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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第3章 「外の世界」
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長老

 急に外が騒がしくなってきた


「なんだ?まさか、カカマクが攻めてきたんじゃねえだろうな。お前らそこで待ってろ」


 村長はすぐに外へ出て行った。オオカミたちが狩りに行ったクマかな、もしかして狩れずにつれてきたんじゃないだろうな・・・


「キキたちじゃない?」


「だろうな」


「・・・はあ、何も言わずに帰ってきたみたいね・・・」


 あははは、ごめんなさい村の皆さん


「急いで行ってくる!!!」


 アレンがまたとんでもない速さでそとに出た


「また迷惑かけちゃったね」


「次は釘をさしておくわ。私たちも行きましょう」


 長老に挨拶をして僕らは集会場をあとにしようとした


「お前さんは少し残っておくれ」


「僕ですか・・・?」


「そうじゃ」


 三人には先に行ってもらうことにした


 収拾をつけるためにいってもらわないといけないし


 僕は長老の前に立ち、膝をついて目線を合わせた


「ああ、ふむ。もう少し目を見せてもらえんかな?」


「はい」


 何でだろう。確かに僕の異能力は目に関するものだけど・・・こっちじゃ異能力はないようだし


 僕の頬を両手で持ち、ほとんど目を閉じていた長老がゆっくりとその眼を開けた


 目が濁っている。ほとんど見えていないんじゃないか


「うんうん。そうじゃな、やはりイズモ様の待ち人じゃ。お主「アツシマ」の血筋じゃろう」


 な、なんでしってるんだ!?知ってるはずなんてないのに


 動揺して少し目をそらしてしまった


「これこれ、そらすでない。もうすこし見せておくれ」


 一度目をつむっても一回長老の目を見る


「なにが見えているんですか・・・」


「わしはイズモ様から加護を授かっておる。あの方の加護は見た者の記憶をたどることのできるものじゃ」


 んな、じゃあ全部筒抜けってことじゃ


「安心せい、イズモ様から頼まれてものしか視ん・・・そうかそうか。うむ、はよ会うて差し上げよ。イズモ様はまだかまだかと待っておられる」


「わかりました・・・そうします」


 長老の言ってることはほとんどわからないけど、イズモ様って人に会えるのは確実みたいだ


「きつい旅が続くじゃろうて、仲間と共に最後までやり遂げなさい」


「はい」


 頬から手を離されたので僕は膝立ちをやめて立ち上がった


「では、行ってきます」


「うむ・・・ちょっとお待ち・・・海の街水の者。黒の国鉄の者。砂漠の大地二つに一つ。凍地の牙。霧の海赤の女王。始まりのち、第三の支配者・・・」


「それって・・・」


「覚えておきなさい。きっと導になる」


 予言なんだろう。村長は当たると言っていたし、頭の隅にでも置いておこう


「ありがとうございます。ではこれで」


「気を付けなされ」


 頭を下げて僕は集会場をあとにした


 不思議な人だったな


 篤嶋のことを知っていたのはなぜなんだろう。イズモ様に頼まれているとも言っていたな


 それに予言・・・はあ、何でいっつもこんな考えさせられることばっかりでてくるんだ・・・


 篤嶋か・・・外に来てこの言葉を聞くとは思わなかった


 曾爺さんのことはよく知らない。僕が小さいころに亡くなったらしいから顔も覚えていない


 話を聞けるのなら聞きたいけどもういない。はあ僕にも貴令兄さんみたいな頭脳があればな・・・


 そんなこんな考えてたら入口近くまで来ていた。まだ騒がしい。でも悲嘆ではなく歓喜の声が聞こえてくる


 あ。人ごみの外からでもよく見える・・・いや、大きすぎないかあれ


 注目の的になっていたのはオオカミが狩ってきたクマだ


 この間華蓮が狩ってきたやつの三倍は大きい


 ・・・二階建ての家と同じかそれ以上のクマ・・・そりゃ村守がぴりぴりしていたわけだ


 人ごみをかき分けていくと村長とカサンドラさんが華蓮とユンファと話していた


「あ、貴樹。このクマどうするかって相談してたんだけど」


「全部上げてもいいわよね?」


 こんなの四人でどうにかならないからなあ


「とってきたオオカミたちの分は?」


「内臓だけでいいらしいわ」


 なるほど、これだけ大きかったらかなりつまってそうだしお腹いっぱいになるか。下手したら残る


「くれるってんなら嬉しいんだがよ。内臓除いてももらい過ぎだ」


「僕らが持ってても邪魔なだけですからね。もらっていただけるだけでも助かります。狩ったからには責任をもって処理しないといけないですし」


「村長もらえるならもらいましょうよ!」


「今日は宴にしましょう!」


 村長はまだ悩ましい感じだ


 うーんどうしたものか・・・


「あ、この村で保存食って作ってますか?」


「おう、作っているが・・・ああ、干し肉作って渡すってのはどうだ?」


「干し肉とその作業代をこのク・・・カカマクで払わせてください」


「よし、それでいかせてもらおう!いい干し肉作ってやる。皆それでいいな!」


 大歓声が上がった。ここまで大きいと村人全員でも二か月は持ちそうだもんな


「しかし、銀の獣を手懐けるとはな・・・今日は宴だ、催しに俺とお前で一つ試合しねえか?」


 え・・・それホントに言ってる?体の大きさ・・・いやうーん


「いいじゃない。やってあげなさいよ」


 他人事だと思って・・・確かに華蓮よりも数段格下だろうけども


「体の大きさがちょっとなあ・・・なんて」


「ん?そうか?ならカサンドラとやるか、村守で一番つうえ俺の娘だ。どうだ?やってみるか?」


 カサンドラさんがクマの後ろから出てきた。なにか調べてたみたいだ。毛並みの確認かな


「ああ、いいぞ。ただしアレンに勝ってからだ。それで苦戦するようなら話にならん」


「ええ、何で俺まで巻き込まれんだよ」


 気の強い女性が近くにいると苦労するよね。わかるよアレン


 まあ、ぱっと負けてなかったことにしよう


「アレンなんかが相手になるわけないじゃない。いっそ村全員でかかってきなさいよ」


 やめて。ほんとに


 しかし、負けたらどやされそうだな・・・アレンくらいには、っていっても戦ってるとこ見てないしどうなんだろ。強いのかな


 対人戦と狩りは違うし、僕の方が有利なのかな


「とりあえず、お願いしてもいいかなアレン。これは引き下がれなさそうだし・・・」


「そうだな、いっちょやるか。負けねえからな!」


 急にやる気になるじゃん・・・


「加護も存分に使っていいわよ」


 よくない!


「さすがにそれはダメだろ。男らしく殴り合おうぜ」


 うーん。もうどうにでもなれ


「それじゃ行くか、夜が楽しみだな!がははは」


 高笑いする村長と共に僕らは村をあとにした


 確かにクマ料理はたのしみだ。料理は・・・


「負けてたら許さないから」


「はい・・・」


 華蓮からのプレッシャーがすごい。負けたら海に飛ばされそうだ。それもずっと遠くに


「まあ、負けないでしょタカキなら」


「だろうな」


 他人事だと思って・・・君たちは・・・

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