。ただ、恐ろしいほどに強い方です。それに人を転移させるすべを知っていてあの人が張る結界はとても強固でした」


「確かにあまつという名に覚えはあるのじゃが・・・背格好はどうじゃ?」


「身長は二メートルほどで、黒髪黒目の細身です」


 イズモ様は少し考えて残念そうな顔をした


「・・・わしの知っておるあまつとはまた別人のようじゃ。しかし技に関しては覚えがある。弟子か何かじゃろう」


 弟子・・・それなら天津って言うのは襲名なのかな


 あれで弟子って行ったら師匠の方はどんな・・・イズモ様の知り合いだとしたら神様かもしれない


「イズモ様の知っているあまつ様はどのような人なのですか?」


 聞いておいて損はない、敵対しないために容姿を知っておいた方がいい


「気になるか?背はお主より少し高いくらいじゃな、それに黒髪、目は赤い。体格も同じくらいじゃろう」


「ありがとうございます。敵対しないように気を付けます」


「うむ。消し炭にならぬよう気をつけるがよい」


 消し炭・・・怖いな


 強くなったとはいえ天津さんレベルになると手も足も出ないしほんとに気を付けないと


「して、そのあまつとやらはお前たちとどういう関係じゃ?」


 これは・・・単なる興味かな。尻尾を振っている


 華蓮が触りたそうにうずうずし始めた。さっきの緊張はどこに行ったんだ


 そういえば僕もさっきまでより圧を感じなくなっている。これが慣れってやつなのかな


「友人の執事です、そこまで関係はないですが仲良くさせて貰っています」


「ほう」


 執事という言葉に反応している。尻尾の動きで大体わかる。もしかしたら今までずっとこんな感じだったのかもしれない


「私の師匠でもある・・・ます」


 化けの皮が・・・もうちょっとがんばれ、華蓮


「ほう、師匠とな。恐ろしく強いと言っておったの・・・どれ、華蓮よ。わしが一つ稽古をつけてやろう」


「え、いやしかし・・・」


 それはさすがにまずいんじゃないか?


 外に来てからも華蓮の異能力は研ぎ澄まされていってる。イズモ様に傷でもつけて機嫌を損なえば・・・


「案ずるな。小娘ごときに負けるようでは神とは言わんからの」


「わかっ・・・りました。おねがいs・・・します」


 肩を回しつつ立ち上がる。完全にやる気だ


 躊躇する様子もなかったし、大丈夫なのだと思いたい


 止める準備だけでもしておこう


「貴樹は三人を守ってあげて。ユンファの壁があれば大丈夫だと思うけど」


「わかった」


 とりあえず聞いていない三人にも言っておかないと


 巨石の前にいる三人のもとへ駆け足で向かった


「タカキ、今何が起きているの?カレンが戦闘態勢になっているようだけど」


 ユンファは眉間にしわを寄せながら周りを見ている。まだイズモ様の姿は見えていないみたいだ


「イズモ様が稽古をつけてくださるらしい、僕らは待機。一応壁張ってもらっていい?」


「わ、わかったけど、役に立つかしら・・・」


 確かに・・・でも超人戦でも何とか爆風は耐えてたから直撃さえしなければ何とかなりそう


 ジンは・・・


「ジン?」


 返事はなく、ずっと同じ場所を見つめている。イズモ様のとこだ


「なあ。タカキあの銀色がイズモ様ってやつか?」


 なぜかジンには見えているみたいだ。個人差があるってことなのか


「そうだよ。見えるようになったんだね」


「モヤしか見えねえけど人の形をしてるのはわかる」


 なるほど。存在は認識できるけどって完全にってわけじゃないらしい


 徐々に見えてくるって感じなのかな


 イズモ様がこっちを見た。僕らをってよりミンシャの事を見ている


「結界を張るのじゃ。ここの気を使ってもよい」


 ミンシャは頷いた。聞こえているし見えているらしい


 なぜ・・・アレンが言ってた「神子様」ってのと関係あるような気がする。詳しくは後で聞いてみよう


 ミンシャは手を叩いて地面に触れた。するとそれを中心に青白い陣が広がっていき、僕たち四人を覆うドーム状の結界が出来上がった


 この青白い光・・・この島の結界に似ている。それにあの障壁にも・・・


「あ、あれがイズモ様か・・・?」


「だと思うわ・・・華蓮が見ないほうがいいって言ってた理由がわかったわ」


 二人とも見えるようになっている。この結界にはそういう効果もあるみたいだ


「・・・かわいいわね。その耳と尻尾・・・触らせてもらえないかしら」


 不敬!


 そういえば華蓮と好みが似ているんだった。さっきうずうずしてたし華蓮も同じこと考えてたのかもしれない・・・


 かく言う僕も・・・いや、静まれ・・・


「場は整った。いつでもよいぞ、全力でくるのじゃ」


 いかんいかん。今は華蓮とイズモ様の稽古をみないと。止めに入るタイミングを見失わないように


「はい・・・・っ!」


 稽古が始まる

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